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Lesson03


「『はい?』じゃねーだろ!
さっき青学の不二が言ってたように、俺様たちはお前の勉強見なきゃならねーんだよ!!」

「まぁまぁ、跡部。落ち着いて」




そこには最初に話しかけてくれた佐伯さんとイライラしている泣きぼくろのお兄さんがいました









狽「きなり怒られたっ

そんな事を思いつつも私は状況を把握しようとその2人を交互に見る
「え、えーっと?」

「アーン?最初の授業は俺らなんだよ。
さっさと準備しろ」
そう言って泣きぼくろのお兄さんはズカズカと部屋に入って机の横に椅子を持ってきて座った

そして

机の元々あった一つの椅子をチョイチョイと指さす

「さっさと座れ」

・・ピキ




「すいません」

くっそ、なんかむかつくよ!!
顔は格好いいのにさ・・!

あたしは心の中で呟きながら椅子に座る

それに続いて佐伯さんも泣きぼくろさんとは反対の横に座った

・・・おぉ!まさに両手に花!?
泣きぼくろのお兄さんも黙ってれば、かっこいいのになぁ・・

そんなことを考えていると、
「今日はお前の学力を測るために全科目のテストをやってもらう。お前は確かまだ2年だよな?」
そう言ってほおづえを付きながらその人はあたしに視線を移す

・・そんな事考えてる場合じゃない・・?

「あ、はい」

「わかった。
佐伯と作った社会のテストだ。やれ」
そう言ってあたしの前に両面印刷のプリントを差し出しされる

・・って、
しゃーかーいですかー・・
それを見ただけであたしの顔はゆがむ

なんで夏休みなのに受験生でもないあたしが勉強しなきゃならないんだよ・・!

とか、思いつつも・・不本意に集められてしまった2人にそんな事言えるわけもなく・・
あたしはそれに名前を書いて(名前書く必要性ってあるのか?)取りかかろうとペンを持つ

・・と、
「ほとんどは1年生の問題とかだから簡単だと思うよ」
佐伯さんが言いながらあたしの頭を撫でた

Σ

「はい、頑張ります!」

はわー!!
頭なでられた頭なでられた・・・!!!!!!!


そんな、お祭り騒ぎな脳であたしはプリントに取りかかった






んだけ、ど


Q1『日本の西に位置する大陸を何というか』

・ ・・・大陸って・・・、
つか日本の西って・・
ん?あ、地図の上が北か・・
じゃぁ左って・・

・・・・

・・大陸名が分からなきゃ意味がない・・!


・・あたし、全部解けるかな・・・心配になってきた・・








10分経過・・・






進まない、



「あのー佐伯さん、」
あたしは俯いて、佐伯さんを呼ぶ

「ん?どうかした?」

「・・・あたしの頭の悪さなめちゃ駄目ですよー・・」
優しく聞いてくる佐伯さんに、解けない自分がなんだか悲しくなってきてあたしは机に頭を伏せる

「?」

「?・・・て、お前!一問目から解けてねぇじゃねーか!!」
そんなあたしに佐伯さんは首をかしげ、泣きぼくろのお兄さんはあたしの下からプリントを抜いて大きな声を出した

・・だって、わかんないんだもん・・

あたしは顔を伏せながらも口を突っ張らせる


「はぁ・・。
794うぐいす?」
ため息を1つ吐いて、泣きぼくろのお兄さんはあたしに振ってきた

それに答えようと、あたしは顎は机にのせたまま顔を上げる
「へいじょうk「794うぐいす?

「「「・・・・」」」

あたしが答えた瞬間に泣きぼくろのお兄さんがもう一度問う

・・・?
「だから、へいじょうk「平京」

「「「・・・・」」」



「佐伯、俺様は生まれて初めて弱音を吐きたくなった」

「あはは」
片手で額を覆いながら言うその人に、佐伯さんは苦笑いを漏らす

そんな会話を聞いて、なんとか弁解しなくてはいけないかとあたしは口を開いてみる
「あ、で、でもあたし新撰組とかならいけますよ!」
が、
「そんなとこあんま学校でやらねぇよ!」
と、すぐにたたきのめされた


「(おじさん、これ格好いいお兄さん達に恥晒すだけのイベントだよー・・)」
その言葉にあたしはゴンと額を机につけてそんなことを思う


「まぁ、スタートがこれなら俺らの腕次第、か」

「そうだね。
まぁ、このままテスト続けても仕方がないし少し授業やろうか」
泣きぼくろのお兄さんが呟くと、佐伯さんは机の横から参考書を取り出した

「新撰組は好きなんだ?」

「あ、はい。好きな漫画の舞台が幕末だったので、調べたんです」

「そっか。
じゃぁ、少しでも興味ある方が良いから歴史で良いかな、跡部」
優しくあたしに言った後、参考書をパラパラとめくりながら泣きぼくろのお兄さん・・基、跡部さんに振った

「いいんじゃね?
でも、最初から教えるんじゃ幕末とは無縁なところからだぜ?」

「まぁ、それは仕方ないよ
もともと俺らはまとめ問題作る係だし、豆知識程度に、ね」
そういうと跡部さんは まぁそうだな と頷いて佐伯さんの見ている参考書に目をやった


「うーん、どうしようかな・・原始からで良いかな?」

「いや、こうゆう奴には世界の始まりから教えた方が良い
歴史をやっていくうちに絶対に聞いてくるタイプだぜ、こいつ」

・・ごもっとも
よく分かってらっしゃる・・

2人の会話を耳に挟みながらそんなことを心で呟く

「じゃぁ、まぁ簡単に説明するぞ?」
よく聞いとけよ? 言って、跡部さんはノートに小さな点を書いた

「ある一点に、エネルギーが集まって点ができたんだ
そして、その点は果てしなく大きくなった」
そこまで言って、跡部さんは私に視線を向けた

「これを・・?」

答えろ と言う目を向けられ・・

「え、え!?」

あたしは何も考えずに聞いていたため、ビクリと肩を浮かせて目を泳がせる

と、跡部さんは大きくため息を吐いた

「まず、それだ
それがいけない。
こうやって勉強する時はゆっくりでも良いから話を頭に入れていけ
耳で聞いただけじゃダメなんだよ」
しっかり入る前に話が進んじまったら何度でも繰り返してやるから そう付け足す


・・あれ、
跡部さんって・・
・・・優しい・・、かも・・


「で、もう一度言うがこれをなんという?」
先ほどの説明をもう一度してくれて、その中でまた問題を出される


・・が、

いや、本気で分からないし・・!


「これはね、『ビッグバン』って言うんだよ
ちなみに、この最初の点を1次元って言うんだ」
焦る私に、横から手を伸ばして佐伯さんがノートに文字を書きながら優しく言った

「それで、漫画で言う『2次元』って言うのは、この点がまず横に広がった所からきてるんだ
そして立体になって僕たちの居る『3次元』、それでその後がドラ●もんで出てくる『4次元』」
4次元ポケットとか言うだろ?とできる限り私でも分かる例えを佐伯さんはあげてくれる
それに、新しく知識が増えていくあたしはただただ頷いた

「で、だ
その大きくなった点が『宇宙』。
そして、その空間の中でゴミのような小さな物が集まって回り、丸くなった物を‘ほし’という」

「その中で、摩擦で熱くなった物が・・」
はい、答えて と今度は2人から視線が集まった



これなら分かる!


「『太陽』ですね!」

「そう。正解」
あたしが笑顔で答えると、佐伯さんはさわやかな笑顔であたしの頭を優しく撫でてくれて・・

それがなんだか照れくさくも嬉しかった





「・・と、佐伯」
ふと、跡部さんが腕時計に目を向けながら声を上げる

「あ、そっかテストの時間は授業より短いんだっけ?」
言いながら佐伯さんは椅子から立ち上がり、それにつられるように跡部さんも席を立った

「え?」

「あぁ、俺ら社会担当だからさ
各教科によって担当が違うんだ」
次は・・確か国語だったと思うよ
言うと、2人はドアの方へ向かっていってしまう

「それじゃ、今日の所くらい覚えとけよ」
それを最後にドアを開く跡部さん・・に、あたしは慌てて席を立った

「ありがとうございました!」

一礼して、顔を上げると後ろ手に手を振ってる跡部さんと、振り向きながら優しく手を振ってる佐伯さんが見えたのを最後にドアが閉まった


「・・・本当に私、勉強教えて貰うんだ・・」

しまった戸に視線をよせたまま小さく呟いて、
あたしは先ほどまでの気持ちを押して、開き直り・・

「次はどんな人が来るのかな?」

と、楽しみの意を込めて口角をあげた


案外、勉強を教えて貰うと言うのも悪くないかも知れない

そう思い










始めるわけは・・無い・・!





嫌いな物は嫌いなんだ!!
2人には感謝をしているものの・・、あたしはそのままベットにダイブした










「『ありがとうございました!』って」
思い出しながら佐伯は笑みを漏らす

「可愛かったね
お礼が言える子はきっと教えて上げればしっかり勉強出来るようになるよ」

「・・そうだな」
佐伯の言葉に、跡部は小さく呟いた







「『そうだな』ってどっちに?
『しっかり勉強出来るよ』の方?それとも『可愛かったね』の方?」
「・・うるさい」
「ねー、どっちー」


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