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Limit8


自分で言っていて意味が分からない

でも
“はい、そこまでー”

あの時、
あの時は、
俺も『普通』だったんだ

“おっす!元気かー?”

あの時も、


なのに、なんでだ…?
自分がわからねぇ

でも、あんなに…大勢の人間が…
あの日吉が、
あんなに涙を流した
跡部だって
俺だって、みんなみんな…

 だから確かに海里は――





そこまで考えて、俺は思考をむりにとめる



これ以上、
考えたくない
思い出す度に、脳裏によみがえるあの、死に顔が
あの時の恐怖と絶望を呼び起こす


「もー、何言ってるんですか?
先輩はゲームの世界と夢の世界と現実がいつも混ざってるんですから」

なんて、呆れたように

いつものように、
嘘だと否定してほしくて

だけど、
ちらりとのぞき見たそいつの表情は…


「っ」


肯定、


された



そう、その表情に思って
一瞬自分の時が止まった



なん、

え…?


嘘だろ、なんて
内心でつい意味のない自嘲的な笑いがこぼれてしまう

でも、すぐに、

現実だと
理解してしまう自分がいる

「なぁ、なんで、なんでだよ・・
俺馬鹿だから、理解できねぇよ・・」

それは弱々しく口に出てしまう


細い、海里の腕は確かに今俺の腕の中にあって
なのに、…死んだ、だぁ?

意味が、まったく…っ

知ってる
こいつの死に顔を
だけどでも、だってこいつは今ここで、俺に腕を捕まれてる

どんどんパニックに陥る俺
でも、一つ、隔離された心情が…


その時、
「向日、先輩」

「なんっ」
顔を上げると同時
「ありがとう、ございました…っ」
泣いているのに
止めどなく、辛そうに笑うそいつから…




腕が伸びた





海里が、いる

神様、よぉ
これは…俺へのプレゼント、か?



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