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「幸村さん、勝ってくれてありがとう」


人生最大の勝利を収め、目を覚まして初めて目にした物は・・


僕の宝物。






君のかわいらしい笑顔だった




「よかったね。やっと・・大好きなテニス、できるんだね!」
俺の幸せを心の底から笑ってくれる君

「でも、なんだか寂しいや・・。
あ、ううん。何でもない!
幸村さんは勝ったんだから、あたしも負けないよ!」
笑っている顔の中に一瞬見えた寂しがってくれるその表情に胸が高鳴ったのを覚えてる


今まで俺の不安を全部取り除いてくれた君
どんな些細なことでも相談に乗ってくれた君
俺に勇気をくれた君

そして、

初めて『愛しい』と言う気持ちを教えてくれた君





「リハビリっ!そんなに無理しちゃ駄目だよ!!」






「なにか、俺にできない?
何でも良い。
何でも聞くよ」

「・・・」
俺に、君は優しく笑みを向ける
そして、俺は君の声が聞きやすいようにと、ベットに寝ている君に耳を澄ませた

「じゃぁ、試合、楽しんできて。
今までの辛い思いを、ぶつけてきて?
絶対に、絶対に、悔いは、残しちゃだめ、だよ?」

こんな時まで、君は僕の心配をしてくれるんだね

それでも、それが君の願いならば俺は守るよ



そう決めたのに、
試合までにどんどんつながる管が増えていく君を見ていると、

『勝たなくちゃ』
『勝って、君に・・ッ』

その思いが俺のすべてを支配した





そして全国大会で俺は・・

その思いに支配されたまま







負けた









君に合わせる顔がなくて
俺は病院に行くことを悩んでいると、俺に一本の電話がかかってきた



「・・・え」


そして、俺は身の凍るような事実を知ることになった






「ハッハァハッ・・っ」
俺は息を切らして走る

途中、看護師さん達の注意の声が聞こえたけど、
そんなの、今は聞いてる余裕はなかった

《ガラッッ》

大きな音を出して開くドア

病院にいるすべての人間にとって今の俺は迷惑以外の何者でもない事は分かってる

でも・・っ


「海里!!」

俺の声に反応したのは名前の彼女ではなく、

「幸村、くん・・?」

俺に電話をくれた彼女の・・涙を流した母親だった


「海里、は」

声を含め、すべてを震えさせた俺はベットの上の彼女に近づく

なぜか、その時、狭い病室なのに、永遠に彼女にたどり着けないんじゃないかと思うくらいその道を遠く感じた

俺の言葉に、彼女の母親は俯いて下唇を噛み・・
肩を震わせていた

「手術前に、ラジオで幸村君の試合を聞いて・・
『頑張ったね』
って、言って・・っ」

何、言ってんだよ
俺、負け・・負けちゃったんだよ・・?
約束、守れなか・・っ






『勝たなくちゃ』その気持ちが俺を支配して・・

君の


















幸村さん、努力家だからすぐにリハビリすませちゃって・・
あっ!ごめんなさい。

手術後、目を覚まして最初に見た物は、僕の宝物。

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