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すれ違い


《ガチャ》

ドアをゆっくりと開く
と、紅茶の良い香りが鼻をくすぐった


「あ、おはようございます」

そこには、もう顔を洗って完璧に目覚めたみんながいた

「おはよう。
・・・みんな、ごめん、ね?」
私はいたたまれなくなり、そっと手を合わせてみんなに頭を下げた

「Σprincessそんな!俺たち正直ほとんど何もしてませんし」

「そーそー、家に不法侵入しただけーってな
それに、」
ブン太はニッと笑って私の真ん前まで歩いてくる

そして、
「こーゆうときは・・お互い様、だろぃ?」
いつものお決まりのウィンクをした

それにみんなも「そーそー」とか言って頷いて、ご飯を食べたり、テレビを見たり、各々のことをし出した
・・・少ししか見えないみんなの顔は口角が少しあがっていて、ほのかに・・赤かった


「へへ、ありがとう!」

みんな、大好き











全員で食事を済ました後、少し話して、景吾達は部活があるからとまだ6時だというのに帰ることになった


「それじゃ俺ら帰るけど、無理するんじゃねーぞ?」

「あ、なんなら俺がつきっきりで看びょ「侑士さっさと乗れ!」
言って、侑士を車の中に押し込むガックン。


・・みんなは至って普段通り。
でも、ね?


私は景吾達に目を向ける


・・・何年一緒にいたと思ってるの?
あなた達の異変くらい・・気づくわよ




でも、それは私が触れて良いことなのか・・
みんなの感じからして、きっと、私の事・・。


いつから私はこんなに臆病になったのだろう
みんなには何でも話していたのに、、
今は、

「princess、」

私にどこか寂しそうな引っかかる表情を最後に向けて、慈郎ちゃんは景吾の車に乗り込んだ

・・・
そんな顔、しないでよ・・っ
聞いても、良いの?・・ねえ、
ねぇってばっ


・・・心では、みんなのことをこんなに引き留めてるのに、

「それじゃ、みんな本当にありがとね!」

・・・顔にも声にもならない


それがなんだか今まで隙間のなかった私たちを離ればなれにしているようで…


「またね!」


悲しくて
悔しくて

…っ気づかないふりしている自分が嫌になった









「princess、」
車の後ろのガラスを見つめながら慈朗が寂し気に呟いた


今まで俺たちはprincessの側にいて、、
だから、立海の奴らよりprincessの事知ってると思ってた

でも、

“・・たてないぃ・・”

足の痛みすら気づいてあげれなくて…
さらには、自分達が重荷になっていたなんてまったく…

今まで俺らはなにをしてきたのだろう


princessを守る…?
――守られてたじゃんっ



あぁ、
そう考えると




本当に俺らはなにもしていなかったんだ



princessを守ってたのも、
princessに光を与えたのも、

なにもかも…




“海里のことは頼んだぞ”


アイツだった









俺らには元々『愛する』資格がなかったのかもしれないTLDR


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あきゅろす。
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