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囚 幸村sid



「みっみ・・!」

情けながらもピシッと固まる俺・・

「大丈夫・・?princess」

なんかをよそに、芥川はタオルで海里の額や首を拭いていく
・ ・ちゃっかり、俺を含めた数人が気にしていた服のボタンを最上まで留めて・・。

「ありがとう」
それに海里は優しく笑い返した

俺はそのやりとりを見て、
ちぇっ
って、子供っぽいけど吐き捨てた



「・・これ、懐かしいね・・。
も、処分されちゃったのかと思った」
ふと、悲しい目でテレビ画面を見つめる海里

その言葉に、跡部達はハッとして映像を止めようとするが・・
すでに、海里の目線はそこに注がれていて・・もう遅かった



「あのね。さっきの話ね・・
優斗が、学校行ってなかった、のは・・私のせいなんだ
で、家で働いてくれてたのも全部・・全部・・

私のせい」
小刻みに震えながら・・
海里は画面の向こうにいる優斗さんに謝るかのように少しずつ言葉にする


そんな海里に、視線は集まって・・彼女の声以外が消えた

「外国に飛ばされたのもなにもかも・・
優斗の人生めちゃくちゃにしたのは全部、私なんだよ」
俺の肩に頭をのせながらぽつりぽつりと言う・・

俺からは顔が見えなかったけど・・
肩がどんどん濡れていくのが分かった

「princess!それはちが「違くないの。。全部あの日に教えて貰った・・
私は・・・優斗も毎日を楽しく、幸せに、過ごしてたと
ずっと・・思ってた・・

でも、ね?

私の変わりに、何もかも、全部背負ってくれてたんだよ優斗
なのに私、は何も知らずに、、笑って日々を過ごしていて
なんにも、気づかなかった、んだよ
私が笑う分だけ、優斗の首がどんどん絞まっていく、のに・・
 私は、優斗の首、、閉めてたんだよ」
跡部の言葉を遮り、先程よりも大粒の滴が俺の肩に降り注ぐ



・・きっと今・・っ傷ついた顔を・・彼女はしている


「優斗が居なくなった後、ね
私、優斗が守ってきた『モノ』達を守ろうとしたの・・
でも、」
言って・・
海里はすぐそこにいた芥川の頬を切ない顔で撫でる

「しっかり守れなかった・・。
・・っごめんね・・っ」
震えた声で跡部達を見つめて言う海里・・


その言葉に詰まっている想いに・・きっと誰もが気づいた

優斗さんが・・海里が守ろうとした『モノ』・・

それは





跡部達




「princess、何言って・・」

「景吾の会社、数年前に、この取引が成功すれば、もっと、会社を、拡大出来るって、話し、あったでしょ・・?
もう決まったも同然だったはずの話、なのに、急に相手先が話すら聞いてくれなくなった奴。
・・あれ、私のせいで話しなくなったの・・。
ジローちゃんの家も、亮の家も、樺地の家も、チョタの家も、若の家も、ガックンの家も、侑士の家も・・・・・滝の家も・・・
優斗が居なくなった後、すぐに事件があったでしょ・・?
それ全部・・私が・・っ

・・ごめんなさい・・っ」
海里は涙を流しながら自分を苦しめるように言葉を口にした

・・・

「っprinc「跡部」
跡部が海里に少し大きな声を出して近づいて・・俺はそれを制する

それに跡部はなんだって顔で俺に目を向け、動きを止めた


「・・寝てる」
俺は小さく、でも、みんなに聞こえるくらいの声で呟く

そう、海里は俺に言ったと同時に、そのまま意識を手放した
今の言葉も、きっと熱にうかされて言った言葉だったのだろう・・

そっと、海里の頬に触れる
涙で何本もの道ができていて、、俺はそれを拭った

そして誰もしゃべらないその空間に、黙って海里を抱えながら立ち上がって・・
ベットへ向かう


ス・・


あまりにも軽い海里の体はそんなにベットを沈めなかった
・・・汗でくっついてしまった前髪を俺はそっとかき分ける


海里の画面の向こうにいる優斗さんに向けられた眼差し
跡部達に向けた瞳


それが、初めて君の秘密を知ったあの夜の出来事を思い出して
胸が・・というより、俺のすべてが恐怖にとらわれた気がした


それと同時に、そんな君を見て、なぜか俺の目からしずくが落ちそうになって
悲しくなって・・
何があっても、君を心のそこから・・何にもとらわれないで、
笑顔に・・
幸せに・・

してあげたいと思った



俺はギュッと拳を握りしめて・・
また、元の場所に戻るために、海里に背を向けた

と・・

クンッ

歩き出そうとすると、背に力を感じて・・振り向くと、
海里は、眠りについているというのに俺の服の裾をその弱い力で精一杯掴んでいた

それに、俺はまた寂しく笑うと、海里の寝ているベットに腰掛けた








「俺らが・・
俺らがprincessを・・苦しめてたのか・・?」
声に、目を向けると、

呆然と・・呟く跡部
周りの氷帝陣も・・顔色が悪かった

「どうゆうことだよ・・」

その光景に、俺らは口を閉ざす

「んだよ・・

・・俺らじゃん・・
俺らが・・重荷になってたんじゃねーか・・」

「・・俺も、守られてたんだ・・」
滝は驚いた口ぶりで・・

「・・っ!」
芥川は、涙をためながらも怒ったような表情で、俺のいる方・・つまり、海里の眠っているベットに近づいてくる




パシッ

「慈郎」
忍足に止められた

「っだって!本当のこと・・詳しく聞かなきゃ・・やだよ・・っ」
ついに、涙を頬に伝わせる芥川



・・海里
ほら・・君のために泣いてくれる人がいる
君のことを好きすぎて・・普段敬語を使うほどのこいつらが
怒ってる

ねぇ、だから・・そんなに自分の中に苦しい思いを詰め込んじゃ、、
だめだよ・・っ



「・・今、言われたことはprincessに聞くのは止めましょう」
そんな芥川達を見て、日吉が口を開く

「なん「princessから話して下さるのを待つのが俺らの今の役目だと思います」

「っ・・」
冷静に・・でも、悔しさと寂しさが入り交じった表情をして言う日吉に、芥川はその場にまた腰を下ろした

自分も本当は芥川と同じくらいの心境だろうに、冷静を装える日吉は、
まだ、小学生なのに・・年下なのに・・


すごいと思った────・・ ・











優斗が滝を守っていたことを思い出したとき、


そう、だよ。
あの時、優斗は気づいてたんだ。
滝が、大切な存在なのを・・

どれだけ私の周りを大切にしてくれていたのかを薄れる意識の中・・再確認したTLDR


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