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表情 幸村sid


数分経ち、ご飯を食べたり等の場面がすぎると、いきなり外の場面に切り替わった


〈『行って参ります。』
『行ってらっしゃいませ』〉
制服を着た海里が左右に黒いスーツの男を連れ、メイド服や執事服を着た人たちにあいさつをしてドアに向かって歩き出した

・・ん?

「これ、結構遠くから撮影してるね」

そう その映像のアングルは随分遠くからのものだった
でも、撮り方から、さっきと同じ人・・つまり優斗さんが撮っている物だと思われる

・・優斗さんはあの使用人たちに混ざって挨拶とかは良いのかな・・?


「あぁ。優斗はあそこにいる使用人達に入る資格がないからな」

「資格?」

「優斗はprincessの家の庭師に引き取られた子供だ。
ようは厄介者。

・・まぁ、そう扱われ始めたのは・・princessのお父様が亡くなられてから・・だが、優斗はこうゆうとこ普段、遠慮してたからな・・」

え・・
俺はてっきり、使用人でオープンにもっと仲良くしているものだと思ったから驚いた

・・そして、1つ気になる言葉があった
「・・『引き取られた』・・?」
それを俺は口に出して、跡部たちに疑問を投げかけた

「・・あぁ。優斗は養子だ」

養、子・・

「俺らにはあんま話してくれなかったけど、結構小さい頃苦労したみたいだぜ?
だから、『優斗』って呼ばれるのすっげー嫌がってたよな」

「そうだったな・・。自分を捨てた母親が付けた名前だからって・・」
苦笑いと、寂しそうな感じの表情が混ざった複雑な顔をして氷帝陣は会話をする


ブン太が眉を寄せた
「なのに、お前らは『優斗』って呼んでたのかよぃ?」

確かにそうだ。
そんなに嫌がっていたのに、跡部たちは優斗さんのことを『優斗』と呼ぶ・・
それは良かったのか・・?

「ん?ああ」
ブン太の問いに宍戸が笑いながら答えた

「あいつ、初めてあったときに俺らがprincessの真似して『優斗』って呼んだら

「海里以外、その名前で呼ぶな」



って、真剣(まじ)に言ってきてよ。
でも、その時の俺らはただでさえ『princessの特別』ってのが許せなかったのに、そんなこと言われて・・
だから最初は嫌がらせのつもりで呼んでたんだけど、途中から、もうあいつも俺らの呼び方には何も言わなくなって、定着しちまったんだよ」
「あーそうだったよなー」とか跡部たちは思い出に浸っていて、、本当に仲良かったんだなって・・俺はその光景を見ていた

すると
〈『ぷ、princess!おはようございます』

『! おはようございます』〉
急に騒がしい声がテレビから聞こえてきて、俺らバッと視線を戻した

なんだ?

「・・・」

その映像に、俺らは疑問符を浮かべて
跡部たちは冷たい目を向けた

〈『おはようございます』
『おはようございます』〉

海里の周りには4人のSPらしき人がついて歩いている
そして歩いているところは多分氷帝で、、
海里が歩くと、道行く人々が・・生徒だけでなく、教師も・・おびえたように頭を下げた

それを、海里は・・・



「っ・・」

俺の背筋は電撃のようなものが走って、、
その瞬間、凍り付いた




海里は小学2年生とは思えないような・・
俺たちに見せたことのない冷たい目で、

頭を下げている人を・・
いや、違う
海里の目には




何も映っていなかった



「こ、れ」
震えた絞り出すような声でブン太が画面に目を向けたまま呟く

周りを見ても、俺ら立海陣の数人は密かに震えていた



・・無理もない

俺も、正直・・


一瞬、怖いと感じてしまった




この表情


絶対に、小学2年生なんかじゃない


「・・・これが『princess』だ」
どこか遠くを見ているような目で、跡部が言った

跡部の言葉に、、その光景に
俺らは驚きを隠せなかった


これが・・海里?
この、冷たい目をしているのが・・

「せーいち!」


映像に映し出されているその子は俺たちと一緒にいる海里の面影はなくて・・
どうしても、同一人物だとは思えなかった


そんななか、
「・・む、これはお前らか?」
画面のある一点を指さしながら真田が跡部たちに問う

指の先には・・・
幼き日の跡部た、ち・・?

その子たちも周りと同じように頭を下げていた
そして、海里も他の人たちの前を通ったときと同じように、何も映っていないその目でその子たちの前を通り過ぎた

「お前たちは、仲が良かったのではないのか?」
真田は、海里の行動に、少し驚いた表情を見せて疑問符を浮かべた

「えぇ、今と同じようにこの時もprincessと『仲間』という関係でした

でも、元々俺たちはprincessとは関わってはいけない人間です
・・身分が違いすぎる

だから、表面上はただの赤の他人・・だったんですよ」
苦い無理な笑いを浮かべて、画面に映る海里を目で追う日吉

・・・

そんな彼に、真田はしまった・・と口を閉じた

〈「・・〜ですから・・」〉
話している間にも画面の中の時間も進んでいって、授業風景に移り変わっていた

「ん・・?
・・おい・・、これ今度はどこから撮ってるんだ・・」
あきれた声でジャッカルが呟く

その言葉に、全員が苦笑いをした

・・映像には何本もの木の枝・・
そして、海里が見える窓が映っている

「・・木の上・・ぽいね」
俺はジャッカルに少し引きつった顔を向けながら答えた

〈《ガサ》
とと、あっぶね・・;;〉
画面が揺れると同時に、優斗さんの焦った声が聞こえる
と、、
その音に気付いたのか、窓の向こうで勉強をしている海里がこちらを向いた

〈「煤v
「? どうかなさいましたか?お嬢様」〉
授業中でもSPはいるらしく、海里の驚いた顔に、声をかける


・・ていうか、このビデオ、よくあそこの音声も拾えるな・・

もしかして、海里にマイクつけたとか・・?


〈「・・いえ、何でもありません」〉
すぐに表情を海里は戻して、SPの人にそう言った
そして、SPの人が一歩下がると・・

〈「な に し て ん の よ !」〉
周りにはばれないように、教科書で口元を隠しながら口パクで、、

・・他の人とは違う表情で
カメラの方をこっそりと向いた

それに、優斗さんは小さく笑い声を零し、手を振る

そんな優斗さんに、また君は笑顔を見せて・・



どれほど、優斗さんが愛しい存在だったのかが知りたくもないのに、、伝わってきて・・
この時、、俺もこの場にいたのなら

この表情は向けてくれていたのかな・・

と、胸が何かに握られるような感覚がした







優斗さん、、
・・俺、あなたに負けると思う
けど、、

負けたくないですTLDR


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あきゅろす。
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