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幼少時の記憶
「初等部に上がる時、海里の家でパーティーが行われたんだ

それで、俺は家業のために親に『feather』の社長の孫娘、つまり海里の所へ連れて行かれたんだ


そして俺は媚を売るため海里に話しかけた






「はじめまして。卯月家のプリンセス。跡部家の次期当主、景吾と申します。以後、お見知りおきを」
「えぇ。よろしくお願いしますわ」



「景吾さん。海里さんとご一緒にお2階にいて下さらない?」

「はい。母様。・・でも、これからビジネスの話しが始まるのでは?」

「海里さんは聞かなくて言いそうなの。お兄様の陸斗さんが聞けばそれでいいのだそうよ」

「はい。分かりました。では海里様、お2階へ行きましょう」







「何を致しましょうか?」
「別に特に・・っとあなた、テニスはできる?」
「はい。・・ですが服装が・・」
「そうね・・」


「あと、」
「はい?」
「敬語は2人の時は使わないで」
「えっ!?ですが」
「良いって言ってるの。それにあなただって同い年の子に敬語を使うなんて疲れるでしょう?」
「そんなことは・・」
「良いってば。大丈夫。ここには誰も入ってこないし、監視してないわ。それに、私も言いつけたりしないから」
「・・・」

「何かしゃべってよ」
「本当に良いんですか?」
「ええ。私たちは外では親に使われるだけのただのマリオネット。でも、そのマリオネットにだって愛を感じる時や自由をほしいと感じる時だってあるわ。あなただってそうでしょ? 目が・・すさんでるわ」

「っつ。あんたに何が分かる!!」
景吾は声を荒げる

「分からないわ。うちは、家ではみんな優しくしてくれるもの。でも、、自分じゃない『自分』をつくる気持ちくらいは・・理解できるわ」
海里は景吾を抱きしめる

「大丈夫。私の前では『自分』を出して良いから・・・」





「やめろ。はなせ」
景吾は冷たく言い放つ


やめてくれ
それ以上言わないでくれ
それ以上言ったら『跡部』の仮面が壊れちゃうから
今まで母様や父様に気に入られたくて
ほめてほしくて
精一杯頑張って積み重ねてきたものを・・
壊さないでくれ


「嫌よ。こんなに震えている人を離すわけ無いじゃない」
気づくと景吾は海里の腕の中で小刻みに震えていた

景吾の言葉とは裏腹に海里は力を強める
「・・ろよ」
「?」
「やめろよ!っんだよ!!自分が俺の家よりすごいからって!」

「家柄なんて関係ないじゃない。そうね、『景吾』!うん。あなたは私といる時は『跡部』をすてて『景吾』。私も『卯月』じゃなくて『海里』。」

「っお前は女だから言えるんだ!!俺は男で長男なんだよ!!そんなこと・・」
「そうよ。私は女よ。お兄様に敵う物なんて1つもないわ!誰もビジネスの話しなんてしてもくれないわ!!私はただの飾りなの!・・・おなたに会った時、今の私と同じ、マリオネットのような目だったから・・だから、話してみたかったの。『友達』になれたらいいなってそう思ったの。・・友達なんていないからよく分からないけど・・でも・・」

海里は目に涙を浮かべる


・・・あぁ。こいつは本当に『友達』がほしかっただけなんだ
誰かに弱音を聞いてほしかったんだ

そうだ。こいつだって俺と同じような家で生まれたんだから『自由』な訳じゃないんだ・・


「・・・いいぜ」
「へ?」
「間抜けな声出すんじゃねー。『友達』になっても良いっていってんだよ」
「え・・。!・・・ふふ」
「んだよ」
「いや、照れてるんだなーって思って。かわいー」
海里は抱きしめている手を離し、景吾の頬をつつく

「うっせ//」

「ふふ。それが本当の『景吾』なんだ」
「お前こそ。それが『海里』なんだな・・」

「なによ!その最後の『・・・』は!!」
「いや、本当にこんなのと友達になって良かったのかって思ってな」
「うっわ!ひどいー」
「ははっ」

(なぁ、海里、この時のお前のおかげで今の俺があるんだぜ?
自分の意見を言えるようになって
親や家柄のことを考えるだけじゃなくなった
この時、俺は初めて『従う』以外の『感情』を手に入れたんだ
俺を『マリオネット』じゃなくして『人間』のようにしてくれたのはお前なんだ
そして、この時誓ったんだ

この人に、どこへでもついて行くと
いつまででも、お慕いしていくと・・・)


そして、何週間かたって俺たちは入学式で再会したんだ

お互い、幼等部が一緒だったのに気づいて無くて驚いたぜ



まぁ、でも、俺たちは2人きりじゃない時は『跡部』と『卯月』だったからからそんなに関わらないようにしていたがな・・」



「ええ。それでその後に、中庭でジローちゃんやガックンに出会ったり、図書室で侑士や若、チョタと出会ったり、亮とはクラスが同じになったりして出会ったの」





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