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真実ほんとうの気持ち
校門の前まできて、車いすを止めてもらった

「ジローちゃん」

私は言いながらポケットの中にあるさっき書いた『手紙』を握る

「私、、部活に行ってやりたい事があるの・・だから・・」


「・・うん。分かった。後ろにいるから・・頑張っておいで」
そう言ってジローちゃんは私の前に回り、地面に膝をついて私の右手を持つ



「『何があっても、princessをお守りします。我らはいつまでもあなたの味方・・あなたの元に・・。
princessに・・希望と幸福の光が差し込みますように・・』」

そう言って握られた手の甲にキスをおとされる

「その台詞・・」
「へへ。なつかしーでしょ?優斗と・・みんなと昔決めた台詞♪」

「うん・・」

この台詞は優斗やみんなで私の10歳の誕生日パーティーの時に言ってくれた『誓いの言葉』。

あとでガックンに聞いたけど、いつも寝てたり遊んでいるジローちゃんが一番に覚たらしい

“あいつ、princessの事になるとすげーんだよ!”




「our princess forever(我らの永遠のprincess)」
そう言ってまた甲にキスを落とす


「・・・じゃっ行こうか。俺、途中まで押してくね。まだ慣れてないでしょ?」

「うん。ありがとう」














「ここで待ってるから」
言われて、笑顔を返して私はコートの入り口に入る


「海里・・? 海里!!」
精市の声にみんなが私の方に振り返り、ブン太達と一緒に走ってこっちに来る


ドクン

やば・・・また、震えてきた・・


怖い


「精市!」
その声でみんなはピタッと止まった


私は声のした方をみる
「柳・・君」
「悪かったな」
柳君は私とは目を合わせずに言う


ズキ



今、目を合わせたらそれこそ恐怖に押しつぶされそうになる・・きっとそれを気遣ってくれてるのに・・

なんだか、、胸が痛い


一度俯く
でも、また顔を上げて部長の方へと車いすをこいだ


コート・・傷つけちゃうな・・


私は部長の前で止まる

「無断で・・休んでしまってすみ、ません・・でした・・」
私は一呼吸置き、続ける

「これ」
ポケットからあの『手紙』を出して差し出す

それを部長は無言で受け取って読み始める


私は頃合いを見て、口を開いた
「今まで・・・ありがとう・・ございました」

それだけ言って私は部長に背を向けて入り口へと急いで車いすをこいだ


周りはシンッとしてる

走り出したい
今すぐ・・この場から逃げたい




ガシッ

後ろから誰かに車いすの取っ手を引っ張られた


あぁ・・──
見なくても分かる
この人は・・ ・

「まって海里、それ本当に海里の気持ちなの?!」


私の大好きな人




「本当の気持ち・・・じゃ無いんだよね?!だから・・・・泣いてるんだよね?」



「え・・?」

私はその言葉で初めて自分が涙を流している事に気づいた

「ちが・・これはっ・・」

「違くないだろう?」
精市は私の頭に触れようと手を伸ばしてきた
とたん私は体をはねらす

それを見て精市はバッと手を引っ込めた

そして一瞬俯いて唇をかみしめた
「ごめん・・ごめんね。俺が・・俺たちが守るから!!もう・・二度とあんな目に遭わせないから」


「だから・・行くな!」

精市は私をまっすぐな目で見てくる


体は震えない

そのかわり
涙が次々とこぼれ落ちてきた


「そうじゃよ。ここでいる全員でお前を守る」
後ろにいた雅治が手を広げて言う

私は周りを見渡す


先輩もみんなも・・私を真剣な目で見て、コクンと頷く

ビリ

ビリ ビリ

「・・!」

部長は私がさっき渡した物を粉々にちぎって風に渡した
ひらひらと紙が宙を散る


それを見て私の目からはますます涙が出てくる




「いい・・の?」
私が声を震わせて言う

すると精市は私の前に回り込んで来てキョトンとする
「なにが?」

「ここに・・いてもいいの・・?」

私の言葉を聞いてみんなが優しく笑う


「当たり前だろ」

私は足の痛みも忘れて車いすから立ち上がり、精市に抱きついた




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