理由 幸村sid
ただ、、なんとなく、、そう、、本当になんとなくだったんだ、、、、
君が俺たち1年生全員で今までやってきたことを1人でやろうとするから・・
なにかお礼というか・・なにかしてあげたくて・・
考えていたら朝仁王に言われたことが頭をよぎったんだ
『幸村、もし海里がマネを断りそうになったら抱きしめてみんしゃい』
『何でだよぃ?』
『ククッ絶対に断れないからじゃ』
それを思い出してもしかして俺のこと好きなのかな?って思って、それが本当なら送ってあげたら喜んでくれるようなそんな気がして
君の笑顔を頭に浮かべて1人で赤面なんかして君のことを待っていたんだ
でも、君は1時間たっても現れなくて
見に行ったら君は切なそうに、でも愛しそうにコートを見つめていて不覚にもそんな君にドキドキしてしまったんだ
部活が終わってから2時間くらいたってやっと君がでてきて
「ゆ、幸村君!?どうして・・・」
「フフ、手伝わせてくれないなら帰り送って行こうと思ってね」
そう言ったら君は予想通りのとても嬉しそうな顔をして・・でもすぐに俯いてしまったんだ
もしかして嫌だったかな
そう思うと胸に何かが突き刺さったみたいな、そんな痛みを感じた
でも、君は何か悩んでいたのに俺を見て
「ねぇ。私の家を見ても、、私の過去を知っても、、いつものように・・・今日のように話しかけてくれる?」
家?
過去?
興味があった
それを知ればきっと君のあの横顔の理由が分かるような・・そんな気がしたから
でも君は今にもこぼれてきそうなくらい瞳を潤ませて、あの壊れてしまいそうな顔をするから
つい・・
抱きしめてしまったんだ
君は少し力を入れたらおれちゃうんじゃないかってくらい細くて、でもこの手を放したら消えてしまいそうで・・
俺はできる限り優しく、でもきつく君を包み込んだ
「大丈夫。絶対かわらないから・・。だから泣かないで」
泣かないで
消えないで
どうか、俺の前からいなくなったりしないで
そんな言葉が俺の頭に並んでつい、言ってしまった
話すようになってそんなに時間がたってないのに君がいなくなってしまうんではないかと考えるだけで胸が締め付けられた
君の過去を聞いて、君が持ってる苦しみを知って、君がどれだけ自分を責めているのかが分かった
君はお母さんがいなくなったのを自分のせいだと、、
自分を守ってくれた人がアメリカに飛ばされたのも自分のせいだと思っていて・・
なんだか痛々しかった
本当は誰かに支えてほしいんだよね
一緒にいてほしいんだよね
必要とされたいんだよね
だからそんな顔をするんだね・・・?
君は俺が会社の名前を聞いて驚いた時一瞬、とても悲しい顔をした
きっとこの話をして態度が変わった人がいたんだね
話しが終わりに差し掛かった時、君は震えていて本当に怖かったって事を物語っていて手を握らずにはいられなかった
大変だったね。
辛かったね。
寂しかったよね。
こんな言葉を並べても同情にしか聞こえないかもしれない
でも、本当に思ったんだ
家に着いた時、テレビで『会社の代表が住んでいる家』として紹介された家よりも本当に小さくて・・
でも俺の家10個分くらいは軽く入ってしまいそうなくらい大きくて正直驚いた
『ここで帰ろう』そう思ったけど君は門の鍵を出して自分で開けようとしてて、お金持ちの家とかって自動で開く物だとばかり思ってたから何かおかしく感じて
「家に誰かいる?」
とか聞いてしまったんだ
一昨日の俺ならきっと君が1人とかそんなの関係ないと思っていた
でも、今は君が1人だとどうしようもなく耐えられなかったんだ
すると君は案の定
「え・・あ、いない」
と答えた
その君の顔がますます俺を帰さないようにしてる気がして
今日だけでも一緒にいてあげたいと・・・一緒にいたいと・・そう思ったんだ
でも、それと同時にいっしょにいて・・男として・・平気かどうか不安になった
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