再会
「いらっしゃいませ」
そう声が飛びかう店内
・・の、奥で僕は真剣に皿洗いをする
案外、紙の上では年を偽る事くらいは簡単な物だ
『中学生でもできるバイト』とは言ったが、正しく言えば、『僕を高校生だと信じてくれる』バイト先だったりする・・
『生きていく』ためにはお金が必要だ
でも、2人暮らしでもう1人があんなだから、
父さ・・卯月のおじさんがくれるお金では足りないときがある。
と、ゆうか・・できるだけ卯月のおじさんのお金は・・使いたくない。
あの人は・・僕を『娘』として・・『1人の女の子』として見てくれて・・
愛情をくれるから・・
卯月のおじさんも生活はあまり楽な方じゃないから、いつか・・
『もう大丈夫だよ』
って言ってお金を返すんだ
そして・・
『あの女』の元から離れて、一緒に暮らすんだ
だから、僕はこうして頻繁にバイトをしている
たまに、『なんで僕が稼いだお金をこんな奴のために使わなければいけないんだ』と思うときもあるが、仕方ない。
・・ん?
「・・!」
「〜!」
なんか、向こうが騒がしいな
そうは思ったものの、僕には関係ない。と、皿洗いに集中した
すると、
「あのー、卯月君?」
気まずそうに店長が僕の顔をのぞいてきた
「はい?」
僕はいったん手を洗い、拭きながら答える
「頼みがあるんだけど、いいかな・・?
・・給料上げるからさ!」
ホントだったら、『頼み』を聞いてから返事をしたいところだが・・
“給料上げるからさ”
その言葉のみが僕の脳をエンドレスで流れた
「はい!」
「これを、18番テーブルに持ってってくれないかな?」
「え、それだけいいんですか?」
「あ、いや、そのテーブルがさ、この店の系列の社長の息子なんだよ」
先ほどの会話が頭を駆けめぐる
社長の息子って・・;;
そんな偉い物なのか?
まぁ、皿洗いまだまだあるし、さっさと終わらせよ
僕は18番テーブルに、渡された料理達を手元を見ながら置いていく
そして、置き終り、顔を上げて言葉を発しようと・・
「お待たせしまs!?」
した
が、それは驚きにより遮られた
思わず、そのメンバーに目を疑う
丸メガネに金髪におかっぱ
逆かぶりの帽子に変なカット
仏頂面にさわやか顔のでかい奴にキノコヘアー・・
そんで・・
泣きぼくろ
(・・・昨日のメンバーっ)
と、言う事は・・
“社長の息子”というのは・・
「アーン?・・!・・陸斗じゃねーか!」
此奴か・・
ここの系列は、・・跡部財閥だったのか・・
そりゃ店長もびびる訳だ
跡部、さんの声でその場にいた全員がこちらを向いた
「うぉ!お前学校さぼってなnモガッ」
いきなり言おうとした向日の口を僕は急いでふさいだ
と、同時に
「つーか、お前昨日、中2だって言っtモガッ」
と言いかけた宍戸の口もふさぐ
「っ・・言うな。
では、こちらですべてのメニューがおそろいですね?
失礼致します」
小さく呟いた後、本当は『おそろいでしょうか?』と聞くところを僕はあえて言葉を換えて言い、さっさとこの場を後にしようとs・・
グイ
「なっ「おい、店長はいるか?」
手を引っ張られて振り向くと、いきなり大声で泣きぼくろはそう言った
「は、はい!どうかなさいましたか!?」
すると、店長はすごい勢いで僕らの元へ駆け寄ってきた
「こいつ、あがるのはいつだ?」
泣きぼ・・跡部、さんは僕のことを指さしながら店長に問う
「卯月君は、あと2時間ほどでs「今すぐあげろ」っははい!」
「なっ!僕はバイトを「十万でどうだ?」・・・は?」
びびる店長に僕はすぐさま口を挟むと、不思議な言葉を言われた
・・・十万?
「今からのお前の今日一日を十万で俺に買わせろ」
ニヤリと笑うそいtじゃない・・跡部・・さん
十万!?
そんな大金、『高校生』と偽っている僕にとって、約二ヶ月分の給料…
それが今日一日だけで…!?
・・でも、『今日一日』ならば、これから、やっと見つけたこのバイトを止めるのも困r「もちろん、このバイト先にはクビにさせないように言っておく。いいよな?店長」
僕の考えを見透かすように言ったその言葉に、店長は「は、はい!」と慌てるように答えた
んな?!
そんなのありかよ!!
・・でも、おいしいはなs「フッ、じゃ行くぞ」
・・・
僕はまだ決めたといっていないのに、店長の返事と同時にそいつらは席を立つ
そして、
僕の手を引いて店を出た
それに僕はと言うと・・
されるがまま以外に、方法はなかった・・ ・
・・もう一体なんなんだよ・・
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