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Deadline12


「それ以上は・・お願い」


モヤモヤする

先輩のあの悲しそうに、何かを隠す笑顔に・・


「赤也」


あの部屋から、コートに向かうための廊下で声を掛けられる

「・・なんすか、仁王先輩」

俺は顔を上げないでその場に立ち止まって声を出す

「・・どうじゃった?」

「・・別に・・」

「そうか。じゃぁ、









何でそんな顔しとるん?」

この人は嫌だ

んで分んだよ

俺は顔を上げてないのに・・


「・・顔、上げんしゃい」

その言葉に仕方なく俺は顔を上げる


そこには壁により掛かって俺ではなく、真ん前の壁を見つめてる仁王先輩


「なんで、そんな顔しとるん?」
こっちをその鋭い目で見ながら同じ質問を繰り返す

「べ・・つに・・なんでも、ないっすよ」
俺は笑顔をつくろうとする

すると、考えとは逆で俺の目から大粒の涙がボロボロとこぼれてきた

「赤也、お前さんは・・・何を知ったんじゃ・・?」
俺の方を向いて、どこか切なげに仁王先輩は言った


そんなの

「そんなのわかんないすっよ」
グッと涙をこらえるけど、やっぱり止まってくれなくて・・

あぁ、俺ってまだまだガキだなとか思いつつ、「来てもええよ」と言いながら手を広げてくれてる仁王先輩に駆け寄った

そんな俺に、居た事無いから分からないけど『兄貴』みたいな表情を見せて、頭をポンポンと撫でてくれた


「俺、分からないッスよ。なんで自分が泣いてるのかも、海里先輩が隠してるのも泣いてるのも全部」

すべてをはき出すように俺は仁王先輩に言う

「・・泣いとったんか?卯月」

その言葉に俺はハッとして顔を上げる

「安心しんしゃい。誰にも言わん」
そう、まっすぐ俺を見てくれる先輩に心底安心した



「海里先輩・・」

「ん?」

「海里先輩、何か、、隠してて・・でも、探っちゃ・・聞いちゃダメ・・ス」
まるで子供のように俺は繋がらない言葉を無理矢理つなげる

「・・、何か・・ねぇ。 赤也、顔洗って幸村には心配かけないように戻りんしゃい」

意味ありげに呟いた後、俺の頭を軽く撫でて仁王先輩は俺に背を向けた

「仁王、先輩は・・」

「大丈夫じゃよ。ちょっとションベンしに行くだけじゃき」
言って、俺の方を向かないで手を振ってこの場を後にした










「・・・」

「赤也、遅かったな。
・・・なにか・・あったか?」
柳先輩が俺の顔をのぞく

俺は、仁王先輩に言われたように幸村部長に心配させないように・・いつも通りの表情をしている

はずなのに、、


なんで気付くんすか



何でこうもこの部活の人は・・鋭い人ばっかなんだよ・・


「別に、何もなかったスよ」
そう、ここに来るまでにトイレで練習した笑顔を作る

練習・・しないと
また、
仁王先輩の時のように、、


涙がこぼれてしまいそうだから・・・ ・


「・・・そうk「赤也!」

あぁ、この先輩は・・優しいよな・・

柳先輩のとぎれるまでの言葉を聞いたときに、そんなことを思った

「幸村部長」
柳先輩を押しのけて走って来た人の名を呼ぶ

部長は・・
いつもクールでこんなキャラじゃないのに
海里先輩の時だけ、、いつもこう


だから、俺は・・・今、海里先輩をこの先輩から奪えないんだと思う

「み「大丈夫ッスよ!今日は、全員で合わせてるみたいで海里先輩も入ってましたよ!!だから、すっげー喜んでて・・」
俺は部長に何か言われる前にニコニコと話し始める

そうでもしないと・・この人にはばれてしまうから・・ ・


「・・」

「ホントッスよ!?」
切なげに俺を見てくる部長に俺は『本当』を知られないように言う

「赤也・・」
切なげだったのがだんだんと悲しそうな顔になっていって・・部長は俺の名を呼ぶ



それがなんだか無性に胸を締め付けられて・・
罪悪感がわいた


「っ・・b、部長!俺と打ってもらえませんか?h、ほらぁ、まだ部活時間あるし・・ね!」
しんみりとしてしまった罪悪感だけが生まれるその雰囲気を今すぐにでも消し去りたくて・・俺はから笑いをしながら幸村部長の手を引いた

幸村部長は、ただ何も言わずにコートにつくまで


顔を上げなかった.....























トン


ドアから体重のかかった音が聞こえる

それと同時にドアのガラス部分にできる影




「卯月」
聞き慣れた・・ふざけ仲間の声


「・・



仁王・・」













刻々と近づいてくる大切な人との別れと・・・







知られてはいけない秘密を暴かれる危機

















『離れたくない』そうまた願ってしまう私はっ…欲張りですか…?TLDR

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