15.上を向いて
下ばかり見ていた。
「危ない!」
振り向いた瞬間目の前にあったのはボールでした。
「あの、大丈夫ですか?」
なんで。
「ごめんなさいっ」
なんでよ。
「なんで、嫌なことばっかっ。」
ボールにぶつかって、倒れて、知らない誰かさんの前で泣いて、馬鹿みたい。
「手、どけてください。」
「いや!はずかしい」
「顔あげて。じゃないと、何もわかりませんよ」
優しいその声に、顔を覆ってた手をどかして上を見たら、知らない男の子の優しい顔が見えた。
思ってたより幼い顔で、思ったより笑ってたその子は、怪我はなさそうですね
、と笑った。
あぁ、あの時、心配する彼女はどんな顔をしていたんだろう。
大好きだった彼は、どんな顔をしていたんだろう。
2日ぶりに見た空は雲ひとつない晴天だった。
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