Colorfulカラフル
赤司様誕生日記念小説A(火赤)誰よりも早く
※二人共大学生設定。
※赤様少し性格が丸くなりました(もはや誰)
※火神がやたら(高尾並に)HSK
大学の講義を聞いていると、マナーモードにしていたケータイが震えた。開くと、火神からだった。
『今日、家来るだろう?夕飯作って待ってるからな』
(もう来る決定なのか…あいつの中では)
『何を食べさせてくれるんだ?』
返信すると5分たたず、返ってきた。
『お前の好きな湯豆腐がメイン…………あとはケーキ』
(ケーキ?)
はて、何か祝い事でもあっただろうか?日本のイベント事の1つになっているクリスマスにはまだ早い。
返信しようと思ったが、ちょうど講義が終わり、教室がざわめく形になった。仕方ないので離れる。次の講義場所は、少し遠いので忙なければならない。
(まぁ、良いか。火神の作る物は大抵美味しいし)
外見からは想像出来ないが、火神は料理上手だった。大学が終わり、その足で火神のマンションへ向かう。
玄関のチャイムを押すと、ドタドタと音がしエプロン姿の火神が出た。
「寒かっただろう?上がれよ赤司」
「あぁ…お邪魔する」
僕は先に洗面台へ行き、うがいと手洗いをした。12月の寒空、いつもより体調管理を、しっかりとしていなくてはならない。
それから、冷たくなった手を暖める為、コタツへと潜り込む。今年から火神はコタツを購入した。長年アメリカ暮らしが長かった火神が、コタツに興味を持つとは思ってなかったが、うん、これは良い。
「そうやってると猫みたいだなぁ〜赤司は」
そう言いながら火神は湯豆腐が入った鍋とご飯・みそ汁他にも色々と持ってきた。
「猫?」
「そうだぜ。目がでかくて、プライドが高くて気まぐれな所なんかそっくりだろう?」
「うるさい、僕を怒らせたいのか?」
「そう睨むなって、怖ぇなぁ〜」
そう言ってる火神だが、怖がっている風には見えず、食事をテキパキと並べていく。
コタツの上はあっという間に、いっぱいになった。
まぁ、この全体の殆どは火神の胃袋に収まるのだが……
「今日の量も凄いな…」
「そうか?まぁ食べれるだけ食べろよ、赤司」
「あぁ、そうする」
そうして二人で他愛がない話をしながら食事をする。
傍から見れば、友人同士の夕食会に映るのだろうが、あいにくと僕と火神は恋人同士だ。
高2の終わり頃だろうか。1年のWCで洛山は誠凛に負けた。
始めての敗北。
今まで、勝利しかない世界で生きてきた、僕はどうして良いのか分からなくなってしまった。
その時に真っすぐ、僕にぶつかってきたのは、テツヤ達と火神大我だった。そのおかげで僕は、バスケを続けるという選択を出来た。それ以来、友人として接していたが、いつの間にか火神に対して友人以上の感情を抱いていた。初めての感情にとまどい、色々あったがお互い気持ちが通じ、今日まで恋人という関係が続けられている。
現在、東京に戻り大学生になった僕は、火神のマンションとは一駅分ぐらいの所に住んでいる。それまで、遠距離恋愛という形だった為、こうして会える回数が増え、内心喜んでいたが…なんだか少し不安だ。
理由は分かっている。二人とも同じ大学ではないし、お互い世界が広がった。そして、僕はともかく火神は、世界に通用するバスケ選手だ。青峰の様に卒業と同時に、渡米するものかと思っていた。しかし、火神は日本の大学でバスケをしている。
何故?と聞く事は出来なかった。僕らしくないと思ったが、今だに聞けず1年が過ぎようとしている。
夕食も済み、火神も片付けが終わったのか、
「ほら、お茶だ。赤司」
「あぁ、すまない」
湯気の出ている湯呑みを見ていると、
「どうした?飲まないのか、コーヒーとかが良かったか?」
「いや、緑茶の方が好きだ。……そういえば、メールでケーキがあると言っていたが、何かあったのか?」
「へっ?あぁぁ〜〜〜うーん、どうするか…まぁもういいか、ちょっと待ってろ」
そう言ってキッチンの方へ行く火神。
(何だ?)
「本当はもう少し、後にしたかったんだがな」
そして、ホールケーキを持ってきた火神。そのケーキは僕の前に置かれ、ケーキには文字が…………。
「…火神。なんだこれは?」
「何って見りゃ分かるだろう。BirthdayCakeだ」
(なんで、そこだけ英語なんだ)
「もしかしてお前、まさか本気で自分の誕生日忘れてるのか!?赤司」
「確かに誕生日の事など気にしてなかったが、ちょっと待て火神。僕が間違ってなければ今日は19日で、僕の誕生日は20日だが?」
そう、今の時刻は19日の22:30。
「わぁーってるよ…けど…誰よりも早く祝いたかったんだ」
火神は珍しく顔を背けて、ボソボソ喋っている。
「本当はもうちょい後になってから、ケーキ出そうと思ってたんだが、お前が聞いてきたから…さ………」
「別に今までは普通に、20日にメールとか送信してきたじゃないか」
火神から、祝ってもらうのも初めてじゃない。何で今年、火神がこんな事をしたのか分からなかった。
「まぁ、その確かに祝ってたけどさ。今までってちょうどWC中だったろ?付き合ってたとはいえ、俺もお前もお互いライバル校同士だったからピリピリしてたし、東京と京都じゃ離れてるしでちゃんと祝ってねぇなぁ〜って思ってたんだ。だから、今年大学生になって、お前も東京にもどってきたから、誰よりも先に祝いたかったんだ!!20日過ぎると、いろんな奴からお前メールやら何やら貰うだろう………だから誰より早くってな…征、誕生日おめでとう」
「あ…ありがとう」
…知らなかった。火神がそんな事を考えていてくれてたなんて、元々誕生日なんて気にしてなかったのに、火神に言われるだけで凄い嬉しい。それなのに、素っ気ない返事しか出来ない自分が嫌になる。
「あぁぁぁ―――何か恥ずかしいなっ!こういうの、さっケーキ切るぞ。甘さ控えめにしたから征でも食えるだろう?」
火神は照れ隠しのせいか、ワザとらしく大声を上げて準備をしていた。
「ケーキ切れたぞ!征?どうした」
僕が何も言わず、コタツの布団に顔をうずめていたら、火神の心配そうな声が聞こえてくる。
(あぁ…お前はどうして…)
「征?どうしたんだ、具合でも悪ぃのか?」
「…ちがう…」
「……お前。顔真っ赤」
「言うな…」
「征の照れた顔なんて、滅多に見れないな♪そんなに嬉しかったか?」
にやにやとした笑い顔で聞いてくる火神を睨みつけたが、全然効かなかった。しかも頭も撫でられた。
「撫でるな…フォークで刺すぞ」
「避けれる自信あるから平気だ」
「……………」
僕は仏頂面のまま、ケーキを食べた。甘さ控えめに作られたそれは、とても美味しかった。
「征、機嫌直せよ。これやるから」
そう言いながら、火神が差し出してきたのは、小さな箱だった。
「何だ、これは?」
「いーから、開けろ」
箱のラッピングをといて、蓋を開けると、シンプルな指輪が入っていた。赤い石が1つだけはめこまれている。
「火神……これ…」
「誕生日プレゼントだ。んな高いもんじゃねぇぞ。流石にそこまで金ないからな。で、これは俺のだ」
そう言って、服の下から下げていたチェーンには、同じ指輪が下がっていた。火神が兄同然の氷室に貰ったと言っていた、シルバーリングではない。
ゴールドの赤い石がついた指輪。
「……どうして…」
「最初は征のだけ、買おうと思ってたんだがな。石よく見てみろよ。お互いの髪の色に似てないか?征のはガーネット、俺のにはルビー。これ見る度、征を思いだせるなって……征っ!?」
「…う………か、がみ……」
「何、泣いてんだよ。あっ…もしかして嫌だったか?こーいうの、ちゃんとしたもん上げたいなって」
「違うっ!!バ火神!!!…嬉しいに決まってるだろう!これは嬉し涙だ。僕はずっと不安に思ってた。環境が変わって、お互い生活が変わって…でも怖くてお前には聞けなかった…」
布団に涙のシミがつく。泣きやもうとしたが、中々止まらない。こんなの僕らしくない。
「征…なんで不安に思うんだ?」
「だ……だって…か……がみは…アメリカに行かないのか?」
火神は一瞬きょとんとし、それからコタツを抜け出し僕の方へ寄ってきたと思ったら、頭ごと抱きしめられた。
「そんな事で、悩んでたのか?」
「っそんな事って、僕は真剣にっ!!!…んっ…」
上を向けば、唇を塞がれてしまった。
「…はっ…か……みっ……」
離れようとしたが、動けず、息が苦しくなる寸前で、離された。
「…はぁ…はぁ…何、する。急に!!」
「だって、征がかわいいのが悪い。俺と離れたくなくて悩んでたんだろう?そんなんかわいくって、キスしたくなるに決まってんじゃねぇーか」
(!!!!!)
「また真っ赤だな」
そう言って、涙を舐めとっていく。
「バ火「おい、征…。お前は名前で呼んでくんねぇの?」
火神の目は少し野獣の光が宿っていて、またキスされそうだった。
「あっ…」
「んっ?」
「……た…たいが…///」
「良く出来ました、なんてな」
チュッとバードキスをされた。
「征、確かに渡米も考えた。でも俺はまだ、日本でのバスケを極めてねぇと思ったから、ここに残った。アホ峰の奴は先に行ったけどな。それに、向こうに行くなら俺、征も連れていく気だけど?」
「えっ!?」
「何だよ。ついて来てくれねぇのか?でもお前と別れるつもりないぜ」
「僕だって別れるつもりなんかないっ!!」
「あぁ〜良かったぜ!!!」
そうやって、またぎゅうぅぅと抱きしめられる。
「…大…我、苦しい…」
「悪りぃ、なぁ…指輪つけて見ろよ」
「あぁ」
箱から取り出し、合う指に嵌めると…
「Size合ってて良かったぜ!!」
「大我…なんでこれ…」
「俺のこれも、左手の薬指だぜ。………意味分かるだろう」
「…恥ずかしい奴だな」
自分の左手に嵌まっている指輪が、凄く暖かい物に感じた。大我の髪の色に似た赤が、煌めいている。不安が大我の手によって、簡単に熔かされてしまった。いつもそうだ。大我は僕の心を何だかんだで、理解してくれ包みこんでくれる。だから愛しい、手離せない…。
「征、もうすぐ20日になるぜ」
時計を見れば、あと1分。………………針が回った。19日が終わり20日になった。
「生まれてきてくれて、ありがとうな、征」
「僕を選んでくれて、ありがとう、大我」
どちらとともなく、お互いの唇を絡めた。
僕の携帯のマナーモード音が鳴っていたが、僕はそれに返信をする事は出来なかった。
オマケ
「…はぁ…征、今日泊まれるか?」
「…明日は午後からだから、大丈夫だ」
「優しく出来ねぇかも……しんねぇ…」
「…別にいい…大我なら///」
「征っ!!」
(くそっ!可愛すぎるだろう)
終
うわーん。やっと終わったよ〜赤様の誕生日終わってしまうじゃないか、危ない危ない。ネタが中々出ず、やっと出たら短編じゃないよね?これ………って感じですが。
砂糖多めにしましたが、いかがでしょうか?
ではまた〜
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