偽りのペルソナ あるパーティーにて (はぁ〜最近パーティー多くて嫌だなぁ〜) 沢田綱吉・実はこういうパーティーは好きではない。色々な思惑が溢れているせいか、超直感がビシビシ働く。 "ボンゴレ"が魅力的なのか、女性達の視線も痛い。 パーティーに出ると、決まって頭痛がする。 (同盟を結んだばかりだからなぁ。来ない訳にも行かなかったし…あぁ…頭痛い…) 今日は、最近ボンゴレと同盟を結んだウ゛ェレーノファミリー主催のパーティーであった。 護衛をしてくれるのは、山本である。 「ツナ、大丈夫か?顔色悪いぜ…」 「うん。平気だよ。最近多いからさ、パーティー…」 そんな二人を、観察する一人の女性がいた。 アルバだ。いや、今は"シェリー"である。 今日の彼女の姿は、プラチナブロンドの髪を上に高く結い上げて、青の瞳が涼やかだ。 光沢のあるシャンパンゴールドのドレスを着こなし、大ぶりではないが、輝きの細かいネックレスとピアスをつけている。 華やかでありながら、清楚でもある美女になっていた。 (隣にいるのは、"雨の守護者"山本武。身近で見ると余計、マフィアっぽくないわね…沢田綱吉) 彼女はシャンパンのグラスを持ち、綱吉達の近くに移動した。綱吉はウ゛ェレーノファミリーのボスと話をしている。彼と接触をしているのがチャンスだ。 「コレッソ様!お久しぶりですわ」 初老の男が振り向き、笑みを作った。 「おぉ!!シェリーではないか?来てくれたのだな!失礼、ボンゴレ」 「かまいませんよ」 「申し訳ありません…お話を中断させてしまって、コレッソ様?こちらの方は?」 軽く首を傾げてみる。あくまでも自然にだ。コレッソはこういう女性が好きだから。 「お前はお会いした事はないか。だがお名前は知っているだろう?ボンゴレ十世の"沢田綱吉"殿だ」 「まぁ…あのドン・ボンゴレですの?大変失礼致しました。私、お恥ずかしいですわ…」 「綱吉殿…彼女はシェリーと言いまして、私が贔屓にしているスーツデザイナーなのですよ。いつも、世界中を飛びまわっていて中々捕まらない、ハッハッハッ」 「それは…何か似てますね。うちのファミリーにもいますよ。貴女の様に中々捕まらない人が…シェリー殿?」 「コレッソ様、酷いですわ。お会いしたばかりのドン・ボンゴレにそのような紹介の仕方なんて…」 拗ねるそぶりをしながら、 (まぁ、捕まらないのは、当然だけどね。普段はシェリーじゃないんだから、それにしても何か…ボンゴレ顔色が悪い?様な気がするけど…) 隣のコレッソは、気付いていない様子だ。 「失礼、機嫌を損ねてしまいましたか?お詫びによろしかったら、私のスーツをデザインしていただけると嬉しいですね。シェリー殿」 ボンゴレはふんわりとした笑みを浮かべていた。マフィアらしくない笑顔だ。 「それは良い申し出だ!良かったなシェリー、これで綱吉殿に気に入られれば一躍、有名だ!」 コレッソは大変、上機嫌だったが、そんなコレッソに部下が一人近づき何かを耳打ちしていた。 「綱吉殿。私は新しい来客が来たので少し、失礼させていただきますぞ」 「大丈夫ですよ。コレッソ殿」「お待ちしていますわ、コレッソ様。…あのドン・ボンゴレ?先程のお話、ジョークでも光栄ですわ。それと、だいぶお疲れみたいですけど…大丈夫ですの?」 「…………シェリー殿…何故そう思ったんですか?」 (俺、そんなに顔に出ていたかな?体調悪いの気づかれるなんて…) 「私の様な、名もないデザイナーの服を取り扱ってくれるなんてジョークだと…」 「いえ、その事ではなくて…体調の事です」 (山本とかなら分かるけど、普通の彼女に気づかれるなんて) 「あ、あの何となく顔色が悪いかと思いまして…お気を悪くされたなら、謝罪致しますわ」 (…まずい事言ったかしら…)「謝らないで下さい。女性は鋭いんだなと、感心していた所です。細やかな気遣いをしてくれるのは、うちには少ないですから」 「まぁ…そんな事。ドン・ボンゴレなら素敵なご婦人がいらっしゃるでしょう?」 「…恥ずかしい話ですが、まだそういう相手とは…」 目が泳いでいる。女性関係は派手ではないらしい、調べた通りだ。 「ツナは、もう少し色々な女性と知り合った方が良いのな!」 隣の山本がニヤニヤしながら、そんな事を言ってきた。 (山本!何も今それを言わなくても…笑われてるよ、彼女に!) 「ドン・ボンゴレでしたら、魅力的な女性が表れますわ。では私も失礼致します。周りの女性の視線が怖いですから」 (そろそろ、気づかれても困るしね) 「あっ、良かったら連絡先を……スーツの件で」 「えっ?まぁ…ジョークかと思ってましたのに、ではこちらの名刺をどうぞ。では」 笑顔を見せ、軽く一礼してボンゴレから離れた。 シェリーの後ろ姿を見ながら、綱吉は渡された名刺を見つめていた。すると 「美人さんだったなぁ〜ツナ!けっこう気に入ったんじゃないのか?」 「へっ!?何言ってんの!山本…別にそんなんじゃないよ」 (綺麗な字だな…俺のとは比べものにならないイタリア語…) 隼人に言って、後で彼女の元にスーツの依頼をしてもらおうかと綱吉は考えていた。 |