じじ孫娘っ! じじ孫娘っ6 高級車らしく、中のクッションは良い物だったが、今はそれを楽しんでいる余裕はない。 なぜなら、隣にはあの美形がいるからだ。 (けっこう暑いハズなのに、なんか冷や汗出てきた………俺、どうなるの;;;) 一緒に拾ってもらった鞄を抱えながら、綱吉は小さく縮まっていた。 15分ぐらい走り、車は並盛病院の入口で停まった。 リーゼントの人が、すぐさまドアを開けてくれて、綱吉は手を引かれながら病院のロビーをくぐった。 美形は、さっさと降りて受付で話していた。 「あの、ここまで送ってもらって本当にすみません…後は自分で何とかするんで…」 「今、恭さんが話してますから大丈夫ですよ。」 「いえっ!これ以上迷惑かけるのは…本当に!」 (だって、何か悪すぎるぅ〜よく分かんないけど予定潰しちゃったみたいだし……それに早くこの人達から解放されたい;;;) しかも、この二人が入ってきたとたん、騒がしかったロビーが一瞬にして静まり返ったのだ。美形と話している受付壌など、顔が真っ赤になったり真っ青になったり、笑顔が引き攣っている。 (この人達、一体何者なんだよぅぅ〜!) そんな俺の心の声が聞こえたかのように 「なんだ、草壁じゃねぇか?…って何でお前もいるんだ、ツナ」 「「リボーン!」さん!」 俺とリーゼントの人の声が、キレイにハモった。 「沢田さん、リボーンさんとお知り合いなんですか?」 「え…まぁ。あの貴方もリボーンを知っているんですか?」 「お前らー病院で大きな声出すなよ、ツナ、どうしたんだ?やけに、ボロボロじゃねぇか」 「この子が、僕の車に飛び出してきたんだよ」 (美形、戻ってきたぁー!) リボーンは、美形を見てもビビる事なくニヤリッと笑い 「よぅ、雲雀。久しぶりだな、いつこっちに、戻ってきたんだ」 「昨日だよ。君こそまだ、並盛にいたの?リボーン」 「いちゃ悪いのか?優秀な俺様が、ここで医師やってるんだ。感謝してもらいたいぐらいだな」 「まぁ、君の腕は認めるけどね」 (スッゲー、さすがリボーンだよ。なんか対等に話してる。やっぱり、あいつも美形だから物おじしないな…) ぼへーと、見ていたら二人が自分の方を向いたので、慌てて目を逸らした。 「ツナ、勇気あるっていうか…無鉄砲だな。…女子だろお前、一応」 「君と知り合いなら、ちょうどいい。この子、診てくれない?」 「俺は、小児科医なんだがな……どっちかと言うと、こりゃ整形外科だろ。んー、知り合いに入江って整形外科医いるから話つけるわ。ちょっと待ってろ」 「リボーンッ!…ごめんな」 「悪いと思うなら、今度骸のケー番教えてくれ」 「それは、却下」 「……お前、ケチだな」 「個人情報を、教える訳ないだろう。しかも、骸のなんて」 「へぇーへぇー…」 リボーンは、冗談なのか本気なのか分からない態度で、ロビーから離れていった。 「まったく、あいつはナンパ医者なんだから…」 俺がブツブツ言っていると、 「ねぇ、なんで彼と知り合いな訳?」 美形からの、突然の質問。 「…えっ!…あ、あのぅ俺の、祖父の知り合いっていうか、後幼なじみの、主治医でもあるんです。家庭教師みたいな事もやってくれて…」 (って、なんでこんなに話してるんだ!俺…) 「ふーん、彼にあんなにくってかかるなんて、君面白いね」 「はぁ…;;」 美形は興味あるような無いような返答で、手近にあるソファーに座った。 「あのぅ…差し支えなかったらでいいんですけど、お二人の名前って…」 (俺だけ名乗ってるのって、なんか理不尽だしー) 美形とリーゼントは、お互い一瞬きょとんとしたが、 「あぁ、言ってなかったっけ。雲雀恭弥だよ」 「失礼しました。私は草壁哲矢です。所で、沢田さん。ご家族の方に、連絡をした方がいいと思いますが」 「そ、そうでした!忘れてました;;;」 (うわぁ〜どうしよう;;絶対、怒られる!!!) うなだれながらも、綱吉は携帯を取出して電話をかけた。 「もしもし、あっ。おじいちゃん!母さんは?いないの。………えっと、その詳しくは後で話すけど俺今、病院にいるんだ!…た、大した事ないよっ!…………うん、ごめん…。……ありがとう、慌てないでゆっくりでいいから!…じゃあね」 (おじいちゃん……予想通りすっごい心配してたな…) 携帯をしまいながら、 「あっ、ひ、雲雀さん。草壁さん。祖父が来てくれるみたいです。本当にすみませんでしたっ!」 「本当にね」 「Σ恭さんっ!…すみません」 (草壁さん、顔は怖いけど…良い人だ) 「おーい、ツナ。入江に言ったら診てくれるそうだ。先に、レントゲン撮れとさ。案内するから来い。立てるか?車いすいるか?」 「大丈夫…だと思う;;」 右足に負担をかけない様に、そおぅと立つ。…………やっぱ、痛い。でもちょっと慣れた。 リボーンが手を貸してくれたので、なんとか歩きながらレントゲン室に向かった。 「貴女のご家族が、来るまではいるので安心して下さい」 草壁さんの、優しい言葉が心に沁みた。 [戻る] |