じじ孫娘っ!
じじ孫娘っ5
(やっぱり、怒ってるぅぅぅぅ〜;;;;;)
「恭さんっ!!!逆に怯えさせてどうするんですかっ!!」
「だって、僕の車の前に飛び出してくるなんて、良い度胸だと思ってね」
「ご、ごめ…ごめんなさいぃぃぃぃ………うぇぇ…」
目が涙でぐしゃぐしゃになって、男の顔は良く見えないが、相当怒っていらっしゃるようだ…自分が悪いから仕方ないと言えば、そうなのだが……でも、まだ、天国には行きたくない!!
「僕に口答えするなんて、いつからそんなに偉くなったのさ、哲…。それより、君変な顔になってるよ。あと、その子離してあげなよ。君のせいで苦しそうだよ」
「ふぁえ?………っあっ!っあごめんねっ」
いつの間にか、助けた子猫をぎゅうっと抱きしめていたみたいで、子猫はもがいていた。
綱吉が、そっと手を離すと子猫はさっさと離れて、しげみの中に入っていってしまった。
(なんか、あっさり行っちゃったなぁ〜)
とりあえず、やっと落ち着いてきたので、手で涙を拭う。
そうして見た男の顔は……ものすごく美形だった。
なまじ、祖父のジョットや幼なじみの骸を見てきたせいで、顔の造作にはけっこう厳しい綱吉だったが、それでも男は美形だった。
短く切った黒髪、切れ長の少しつりあがった瞳、形の良い鼻とうすめの唇。少し汗ばむくらいの気温になったと言うのに、黒のスーツをしっかり着込み、汗ひとつかいていない。すらりとした、長身と体型まで完璧だ。
「…何?僕の顔に何かついてる?」
「どうしたんだ?固まってるが、どこか痛いのか?」
美形とリーゼントに言われ、自分が彼の顔に見とれていた事に気付いた。
「…えっ!!あ、あの何もついてないですっ!…痛くないですよ!立てますよっ!」
そう言って、立とうとしたが……それは無理だった。
「うぎゃあぁぁぁ!!!!」
余りに痛さに、女子にあるまじき声を出してしまった。
美形とリーゼントもびっくりしてるじゃないか。
「…大丈夫か?やはり怪我をしているんだな、どこが痛い?」「君、一応女子だよね。なんて声出してるの…」
「…うぅ…すいません。何か全体的に痛くて、でも右足が…特に痛いです………」
前半の台詞は美形に、後半の台詞はリーゼントに対して言った。
「もしかしたら、捻挫しているかもしれないですね。恭さん、どうしますか?病院か救急車を呼んだ方が良いんですが……」
「あのっ!大丈夫です!俺…自分で病院行きますからっ!」
(これ以上…この人達に迷惑かけちゃいけない!!)
そう思ったのに、黙っていた美形がいきなり、右足を握ってきた。しかもけっこうな強さで………。
「ぴっぎゃぁぁぁぁあ〜!!」
「こんなんで無理でしょう。君、バカ?哲、今日の予定は?」「………っえー今日はですね。並高の校長との会談とそれから市長に昼すぎに…」
(この人、鬼だっ!悪魔だっ!)
またまた涙が、滲んできた。
「校長との会談はキャンセル。哲、並盛病院に車、まわして」「は、はいっ!さぁ、車に乗せますよ。………えーっと」
リーゼントの人が俺に、手を出してくれた。
「えっ…あと、沢田って言います。あの、でも俺、学校が…」「沢田…さんですか。学校なら大丈夫ですよ」
(どういう意味?)
俺がきょとんとしてるとリーゼントの人は、隣の美形に視線を移したので俺も目線を、動かしてみる。
美形は、携帯を取り出して、誰かと会話していた。
「僕だよ。ちょっと出るのが遅くない?今日、一人並高の生徒を休ませるけど、問題ないね。……名前?君、名前は?」
「へっ?…沢田綱吉…です」
(なんで、俺の名前??)
「沢田綱吉だって、あと今日の会談はキャンセルだから文句ないね、じゃ」
ピッと美形は携帯を切ると
「行くよ、哲。…それと綱吉」(いきなり名前呼びー!?俺、二人の名前すら知らないのにー;;;;)
訳の分からないまま、綱吉は車に乗せられ、発車した。
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