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じじ孫娘っ!
じじ孫娘っ22
雲雀さんのリクエストも昨日練習したせいか、スムーズに作る事が出来た。

俺が内線をかけると、草壁さんが出た。待ってる間、俺は片付けをすませる事にした。


(雲雀さん、喜んでくれるかな…)


何故か、そう思ってしまった。

「失礼します、沢田さん。お久しぶりですね。先日は雲雀がお世話になったようで、すみません」


「いえっ;;…寧ろ、俺の方が助けてもらって、迷惑かけたっていうか、えーと、これ雲雀さんの所へ運んで下さい」


「これは、またおいしそうですね。そうだ、雲雀から言われたんですが、今日は沢田さんに部屋まで持ってきて欲しいそうなので、お願い出来ますか?私が案内しますので」

「…………えっ?」
(ちょっと待って!俺はさっさと帰りたいんですがー!?)

しかし、草壁さんにお膳を渡され帰るというタイミングを逃してしまった。押しに弱い自分が恨めしい……。
仕方なく草壁さんの後をついていく。うっかりお膳を落とさない様に気をつけながら、奥に進み何回か角を曲がると、草壁さんは立ち止まり腰を低くして


「失礼します。雲雀、昼食をお持ちしました」
と言えば

「入って」
と雲雀さんの声。

雲雀さんが襖を開けると、だだっ広い座敷の真ん中にキチンと正座した、雲雀さんが待っていた。


「やぁ、綱吉。時間もぴったりお昼どきだね。リクエスト簡単だったでしょう?」

「はぁ…そうですね」
(もういいや…お膳置いてさっさと帰ろう。おじいちゃん心配だし)
「多分、味は大丈夫だと思います」

ひっくり返さない様に、慎重に雲雀さんの所にお膳を置いた。これでひと安心だ。綱吉はこっそりとため息をついた。

(良かったぁ〜うっかりひっくり返すとか、俺やりそうなだけにドキドキしたよ)
「じゃあ、俺はこれで…」
「待ちなよ」
「あの?まだ何か…?」

微妙に笑顔が引きつる。

雲雀はお膳を見たあと、綱吉を見ると

「お茶でも飲んでいきな。綱吉っていつも作るだけ作って、帰るけど何で?」
(イキナリ直球きたぁぁぁー!!!)

実は雲雀さんが怖いんですとは言えない……。そんな事言ったら、朝日が拝めなくなるかも…。


「…あ…えーーっと、そのですね。俺は料理作る為に、この家に来てるから雲雀さんの仕事とか食事してるの邪魔しちゃいけないと思って…ですね。そんな所です」

「ふーん、そう。別に邪魔じゃないけど?料理作った人間を邪険にするほど酷い人間じゃないよ。僕は。哲がお茶を入れた、飲めば良い」

「沢田さん、どうぞ」

いつの間にか、雲雀さんと少し離れた位置に座布団とお茶とお菓子が置かれていた。
せっかく用意してくれたのを、断る勇気なんて俺にはなかった。

「あ…すいません。いただきます」
(しょうがない、早く頂いて帰ろう)

大人しく座布団に座り、お茶を頂く。
(あ…美味しい。良い緑茶だ、多分)
お菓子も上品な和菓子で、初めて食べた物だったけど、とても美味しかった。
雲雀さんは、この前と同じくキレイな姿勢と箸使いで食べていく。

自分が作った物を、本当に食べてくれてたんだなぁ〜と今更ながらに思った。
何か、あの雲雀さんが、一女子高生の作ったもん食べてるとか……不思議に思えてという意味だ。
しかし、今雲雀さんと二人っきりという、冷や汗流れる状況を何とかしたくて、会話を試みた。俺、成長した!


「…あの雲雀さん、やっぱり好きなんですね。ハンバーグ」
「ん?」
「だって、リクエスト。俺が1番最初に味見させた普通のハンバーグだったし」

モグモグと咀嚼しているご飯を飲み込んだ後

「まぁ、そういう事になるかな。基本的に好き嫌いはないよ。初めて食べた時、あれ冷めてたし出来立てが食べたかったんだよね。うん、美味しいよ。綱吉」

そう言って雲雀さんは、微かに口角をあげた。悪魔の微笑みではない方で…

(……っ反則じゃないか、今の…!!!)
さっきみたいに心臓が痛い…。

「綱吉、顔赤いけどどうしたの?」

「…暑いなって…あっ、お茶とお菓子ご馳走様でした!俺、おじいちゃんがちょっと具合悪いんで、これで失礼しますっ!」

俺は帰ろうと、立ち上がったけど、ここで凡ミスをする。俺は余り正座が得意じゃない。それを忘れていきなり立ったものだから、足が痺れてバランスを失った。
そこでうっかりクオリティ発動してすっ転んでしまった。


「うあぁっ!!??」
「綱吉っ!」

痛みを覚悟したけど、なくて逆に良い匂いが鼻をかすめた。恐る恐る目を開けると、俺の目に映ったのは黒…?


「何やってるの?君って本当に鈍くさいね」

頭上から呆れたといった感じの、声が聞こえた。

「へっ?……ひ、ひば、雲雀さんっ???!!#¢※=仝」

何とひっくり返った俺を、受け止めてくれたのは雲雀さんだった。正確に言えば、雲雀さんの腕の中です。

「うあああぁぁぁ〜あ、あ、あのごめんなさい!!!本当に俺、おれ……」
「少し、落ち着きな。はい、息吸って」
「えっ??」
「吸って」

…スーハースーハーとりあえず雲雀さんの目が怖いので正直に従う俺です。ちょっと思考が戻ってきた。………あれ何かこの感じ前にもあった様な……


「綱吉は自分で自分を追い込みすぎだね。それで泣き虫だ」
「はいっ?」
自然に目尻に涙がたまっていたみたいで、拭われた。……………ぬぐわれた?!今この人何したよ??

「あんまり泣いてると、大きな目が溶けるよ」
「…雲雀さんって…」
「何?」
「いえっ…あの泣いてません。ちょっと取り乱しました。もう大丈夫ですから離して下さい」(…この人って天然タラシだ…)

しかも厄介なタイプ…困った…………って何!?何思ってんだ俺!!

「そう…。まぁ怪我はないみたいだね。"貸し"がもう一つ増えた」

雲雀さんは手を離すと、とっても良い笑顔で言ってくれました。俺は当分雲雀さん家に、来なくてはいけないみたいです。


俺はこのあとどうやって家に帰ってきたのかよく分からなかったけど、気づいたら玄関の扉の前だった。




久々の更新です(^w^)ラブコメ王道展開を詰め込んでみました!けっこう甘くなったのでは?と勝手に思ってますが…………そうでもない?
私はどうにも、綱ちゃんをアワアワさせたいようです(笑)
ではまた〜(^o^)/

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