返事を待つ方の一方通行のような両想い。1(静臨)
★兄弟パロ。
勿論、兄がシズちゃん。
最近気付いた事がある。
シズちゃんが俺に突っ掛かって来なくなったってこと。
いや、まあ兄弟だからって何時も喧嘩してる訳じゃないんだけど、こんなにも相手をされないだけで寂しいとか思うほどには、喧嘩してたんだなあって物足りなさがあった。
「シズちゃーん」
かちゃ、と部屋のドアを開ける。
シズちゃんは帰ってくるとすぐ部屋に引きこもる。
根暗になった訳じゃないんだけど、俺と顔を合わせない。
それって、顔を見たくないほどに嫌いって事なのかな。
あ。
自分で考えてて嫌になった。
そろ、とベッドに眠るシズちゃんに忍び寄る。
兄貴って見た目なのに、ギャップが激し過ぎてちゃん付けで呼び始めた最近。
それもスルーされるって、寂しいんだけど。
「ん」
「!」
シズちゃんが声を漏らした。
それに、ビクッとする。
起きたかな。寝てるかな。
「シズちゃん」
もそ、と動き、顔を見るために身を乗り出した矢先、不意に伸びてきた手に捕まれる。
は、と思う間もなく引き込まれた。
布団の中に。
パニックになり、声にならない叫びで内心が喚いている。
(これ、は…!)
焦る俺に対して、シズちゃんは俺を抱き寄せる。
久しぶりの、手の感触。
何時以来だ、こんな気持ちになるのは。
抱きしめられたこの腕の中で抵抗する気が起きなくて。
ああ、どうか。
(夢なら醒めないで!)
100309
続きます。
何か、かなり溺愛になりそうな予感。
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