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novel
3


「ただいま〜」
「あ、マスター。おかえりなさい!」



帰宅するとカイトはいつも通り笑顔で駆け寄ってくる。大型犬みたいだと何度思ったことか



「寒かったでしょう?ココアでも飲みますか?」
「ココアより紅茶にしよ。これ買ってきたから。チョコレートケーキ」



手に持っていた小さな紙箱を差し出すとカイトは目を大きくさせた
そんなケーキを買ってきた事に驚いたのだろうか

そこで千聡はあることに気付いた。カイトは若干ズレた思考を持っていることに
「バレンタインにチョコ……マスターは俺のこと……っ」というぶっ飛んだ事を考えてるんではないかと

途端に千聡は耳まで赤くなるのが分かった



「あ、あのね。カイト…これは」
「マスター!!」
「はぃい!?」



いきなりカイトがあいている方の手を握ってきた。この勢いから察するに本来なら抱きつきたいが、手にしているケーキを守るためにこの程度にしたのであろう
それか、日頃抱きつかれる度に鉄拳制裁していた成果か



「ありがとうございます、マスター!」
「えっと……あのねカイト」
「誕生日覚えてくれるなんて……すっごく嬉しいです!」
「だから……え?」



誕生日?と心の中で首を傾げる。そしてあることを思い出した

カイトが来てすぐのこと。取り扱い説明書なるものに目を通した
そこに"誕生日 02:14"との記載を見つけ「チョコひとつ渡しとけば良さそうだな」などと思った自分がいた



「あ……うん、カイトおめでとうね」
「はい!じゃあ、早く食べましょう。紅茶煎れてきますね」



ケーキを受け取ったカイトは大事そうに抱えながらスキップしつつキッチンへと向かって行った



玄関にぽつんと立ったままの千聡は自分に問いかけた

何故あのとき私は顔を赤くしたのだろう

まぁいいや、と千聡は暖かい室内へ入っていった





カイトが嬉しそうだからそれでいい







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あきゅろす。
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