novel
2
帰り道
やはり街はバレンタイン商戦真っ只中だ。店、いや街自体がラッピングされてるかのように感じる
店先に出てる美味しそうな洋菓子のサンプルを見ながら千聡は考えこむ
高校時代は友チョコを渡したりもらったりしていたが、今は授業があるわけでもないため学校の友人へ送ることは出来ない
じゃあ好きな人に渡せば?
そんな自問に思わず苦笑する
千聡は色恋沙汰は自分に不似合いだと感じている。男嫌いとかではない。ただ、好きな人がいてその人と会える会えないで一喜一憂する自分が想像出来ないのだ
自分には関係ないと洋菓子店に背を向けようとした時、ふとある人の顔が思い浮かんだ
「カイト……甘いの好きだしね」
誰にでもなく言い訳のような言葉を言って千聡は洋菓子店に入って行った
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!