novel
1
俺の1日はマスターを起こすことから始まる
マスターは朝が弱いらしく、声をかけただけじゃ起きないことがよくある
いや、いつもと言った方が近い
まず俺が起きたときに一度
朝食の支度をする前に一度
最後に調理が終わったらもう一度声をかけている
どうにか起き出したマスターが洗顔してくる間に俺は食卓を整える
和食と洋食を交互にしているがマスターは和食の方が好みみたいだ
一人暮らしだと和食を作ることは滅多にないかららしい
二人で朝食をとった後はマスターは学校に行くため身支度をし、俺は皿洗いやら洗濯などをする
正直なところ、洗濯さえすべて俺に任せるのはどうしたものだろうか
信用されてると思えば嬉しいが…男としては悲しい
そんな慌ただしい流れでマスターを送り出す
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
このやり取りだけでほっこりするのは自分が単純だからではないはずだ
マスターが帰ってくるのは夕方
それまでの間は掃除をしたり洗濯物を干したり、買い物をしたり、夕飯の支度をしたりしてマスターの帰りを待つ
マスターの「ただいま」と言う声を聞いたときに抱きつきたくなるのはなぜなんだろう
以前、実際に飛びついたら殴られたんで最近は自重しているが
そんな生活が、マスターとの生活が新鮮で楽しかったが、俺はあることに気付いた
あまりに自分が主婦的である上にワンパターンであることに
主婦的なのは構わないとしてこのワンパターン化はどうにかしないと
さっきテレビで「マンネリ」という言葉が出てきて他人事とは思えない自分がいた
3年目ならぬ3ヶ月目の浮気なんてされたら……いや待て、落ち着け、俺
しかし何かしらの行動を起こしたい
でないと今の天気のように雨模様になってしまうような気がする
「ん…雨?……って洗濯物!!」
本来の機能のおかげで人より聴力は高いはずなのに雨音に気付かなかった
俺はベランダに急いだ
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