novel
2
祭は近くの神社で行われており、すでに浴衣の人々で賑わっていた
カイトはキョロキョロと露店を落ち着きなく見ている
初めて見る物―林檎飴やチョコバナナなどが多くて何度も「千聡、あれはなんですか?」と尋ねてくる
なんだか小さい子といるようで自然と口元が緩む
しかし、私はあることを失念していることに気づかなかった
それをようやく気付いたのは手遅れになったときだった
「あれ?千聡じゃん!」
いきなり肩をたたかれ、私は持っていたかき氷を落としそうになった
いや、かけられた声に聞き覚えがあったから驚いたのだろう
「き、季子…?」
恐る恐る振り返るとそこには見知った友人の顔があった
大学で知り合った友達で学校ではよく一緒に行動している子だ
この時、私はようやく失念していた事に気付いた
私は一人暮らしである
住んでる場所は学校から程ほど近い
つまり、他に知り合いが…友人が住んでいる
季子もその一人だ
そして私の隣には、かき氷に付いているスプーン型のストローをくわえたままキョトンとしているカイトがいる
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!