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novel
3


「マスター、準備できましたよ」


そういって現れたカイトに千聡はちょっと驚いた
いや、かなりかもしれない
出会って2日目だが、千聡がカイトに対してもったイメージは「ちっとアホなヘタレ」というものだった

しかし今、目の前にいるカジュアルな服に身をつつんだ彼は素でかっこいいと思ってしまった
服をチョイスしてくれた社員GJ
もともと端整な顔立ちだという点も今日になって初めて分かったのは内緒にしておこう


「マスター?なんか変でした?」


カイトに呼ばれて千聡はじーと彼のことを見ていることに気づいた
なんだか恥ずかしくて慌てて否定する
そして千聡はあることに気づいた


「ねぇ、家では別にいいけど…外ではマスターじゃなくて名前で呼んでよ」
「えっ!?」


この要求はカイトにとって予想外だったらしく、今度はカイトが千聡のことをまじまじと見ている


「だって、偶然私の知り合いに会ったらどうするの?
あんたが"マスターの友達ですか?"とか言ったらその友人”は?マスター?”ってなるじゃない」


中途半端に具体的な例にカイトは納得した
確かに周囲に困惑を招くかもしれない
それに自分がここにいるのは会社が「いかに社会に溶け込めるか」を観察するためである
言われてみれば、それが普通である


「分かりました、えっと…千聡」



初めて名前を言った声は様々な感情を含んでいた


照れともどかしさとそして…
くすぐったいような嬉しさが



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あきゅろす。
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