00.Prologue ……嬉しいって何? ……悲しいって何? 両手を広げて感じたその空の高さは遥か遠く 気づけば当たり前に見上げてた空は奪われ "普通"が"普通"ではなくなっていた―… 『主様!!!!お気を確かにッ!!!!』 腕の中に生暖かい液体が滲む老いた身体。 もう命の光は乏しい……。 ウータイと神羅は戦いの真中にあった。 密輸に目をつけた神羅はウータイを消してしまおうと――強行手段に打って出たのだ。 どう考えてもウータイは不利だ―… こんな小文化の穏やかな国に勝ち目はない… この世に魔法の石を、マテリアを作り出したあの会社が憎い…。 そのままにしておけばよいものを…ッ!! 『スバル…お前は…生きるんだ、ウータイの未来のために…』 『主様ッ!』 ザシュッ 右方に熱が走る―… 主と呼ばれた老いた陰陽師が自らの掌を切り裂きそこから体内に潜ませていた刀をスバルの右肩に突き刺した。 赤い鮮血が溢れ出す 『これを…村正<ムラマサ>を受け継げ!!!…そして、破壊…しろ…!!!』 『……ッ…あの刀を、ですか?』 『あれは星の運命を変えてしまう厄災なのだ…!!! この星の為に…受け継げスバル』 ゆっくりと目を閉じる。 すると傷から血が勢いよく溢れ出し右肩に突き刺さる刀を身体の中へと導くように取り込まれていった。 周りではまだ銃声や悲鳴が聞こえる。 『主様…破壊します、あの刀も…神羅も』 戦いなんて嫌いだ 何故平和に暮らせない―…? 冷たくなった腕の中の老人。 スバルは敬意をはらい目を閉じさせ立ち上がった。 『終わらせなきゃ… 悲しみの連鎖を俺が止めてみせる』 あの日、新羅補導・隔離され "トリカゴ"へ入れられて 俺は自由を失った―― end [次へ#] |