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31.scold





死ぬことを定められて生きているのってどれだけ辛いんだろう……






生まれた時には既に死ぬことを定められて






それのために、そのためだけに生きるなんて









俺にはきっと出来ない……












腕に刻まれたのは星痕症候群というらしい…
しかも初期症状。
それにスバルは侵された第一号だと。
そして今身体の中には人として持ってはいけない遺伝子が蠢いているらしい。






「調査は終わったわ…帰還するわよ」

「シスネ…」





あの夜パーティー会場を抜け出してしまいサポートできなかったがシスネは予定通り仕事を片付けた。
どんな手を使ったのかわからないがさすがはタークスだ、失敗は許されないからな…。





「もー…アナタはいつも浮かない顔ね」





腕を組み口を尖らせる彼女。
今はいつものタークスのスーツに身を包んでいる。
ミニドレス、可愛いかったのにな…





「…コトリに会えたんでしょ?」

「あぁ…」

「なにかあったの?」





あの夜、心が泣いていたアイツを俺は引き止めることが出来なかった。
桜の花びらが舞う中、彼の姿は風と共に消えた…





(俺はどんだけ無力なんだよ……)






無情にも帰還の時間が刻一刻と近づいていた。
























ウータイエリア南部。
神羅がウータイへとヘリで乗り入れすることは今も危険度が高く困難となっており、南部へと開けた高い丘に止めるしか手はなかった。




「"任務完了、帰還せよ"」

「了解」




短い応答、無線が切れる。
一台のヘリがヘリポートへと降り立ち人員回収の体制に入っていた。

期日であった4日が経った。
パーティー会場にて情報収集をした後、ウータイの闇企業達が使っている裏ルートを探り出し本部へと持ち帰れる情報を全て手に入れた。
しかしその間、ザックスは太刀筋に迷いがあったり常に上の空状態。
いつもなら難無く熟せる仕事もてこずってしまい、予定にギリギリで任務を終えたのである。




「ザックス、帰還するわよ」

「……」

「ザックス!!



もう…いい加減にしなさい!!」







パアァン…!!!!






渇き切った音が辺りに響き渡る。

頬に走るじんじんとした痛み。
よろける身体に脚を踏ん張り受け身を取ると余計痛んだ。
ああ、自分は叩かれたんだと気付く。




「任務中も集中力はないし普段ならしないヘマするし…っ、コトリと何があったか知らないけど全然アナタらしくない!!!」

「…っ」

「神羅に居るときもずっとふさぎ込んでて悩んでて、確かに信頼していた仲間がいなくなってしまったのは辛いし私じゃその気持ちを拭うことが出来ないかもしれない。けど、それはその人達が望んだアナタの姿?
違うでしょう…アナタは明るくて前向きで突っ走ってなんにでも立ち向かってく馬鹿、ザックス・フェアでしょうが」

「!」




ぐいっと頬を捕まれ引っ張られる。
それによって自然と視線が合わされ怒っていたシスネの視線と重なり、彼女はため息を吐くと柔らかく微笑んだ。




「この任務はもともと私一人で遂行すべき任務だったの、だから報告書は私が片付けておくから…そのブッサイクにしょぼくれた顔を直してきなさい!」

「ちょ、不細工じゃねぇし!!
俺は神羅のイケメンランキング上位TOP3に輝くザックス様だぜ!?」

「今はチョコボに蹴られた憐れな子犬よ」

「Σ酷ッ!!」

「ふふっ、やっぱりアナタは笑顔のが似合ってるわ」

「!」




腹を抱え笑う彼女。
こんな些細なことにも気づかないなんて、本当俺って情けないよな…。




「ありがとな、シスネ」

「ちゃんと帰ってきなさいよ?」

「ああ。俺シスネの作った美味い飯食ってみたいなー」

「…毒入りかもよ?」

「それだけは勘弁!;」

「ふふっ、まぁ考えとくわ」




手を振り別れを告げる。
ヘリはシスネを回収すると天高く舞い上がりミッドガルへ向けて飛び立った。

俺は最高な仲間を持てたんだなと誰にとでもなく感謝をした。





















………ガキィィン…ガガッ…



……ザシュッ













突如金属の交わる音が鳴り響く。
方向は11時の方向。
距離はざっと4km。
ソルジャーの聴覚でなくては聞こえない範囲。

明かに誰かが何かと戦っている。





(なんか胸騒ぎがする…)






ザックスは地面を力強く蹴った。
4kmなんてソルジャーにとったら数十秒。
全然難もない距離だ。






見えてきたそこには周りの荒野とは一風変わった森林。
目を凝らすと銀色の何か獣のような2匹が激しく金属を交えていた。




「まさか……オイオイ、嘘だろ…」




案の定、見慣れた姿が2つ。

誰もが憧れる神羅最高峰のソルジャー、セフィロスがしなやかに太刀を振るわせ周りの木を薙ぎ倒しながら標的である相手を追い凄まじい殺気を放ち長刀を振り抜いていた。

その先、一人応戦しセフィロスよりも少し短めの太刀を振るい舞う少年。
数日間、思い悩んだ種がそこに居た。




「スバル…」




身体に風を纏い太刀を振り抜く姿は普段から想像出来ない気迫と殺気で包まれていた。
セフィロスが太刀を振るいその合間にファイガを唱え相手へ解き放つもスバルはそれを一切し無に返せばブリザガを唱え太刀を振るう。お互い一つも引かない。

戦いの凄まじさは次元が違った。
一切する度に凄まじい金属音と破壊される地面や木々が醸し出す轟音。
桁違いの攻防戦。

……二人とも本気だ。




「セフィロスっ!!!」

「フンッ、甘い」




間合いを詰め一線。
しかし難無く交わされ反撃の一撃を放たれスバルは身を翻しその一撃を交わす。


しかし、ザックスは若干違和感を覚えた。






(あれ、もしかして…2人とも楽しんでないか?)







よくみれば負傷した痕もなくただただ交じり合う刃。
…若干周りには被害被っているけどさ;

どこと無く楽しそうな二人。




「あ…なんかムッときた…!」




セフィロスだけズルイ。
スバルと剣を交えたことなどなかった、それに久しぶりにセフィロスとも手合わせ願いたい。

ソルジャーの血が騒ぐ。

気付けばバスターソードを振り抜きザックスは凄まじい攻防戦の中へ飛び込んでいた。


end

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