28.treaty
ミッドガルの魔晄炉により掘り組み出される魔晄、ライフストリーム。
まがまがしい光を輝かせながら存在を見せ付けるその都市。
しかし、形あるモノは滅びるのが定め。
ミシリミシリと音を立てながら少しずつ"その時"を待ち詫びていた――…
「浮かない顔ね…」
幾戦のミッションやソルジャーに課せられる特別な任務と長丁場が続きやっと七日間の休暇が与えらた。
おかげで静まり返ったソルジャーフロア。
先日までの光景が嘘のようだ。
突如小玉する凛とした女性の声。
ザックスはソファーの背もたれに寄り掛かり見上げた。
「せっかくの休みなんだから息抜きをしに行ったら?」
栗色の髪色を揺らし彼女はため息を漏らした。
息抜き、ね。
短期間で色々ありすぎた。
おかげで頭の中や気持ちの整理も出来ずにいるまま。
だからザックスはこの休暇の間にすべて受け入れようと努力しようとしていた。
「…シスネは仕事じゃないのか?」
「今日はレノが逃げないように見張り」
「…それって仕事なのか?;」
「A級任務よ」
「どんだけだよアイツ;」
何事もなかったかのように気さくに話す、敢えて触れないのは彼女の優しさであろう。
「ふふふ…そんな事を伝えるために私がここに来たと思う?
ザックスにいい知らせよ」
「…いい知らせ?」
口端を上げ微笑む容姿端麗の女。
親友がこの世を去り信じていた人達の裏切りに立たされた絶望の淵、藁をも掴むかの如くザックスは手を差し延る思いで問い返した。
「ウータイにてコトリの消息を掴んだわ」
「!」
ジェネシスコピーの襲来以来全く触れられなかった名前にピクリと反応する。
神羅もクラス1stを失い打撃を受けていたさなか、それ所ではなかった。
しかし、この会社が一度取り逃がした獲物を野放しにしているわけがない。
「派遣された神羅兵の多数は稀少頭髪を持つウータイの暗鬼三人部隊によって殲滅されているって報告よ」
3人…
あいつ等ちゃんとスバルを護っているんだな…安心した。
「そして本題。
…明日未明、貴族達によって大々的に行われるパーティー会場の裏で行われるとある極秘密会調査のために機密任務、期間は4日間。
今回の開催場所はウータイよ。
出席する人々の多くは貴族や裏で主導権を握ってる組織の幹部、そしてウータイの長達…隠密がいてもおかしくないわ
ところで…ミッション要員は後一枠余ってるのよねー…名簿は今日中に提出なの」
「それって…!」
ニヤリと口端を吊り上げ微笑み彼女。
「ザックス…私のサポートとして任務に同行してくれない?」
言わずとも、答えは決まっていた。
end
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