16.assassin
動き出した―…
「なぁ、うちのご主人しらん?」
「貴様ら何者だ!?」
「ちっこい泣き虫さんなんやけど?」
「ウータイの者だ!構わん、撃ち殺せ!」
「しゃーない…どうやらお耳が腐ってはるらしぃ」
ジャキンッ…―グシャッ…!!
「他愛ないなァ…」
従順なる影達――…
「ねぇ、私のご主人様知らない?」
「し、知らん!!!女が戦場に来るな!」
「あらァ〜…じゃあアナタいらない☆」
「なッ…!」
ジャリリリリリッ…
ズシャッ…
主人を捜してさ迷い出した……
「こっちにもウータイの者がいたぞ!」
「………」
「なんだコイツは!?」
「デカイ剣!?」
「コイツッ…ば、化け物の瞳だ!」
「…………主を還せ」
「ひッ…くるなッ!」
ザシュッー…!!
「…スバルを…還せ」
『緊急発令!!緊急発令!!
ミッドガル八番街に身元不明の三人組が神羅兵を片っ端から惨殺している模様。死傷者既に120名強。直ちにソルジャーを投入し事態の収集を計る!!…緊急事』
神羅カンパニー内に緊急警報が鳴り響く。
情報からすると敵は三人。
しかしたった三人程度なのにこれほどの慌てぶりと死傷者の数は計り知れない。
ソルジャーを投入というのは尋常ではないことを示していた。
『来た……』
「え…?」
トリカゴの中、いつものように会話していた二人。
そんな中、突如スバルが小さくつぶやいたのをザックスは聞き逃さなかった。
どこか安心感を持った表情で。
スバルはガラスへ手を置くよう指示した。すると目をつぶりガラスに触れる掌へ力を込めた。
あの時と同じように―…
瞬間、まばゆい光りが手元を包む。
『…ザックス、
俺の仲間が恐らく下に来ている…血生臭い匂いをさせながら。
どうかアイツ等を止めて欲しい』
「仲間?」
ゆっくり瞳を開け手を離すと、ザックスの掌には何かの華の紋が浮かんでいた。
恐らく映写ってやつ。
『これ以上人を殺すのを止めてやらなきゃ、俺がさらわれて…アイツら頭に血が上ってて、今見境ないから』
「…わかった」
『これ見せれば俺が無事だとわかるから、…ザックス頼む』
映写された掌を握りしめザックスは頷くとエレベーターへと走りだした。
柱の裏に誰かが隠れていることも知らずに――…
「なんや、弱っちぃ奴らしかおらへんやないの」
「そーいう問題じゃないでしょ?スバルたんを連れ戻すのが先決!」
「……」
LOVELESS通り。
派手な髪の奴らが通りの真ん中を(二人だけだが)ベラベラしゃべりながら走っていた。
周りには紅い惨劇。
彼等の身体には綺麗とは言えない紅い模様が服や身体に飛び散っていた。
彼等はウータイの、スバル直轄の護衛隊とでも言おうか。
彼を護るためだけに存在する異端的存在。
だからなのかウータイを命懸けで護るとか平和を守るとかは彼等には一切関係ない。
ウータイ兵とは別の存在。
「あのビルが、神羅の穴蔵?」
「あそこ怪しい…絶対いるわ!」
「……スバル」
三人は武器を構え一気にビルへと突入した。
『ザックス殺されなきゃいいなー』
スバルはトリカゴの中にある止まり木に座り天井を見詰め暢気なことを吐いていた。
クラウドはきっと…大丈夫。
防音設備が整っているはずのその場所で外からの音は実際聞こえない。
しかし陰陽の力がある彼には嫌でも聞こえる外の音。
悲鳴、銃声。
『神羅、嫌い。
けど、死ぬ音のが嫌い…』
「クックックッ………何を言っているのだ、化け物め」
『!?』
不気味な笑い声。
セキュリティロックを瞬時に解除し三重の扉を潜って来た人物。
白衣の彼を見間違うことはない。
そう、彼は
――――宝条博士…
「私のサンプルをアイツ等に盗まれてたまるか…」
『サンプル、だと?』
「お前は私の実験材料なのだよ」
宝条はトリカゴから出て脇にあったスイッチを押した。
徐々にマテリアが光出す。
何をしたいんだコイツは?
まさか―――…
「古代種を易々逃したくないのだよ。私は面倒なことが嫌いでね…」
『ぐぁッ…!?』
マスターレベルのマテリアの一斉放出…
ふざけるなッ―――…!!!
『我を護れ…
蒼天を駆け巡りし疾風よッ!!』
両手を横へ振りかざし魔力を放出し耐える。
第一解放。
術にも耐久できる時間に限りがある。
恐らくあの三人ならこの魔力に気付くはず、……
スバルは少ない可能性にすべてをかけた……
end
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