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15.believe







訓練所からの帰りのデッキ……




そこにまた彼がいた。




























『クラウドは真面目だね』

「ソルジャーになりたいから…」

『そうか』





二人並んでミッドガルを見詰める。

不思議な時間。

普段生活している中で彼に会うことは全くない。
銀髪ならば必ず目につくから見逃すことはないはずなのに。

英雄と同じような銀髪に―…





「なぁ、アンタはいつもどこにいるんだ?」

『上』

「上?」

『なーいしょ!』





人差し指を立てて空を指すとその指を口許に当ててごまかす。



……あれから数回会った。



いつも此処で。
数分だけだけど、訓練のこととか出身とか他愛ない話しをした。
彼からは何も教えてくれなかったけど、






『…そろそろ行かなきゃ』

「また会える?」

『次は…わからない』

「そうか…」

『けど、またクラウドとは会えるよ』

「え?」





手摺りに腰掛け彼は空を見詰めて目を閉じた。

その姿はどこか消えてしまいそうで儚くみえるのは幻覚だろうか。






『強くなれ、心も身体も』

「…アンタは」

『スバル。それが俺の名前』





彼の銀に混じった青髪が雲から漏れる太陽の光に照らされて空のように見えた。

この人工的に犯された黒い空の下に。



『数日後、きっと嵐が吹き荒れる。クラウド、キミはビルの警備から外れちゃダメだ』



右手をとられぎゅっと握られる。

何か訴えかけられている気がするのは気の性だろうか…



『それと、神羅のヘルメットはつけないでいて。きっとこの髪色がキミを守ってくれる』

「髪色…?」



そっと金髪に指を通しながら彼は呟く。
クラウドは意味がわからないと、眉を寄せながら首を傾げた。

それと裏腹にスバルはニッコリと微笑んだ。



『時間だ…






またね、クラウド』



「スバル!

…また、また会えるんだよな!?」







『……………星の導くままに…』







そのままスバルは後ろへ倒れ込み、


再び消えた。






















意味深な言葉――…


クラウドは彼の触れた自分の髪に触れた。
先程の言葉を脳に刻みつけつつ消えた宙を見詰めて。




やっと聞けた彼の名前を紬ながら。












「また、会えるよな…スバル」




end

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