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他校
境界線ハードル


織田には父親がいない。
死んだ、とかそんな自然なものではなくて、離婚で。妹と織田の2人を1人だけで育てた織田の母さんはすごいと思う。すごく大変だったと思う。だから、それを分かってたから織田は三星にきたんだろう。

「スポーツ推薦は授業料免除やしなぁ」
おかんに負担かからんやろ?
織田の腕の中はいっつもあったかい。でも出てくる言葉は冷たい。雰囲気が。
「そっか」
「なんや、おもろない反応やな」「だって想像ついてたし」
織田の心臓、どくどくいってる。
「寂しくなかった?」
母さんとか妹と離れて。
どくん、大きくなった。
「…寂しい言うたら、カッコ悪いやろ」
なぁ、声が震えてんの、気のせい?
「…カッコ悪くない。織田だし」
だいたい、カッコ悪いとか思ったことねぇよ。
「そないなこと言うてると、都合ええ方で受け取るで」
あ、あったかくなった。雰囲気が。
「いーよ」
だってこのくらいが好きだ。お前が冷たくなってんのとか、ガラじゃない。
「お前はこのくらい、あったかいのがいい」
ぎゅう、って織田が吐きそうなくらい強く腕に力を込める。
「叶、意味わからんで」


はは、って苦しそうな笑い声。ちっさいからってなめんなよ。腕力には自信あんだ。
「お好きな意味で捉えてどうぞ」ついでに俺も捕らえてどうぞ?あ、もう手遅れだっけ。体を離したら、笑う目に苛ついてバシン。塞いでやりました。
「って、何すんねん」
「俺は冷たい人間なんで」
口のはしを吊り上げた冷酷人間は視界の暗い温和人間の唇に思いっきり噛みつきました。

大変、気持ち良かったです。












境界線
ハードル



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