Mi scusi *血表現 そこに存在するのは冷たいコンクリートと荒い吐息のあの人と人形みたいに転がったオレだけだった。 顔を殴られた。 多分、力いっぱい。 痛かった。 どこかでブチンて音がして右耳が音信不通。どうしちゃったんだろう。見えなくなったわけじゃないのにまっくらだ。 転がった床が暖かいなって思ったらオレの血だった。 (気持ちワリィ…) ズルズルと無理矢理起こされて今度は腹を蹴られた。 (蹴ったのは、肩に負担かかると困るからかな) バキって音がして、出てきたのは昼飯ではなく、やっぱり血だった。 あぁ、痛い。血がいっぱい。 「だ…じょ…ぶ…?」 喉も痛いからちゃんと伝わったか分かんないけど、大丈夫?って問いかけた。 だって、すごくつらそうな顔してるから。 今にも壊れてしまいそうだから。 「じゅ、ん…さ…」 その後はまっくらで。 でもその中でひとりの少年が声を上げて泣いていた。 Mi scusi (オレはだいじょうぶだよ) Mi scusi…イタリア語でごめんなさいなどの意。 [return][next] |