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夏の終わりにキスをして





「なんかさみぃな」
フェンスに寄りかかった慎吾さんは空を見上げながら言った。
「今週ずっと曇りらしいっすよ」

そう返すとうーんとかあーとか。とにかく慎吾さんは言葉を濁した。

風が吹いて半袖のシャツから出ている腕に少しの寒さを残す。あぁ、嫌だな。ただ素直にそう思った。

「夏も、終わりかな…」


この言葉を聞きたく無かったのかもしれない。オレの夏はまだあって、慎吾さんの夏はもう死んでしまったという事実。
(オレは、認めたくないんだ)

「つっても俺の夏はもうとっくに終わってたんだけどな」

地区予選のあの日に。

あぁ、あの日が慎吾さん、貴方の夏の命日。


気づいたら手にあったはずのペットボトルは落ちていた。

流れ出る飲料と空になるペットボトルが何かと重なって涙が溢れた。

それは慎吾さんの夏が死んだことになのか、よくわからないけど。


「迅、キスしてよ」

夏が終わっちゃった区切りにさ。




どういう意味合いの区切りなのかはさっぱりわからないけど、それはオレと慎吾さんのこれからのことかな、とぼんやり思った。







(そうか、飲料が無くなったペットボトルは慎吾さんが居なくなったオレに似ているんだ)



夏の終わりにキスをして

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