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聖闘士☆矢(年齢制限なし)
過去へ(ムウシャカ、ND)腐向け
 ムウとシャカが聖戦を生き延びてND世界のジャミールにいる設定です。
 NDネタ嫌いな方はお避け下さい。



 乙女座のシャカが、綺麗になった。
 十二宮で星矢達と戦った時に比べ、明らかに。
 牡羊座のムウは知らず知らずのうちにシャカの姿に目を奪われていた。
「…真面目に仕事をしたまえ。先ほどから手がちっとも動いていないぞ」
 聖戦後、ジャミール――。
 アンドロメダ瞬に貸したはいいが、本来の持ち主のようにはいかず、あっけなく破壊された乙女座の黄金聖衣の修復状況を見に、シャカが現れた。
 聖衣の墓場の亡霊など、もっとも神に近い男の前にはなんの障害にもならないらしい。
「そ、そんなことはないが……。シャカ、君まで来てしまって聖域は大丈夫なのか」
 うっかり、シャカの顔を見て答えたのがまずかった。
 よそ見して上の空のムウは、思いきり自分の指を傷つけてしまい、シャカはため息をついた。
「今のところは白銀中心になんとかやっているようだ。どのみち、聖衣がなければ始まらぬので私が生きていることは伏せている」
 シャカの秘密主義は今に始まったことではない。
 敵さえも自分の意のままに誘導する策士、乙女座のシャカは敵を欺くにはまず味方からと考えているらしい。
「…やはり本調子でないようだな。集中力がまるでない。アテナ達のことがそんなに気になるのかね」
 シャカはムウの集中力の欠如を、過去に向かったアテナ達が心配だからだと解釈したらしい。
 ムウが落ち着かないのは綺麗になったシャカが目の前にいるからであって、アテナのことはすっかり頭から抜け落ちていたのだが、朴念仁のシャカはそういった感情には疎い。
「い、いや違う…。君のことが気になって……」
 過去に向かったアテナももちろん心配ではあるが、聖衣を修復する役割があるムウは過去に向かうことは出来ない。
 聖衣が全壊しているシャカも、現時点ではやはり過去には行かれない。
「私が聖衣なしで単独で過去へ行くとでも思ったかね?」
 シャカは、気になるという言葉をシャカがむちゃな行動を取るかどうか気になるという意味だと解釈したらしい。
 たった一人で敵の本拠地冥界へ行った前科があるのでシャカならばやりかねないが。
「いや。そんなことは思わない。いくら君でも聖衣なしで時空間は超えられないだろう?」
 シャカならばやりかねないという懸念はないこともないが、黄金聖衣の修復状況を確認しに来たということは、聖衣なしで飛び出す可能性は低い。多分。
「…どうかな。危険な賭けになるから出来れば避けたいが、修復が間に合わなければ、最悪、聖衣なしで行くか、精神のみ過去へ飛ばすことになるだろう」
 ムウはドキリとした。
 せっかくともに生還したかけがえのない友が、危険な賭けをしようとしている。
「そんな……」
 ムウは黄金聖衣の修復は初めてである。
 黄金聖衣は、聖衣が死ぬほどの損傷を受けたことがないため、修復のノウハウがない。
 正直、どこからどう手をつけていいか分からない。
「君は現代でただ一人の修復師なのだからもっと自信を持て。多少デザインが変わっても、苦情は言わない。直してみろ、君の師のように」
 シャカはムウの顔を引き寄せると、額を押し当てた。
 ムウの師、先代の牡羊座のシオンと天秤座の童虎が傷ついた聖衣で支えあって立っている場面と、シオンが黄金聖衣を直している場面が見えた。
「私には修復技術の素養がない。私が見てもどうしようもないが、君ならば得るところもあるだろう」
 シャカの能力の一端に触れることで、ムウはシオンの代で失われた技術を知ることが出来た。
「ありがとう、シャカ…少し時間をくれ」
 乙女座の聖衣は、必ず蘇らせてみせる――。
 シャカは頷いた。
 このぶんなら、間もなく聖衣は元の輝きを取り戻すだろう。
「なるべく早く頼む。聖域では伝説の13番目の宮が出現したと聞く…嫌な予感がする、一刻も早く聖域に戻らねばならぬのだ」
 シャカは、新たな戦いを予感しながら、自分の役割に思いをめぐらせていた。
 しかし。
 同じ時、ムウは綺麗で魅力的なシャカの額の感触を思い出して頬を染めており…修復にはまだ相当な時間がかかりそうな状況だった。
 二人の前聖戦への参戦が実現するかどうかは、ムウの双肩にかかっていた。

 最初に書いた時からNDが多少進展したので加筆修正しました。
2013.9.16

 ここでNDネタバレします。

 瞬のピンチにシャカがまさかの再登場…!
 とりあえずシャカが時空を越えられることは確定しました。
 しかも涅槃から来たようなことを言う割には乙女座最大の奥義さえ普通に使える反則っぷり。
 シャカがいつかNDに出ると予想していたのが現実になって嬉しかったです。

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あきゅろす。
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