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聖闘士☆矢(年齢制限なし)
懐かしい思い出を友と語る(フドウ+貴鬼)
 テレビ版設定のいろんな話をこじつけたマイ設定大量です。
 なんでも許せる方のみどうぞ。

 サターンとの最終決戦が終わり、牡牛座のハービンジャーが正式に教皇の座に就いた。
 就任後初の祝宴が終わると天秤座の紫龍は妻が待つ五老峰に帰った。
 射手座の星矢はというと、女神沙織といい雰囲気になっている。
 二人の邪魔にならないようにと聡い双子座のインテグラが新教皇ハービンジャーを連れて…もとい、ほとんど引きずって退出していくのをきっかけに牡羊座の貴鬼と乙女座のフドウも早々に女神神殿から退散したが、正直飲み足りないので処女宮で二人で飲み直すことにした。
「やっと終わったな」
 般若湯と言いながら度数の高いアルコールを差し出した酒豪のフドウに、貴鬼が目を見張った。
 女神同席の宴会では葡萄酒中心でアルコール度数的にはたいしたことなかったが、ちゃんぽんして大丈夫なのだろうか。
「ああ、終わった。それにしても最終決戦の直前にどうにか戻って来られて本当に良かった」
 最終決戦に間に合わなかったら今頃、こうして般若湯を飲むこともなかった訳だ。
「…ああ、無事戻って来られて良かった」
 アテナエクスクラメーションの衝撃でフドウ、貴鬼、紫龍は異次元に飛ばされていた。
「この世に戻ったのはいいが、よりによって地下何十メートルも下に転移するか普通、とはあえて言うまい。掘っても掘ってもなかなか地上にたどり着かなかった時はあなたを殴ってやりたくなったが」
 あえて言うまいと言いながら言いたいことを言っている貴鬼はあまり酒に強くないのか、もう顔が赤い。
 どうせ味も分からないだろうからそのうち貴鬼の酒を水とすり替えようと思いながらフドウは言った。
「私の方向音痴は師に似たのだろう」
 一輝をお姫様抱っこしたまま五時間も異次元をさまよったり、女神沙織と冥界で迷子になっていた前科のある先代乙女座のシャカを引き合いに出すと貴鬼は嫌な顔をした。
「乙女座の最終奥義も使えない不肖の弟子がシャカ様のお名前を出すな」
「最終奥義は光属性だから火属性の私には習得出来ないのだ、私の努力とは関係ない」
 まだ属性という概念がない時代だったのでシャカは生前首を捻っていたのだ、才能豊かなフドウが何故シャカの持ち技の大半をいつまでも覚えられないのか。
「光?天空覇邪魑魅魍魎とかは闇っぽくないか?」
 貴鬼にはシャカの属性はよく分からない。
「天空覇邪魑魅魍魎はどう見ても闇属性だな。師は光と闇の両方を使えたのだろう」
 フドウはあいにく、持って生まれた火属性しか使えないため属性に関係のないオームやカーンは覚えたが、それ以外に不足する分は自分で技を開発するしかなかった。
「気安くシャカ様のお名前を出すなと言ってるだろう?」
「名前は出していない、私は師としか言っていないではないか」
「屁理屈を言うな。シャカ様はそんな口答えをお許しになったのか。ムウ様なら謝るまで永遠に空中回転くらいはやってのけられたものだが」
 ムウのおしおきにもめげず悪戯を続けた剛の者が過去を懐かしんで言うと、一見優等生に見えるフドウは静かに微笑んだ。
「行儀が悪いと判定されるとオームくらいはお見舞いされたが、弟子は大勢いたからそこまでひどくはない。お前のところのように一対一だとそうもいかないだろうが」
 なにせシャカには弟子が何十人、何百人といたのだ。
 シャカの弟子だったフドウも兄弟弟子が何人いたか知らないし、下手をするとシャカ自身、全部で何人の弟子に教えていたか把握していなかったかもしれない。
「シャカ様のところはたしかに弟子が多かったな。シャカ様に話しかけたい弟子が門前市をなしているのを見かけて驚いたことがある」
 師のムウと一緒にシャカを訪ねるといつもそういう光景が見られたのは貴鬼にとって衝撃だった。
「高弟と言われる立場にある白銀聖闘士達が面会希望者の列をさばいていたが、そう言えば先代孔雀座のシヴァを知っているか?シヴァはお前と声がよく似ていた」
「いや、私が見かけた高弟はアゴラとか言ったかな。ガタイがいい男で。孔雀座の聖衣は私が初めて女性用に改修したからよく覚えているが体格は普通だったと思うから別の男だろう」
 貴鬼はなかなか記憶力がいい、とフドウは感心した。
 たしかにシヴァの次に孔雀座に選ばれたのは女性聖闘士だった。
 彼女が聖闘士になったのはムウやシャカ達、先代黄金聖闘士達が嘆きの壁で散った後なので、当然貴鬼が改造を施したはずなのだ。
「そうか、会ったことはなかったのか。本当によく似ているのに」
 フドウは修業時代の過去を懐かしんでゆっくりと般若湯を口に運んだ。
「似ていると言えばムウ様とシャカ様は持ち技がずいぶん似ているな。どこかの誰かさんはシャカ様の技をほとんど習得しなかったせいで私とはあまりかぶってないが」
 フドウは苦笑した。
「防御壁と異次元技と幻惑か?あの二人はお互いに技を教えあっていたのではないかと思う。二人でよく特訓しているのを見た」
「我らも一丁やってみるか?」
 酔っ払っているくせにいやに乗り気で立ち上がりかけ、危なっかしくヨロヨロした貴鬼をフドウは静かになだめた。
「お前が酔ってない時にしよう。そんなにフラついては危ない、今日は処女宮に泊まっていけ」
 客用の布団を用意しに立っていったフドウの背中に、
「私は酔ってなどいない!」
 という酔っ払いのお約束のような台詞を投げつけた貴鬼は、フドウが戻ってくる前に眠りの世界に旅立っていてフドウを苦笑させるのだった。
 2014春の黄金祭り参加作品。
 無印のテレビ版の設定をガンガン使いましたので該当回を見ていない方のために補足。
 シャカはテレビ版で弟子がたくさんいたことになっています。
 フドウが紛れていてもおかしくないくらい大勢映ったんです、たしか。
 その弟子のうち、シャカの高弟として一輝への刺客になったのが、白銀聖闘士のシヴァとアゴラ。
 アゴラは何故か架空の星座ですがシヴァは男性で、貴鬼と同じ声優さんで孔雀座。
 Ω第一部で登場した孔雀座のパブリーンは女性なので聖衣がかなり変わっていて、貴鬼が関わっていてもおかしくないことから話を作ってみました。
 シャカは属性でいうと光と闇の両方を使えそうかなと思ったり。
 フドウは火属性と明言されているので属性が違う技は使えないためにオリジナル技が多い…と妄想。
 シャカが時空間のひどくねじ曲がった面倒なところから救援要請するまでに五時間かかった話はいろんなところでネタになっていますが、実際は迷子になってうろちょろしていただけだったり、ウラシマ効果かなんかで時間の流れ方が違ったのかもしれないけど、シャカが方向音痴だったらギャップ萌えもあって面白いですね。
 フドウも方向音痴で異次元でさんざん迷子になった後地中深くに出てそのせいで再登場が遅くなったとかだったらきっとかわいい。
 ただ埋まっていただけならすぐ出て来られるはずなので、そのくらいの事情がないとおかしいかなと。

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あきゅろす。
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