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聖闘士☆矢(年齢制限なし)
復活の日(シャカとムウ)乙女羊祭2010
 近くで懐かしい声が聞こえる…。
「ムウ…、アリエスのムウよ」
「その声は、バルゴのシャカか」
 私は覚醒した。
 目を開くと真っ先にまばゆい金髪が見えた。
 現状も何も把握出来ていないにも関わらず、私は何故だかホッとした。
「シャカ…?」
「そうだ、起きて早々すまないが君に頼みがある」
 シャカは珍しく普段着だった。
 聖衣を装備していないシャカの姿を最後に見たのはずいぶん前だったと思う。
「頼み…?」
 聞き返すとシャカは頷いて乙女座のパンドラボックスを取り寄せた。
 その中身は見事に木っ端微塵の粉々で。
 私は息を飲んだ。
「ずいぶん派手に壊してくれたな。いったい君は何をしたのだ」
 私の問いかけにシャカは憮然とした。
「…女神と青銅達の手助けをしてやらないかと海皇ポセイドンに打診されてね。帰って来れるまで相当時間がかかりそうだったから、海皇の力を借りて聖衣だけ瞬の元へ送ってもらった。その結果だ」
「それでこんな粉々に…、貸さない方が良かったんじゃありませんか」
 敬語で嫌みを言うと、シャカは言い訳を始めた。
「ポセイドン戦では黄金聖衣が破壊されていないから、貸しても大丈夫だと思った」
 寝ぼけポセイドンと覚醒ハーデスでは最初から条件が違う。
 しかもハーデスは自分の肉体だったのだから依代ポセイドンより強くて当然だ。
「星矢が射手座、紫龍が天秤座、氷河が水瓶座、一輝が獅子座の聖衣を装備して全員粉砕されたのだ。したがって、現在黄金聖衣は五つ全壊状態だ」
 聞き慣れた組合せの他に聞いたこともない組合せが混じっていた。
「一輝が獅子座の聖衣を装備って…アイオリアは一輝となんの接点もないはずなのにどうして貸したんだ?」
 あの脳筋、いったい何を考えているんだ。
 私が心の中で吐く毒舌に気づかずシャカは淡々と言った。
「一輝が獅子座だからだろう。そういう訳で、ご苦労だが早く直してくれたまえ」
 直すのはいい。
 いいけれども。
「壊した本人から献血させたらどうだ?君は前にもアンドロメダ聖衣の修理に血を提供しているし」
 私の名案をシャカは一蹴する。
「無理だな。星矢は三日以内にハーデスの剣を抜かなければ死ぬ瀕死の状態だし、紫龍と氷河は行方不明、瞬はハーデスの呪いを解くためアテナの供をして前聖戦時代へ行き、一輝も姿を消した。献血出来る者は誰もいないから自分の血を使うしかない」
 新しい情報満載の台詞に覚醒したばかりの頭がクラクラする。
「瞬がアテナの供?どうして?」
「その時点で聖衣をまとって同行出来るのは彼だけだったからな。もう少し遅ければカノンやミロが間に合ったのだが、いずれにせよ処女神のアルテミス神殿にいかつい男が行くのは差し障りがある。戦争を仕掛けるのではなく協力を求めに行く以上、私が行けない、君も聖衣の修復作業があるから無理となると結局瞬が同行するのが最善策だったろう」
「それはそうか…」
 聖戦の時代に聖衣なしで行く訳にはいかない。
 見かけによらず好戦的な性格の同僚が留守番を引き受けるのはさぞ無念だったに違いない。
「今までずっと大変だったんだな。シャカ、ありがとう」
 私が感謝の気持ちをこめてねぎらうと、シャカは微笑した。
「こちらこそ…、君が生きていてくれて良かった。ありがとう」
 これから先どんな困難が待っていようと、頼もしい親友と二人でなら恐れるものは何もない。
 聖戦を生き延びた幸運とお互いの無事を喜びあい、お互いの苦労をねぎらいあうことが出来て本当に良かったと思う。


fin.

 乙女羊祭2010の出品作品。
 星矢同人界に戻ってきて最初の作品でこの当時はまだサイト開設していませんでした。
 たしか投稿した時は一回限りの適当なハンネをつけた気がするので別名義だったと思います。

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あきゅろす。
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