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バスケ漫画小説(年齢制限なし)
【黛赤】オレがお前を女にする
 ラスゲ世界に性別「モナリザ」の君へパロ要素を注入した話。黛さん視点。
 性別モナリザは人は無性別者として生まれ、後天性で性別が決まる世界で、20歳までに性別が決まらなかった無性別者の生存例はないとされてる漫画です。
 赤司くんはラスゲ軸現在無性別者。
 バスケ関係はほぼ映画通りなのでWパロの要素は薄いですがWパロ元が元なので女体化苦手な方は回避をお願いします。
 大丈夫な方だけどうぞ。
 


 オレは黛千尋。性別、男。
 開闢の帝王洛山高校バスケ部を一度は退部したのに何故かバスケ界では知らない奴はいないほどの天才集団キセキの世代でキャプテンをつとめた逸材・赤司征十郎から直々に退部取り消しと必要な技伝授の提案を受けてバスケ部に復帰、レギュラーとしてWCに出場、準優勝という成績を残して引退という異色の経歴を持つ。
 情報量が多すぎて何を言っているか分からないと思うが、影が薄い凡人のオレがWC決勝に出場した唯一の三年生で、天才しか入れないと思われていたゾーン入りしてコートを走っていたのはたかだか何か月か前のことだったんだよなぁ。
 洛山高校を卒業後、京都大学に進学したオレは現在大学一年生。
 キセキの世代獲得校のオレと同学年の奴ら(東京進学組)がstrkyというストバスチームを結成して大会で優勝したはいいが、Jabberwockという外人チームにズダボロに負けたことは同じ高校出身でマネージャーだった樋口から聞いて知っていた。
 あいつらのリベンジマッチのためにキセキの世代+誠凛の火神黒子がドリームチーム、VORPALSWORDSを結成したことは赤司から聞いた。
 

「赤司!」
 Jabberwockとの試合が終わったばかり、会場のVORPALSWORDS控室前の廊下にいた赤司に駆け寄ってオレが後ろから声をかけると赤司は振り向いてオレの顔を見るなり嬉しそうに笑って言った。
「黛さん!遠いところを来て下さってありがとうございます」
 オレがマサイ族並みの視力の持ち主なら携帯電話画面に表示されていたオレの履歴をちょうど赤司の指先がタップする寸前だったことが見えたかもしれないが、普通の視力の持ち主のオレにそんなことが出来るはずはないので知るよしもない。
 オレが視認したのは赤司が手に持っていた携帯電話を使用せずにさっさとポケットにしまうところだけだ。
「電話かけるところだったみたいなのに悪かったな。……今少しだけ時間いいか」
「黛さんに電話するところだったので大丈夫ですよ。なんでしょうか」
 赤司がオレに用事?
「オレに用があったんならお前の用件から片付けようぜ。何か頼みたいことがあるんだろ」
 こっちの赤司はオレが練習中ずっと接していたあの赤司ではないが、それでも同じ人間の人格ではあるのでよく見ればなんとなく考えていることは分からないこともない。
 お忙しいとは思いますが、樋口さん達のリベンジマッチを行いますのでぜひ見に来て下さいというメッセージつきでチケットを送られたら挨拶に来ないなんて選択肢はなかった。赤司にとってはオレが今関係者以外立入禁止のここにいるのは想定内のことなんだよな、きっと。
「はい。黛さん、今日は免許証を持って来ていますか」
 三月生まれのオレは夏休みにやっと免許を取ったばかりだ。
「免許?財布に入れて持ち歩いてるけど……どこ運転させようってんだよ」
「実は火神がアメリカへ行くそうなので、その前に火神のいる誠凛とオレ達キセキの世代でリベンジマッチをしておきたいんです。景虎さんにさっき聞いたばかりで誠凛のユニフォームを取りに行ったりする人手がないので、黛さんに取りに行ってもらえたら助かるんですが……」
「誠凛高校の倉庫とかか。誠凛の奴らに自分で取りに行かせればいいのにあえてそうしないってことはサプライズで試合しようって申し込んでびっくりさせるつもりか」
 赤司は微笑んだ。
 自分の思考について来られる人間がいるのがよほど嬉しいらしい。
 電車に乗って取りに行くなら洛山の五将のあいつらでも出来るだろうけど車使うとなると免許持ってる大学生の出番だよな。
 カゲトラさんってのはVORPALSWORDSの監督のオッサンだっけ。たしか誠凛の女監督の親父で元全日本選手だとか聞いたことある。
「ええ、そうです。しばらくはささやかな祝勝会をやりますのでそれで時間を稼ぎます。その間に黛さんには車でユニフォームやバッシュを取りに行ってほしい。バッシュは足のサイズと好きなモデルを桃井が知ってますからスポーツ用品店には注文済みなので確認して受け取ってきていただくだけで大丈夫ですよ」
 足のサイズに好きなモデル…あいつの情報収集力なんなんだ。すげえな……。
 あと新品買っちゃうんだ……。
 まあ各人の家に取りに行く暇なんかないし新しいのを買うしかないんだろうな。
「分かった。じゃあ詳しい場所はカゲトラさん?に聞けばいいんだな。どこにいるんだ?」
「景虎さんならプレス対応中ですが…誠凛の監督は相田さんなのでそういうことは娘さんの方に聞いた方がいいと思いますね。彼女は桃井とあちらで撤収作業していますよ」
「OK、とっとと行ってくる」
 赤司がいつまでも抜けていたら目立つし、部外者のオレといるところを見られたらサプライズどころではなくなってしまう。
 慣れない車の運転をして無事にお使いをやり遂げたオレは荷物を届けた後、しばらく仮眠を取らせてもらった。
 誠凛対キセキの世代の試合は見なくてもキセキの世代が勝つって分かるしな。紫原が骨折で欠場したとしても誠凛は元無冠の木吉がいないし、火神黒子だけではどうにもならないだろう。

「黛さん、お疲れさまでした」
 一日に二試合こなしてさすがに疲れが見てとれる赤司に声をかけられ、オレは目を覚ました。
「おう。終わったんだな」
「ええ、勝ちました。黛さんが東奔西走して下さったおかげです。すっかり遅くなってしまいましたが黛さんの用件はなんだったんですか」
 赤司に不意にキスしたくなった。
「赤司」
 短く名前を呼ぶと、赤司は一瞬目を見張ったが、キス待ち顔になって目を閉じた。
 こういう時、アイコンタクトは便利だけど言わないといけない時もあるよな。
「赤司。オレがお前を女にする。お前が女になったら結婚しよう」
 赤司はオレの腕の中でびくりとしたが、それでも逃げはしなかった。 

 赤司は男だと思われているが、実際は無性別者だとオレは知っている。
 合宿でなんでみんなと一緒に風呂に入らないのか疑問に思って本人に聞いたら、当時表に出ていた第二人格の赤司が教えてくれたのだ。 
 あれから全く雰囲気変わっていないし、赤司は今も無性別者のままのはず。
 そして無性別者は長くても20歳までしか生きられない。
 日本有数の名家の子である赤司が20歳までに死ぬなんてとんでもないことだ。
 赤司の親父さんはありとあらゆる手を尽くして赤司を自分の後継者になる男にしようとしたが、
「僕はどうしても男にはなれなかった」
 と前の赤司から聞いている。
 親父さんが望む形ではないが、赤司が20歳以上生きる方法はもう一つ。
 赤司が女になることだ。
 だが、周りからは赤司は男だと思われているし天才でその上努力家で人並み外れて優秀でついでに懐に入れたごく少数の人間以外には威圧感もたっぷりの赤司を女役に出来る奴なんてそうそういるわけもなく。
 高校在学中は悩みながら赤司の隣にいたオレだったが好きなものは悩んでもしょうがない。
 平凡だろうがなんだろうが、そんなオレを赤司は文句も言わずにキスを大人しく受け入れてくれるほどには大事に思ってくれている。
 それが愛でなくてなんなんだって話だよな。

「逃げないんだな」
 オレが赤司の意思を確認して赤司の唇をペロリと舐めると赤司は熱い息を吐き出しながら口を開いた。
「オレが黛さんから…逃げる理由がありません」
 オレと赤司は舌をからめあい、濃厚なキスをした。
 逆に言えば、キスまでだ。
 こんなとこで本番までなんか出来るわけはない。
 でも、赤司と未来を約束するなら、どうしても今日でなくてはならなかった。
 赤司を守ってきた第二人格が消えた今日でないとどうしてもダメだった。
「そうか。…逃げていたのはオレの方だったのか」
 つぶやいて、赤司とまた唇を重ねる。
「赤司?誰と一緒にいんの?」
「高尾くん、シッ。あれは元洛山の…」
「黛さんか!そういえば、うちのユニフォームとか取りに行ってもらったって聞いたよ。幽霊に言う礼!キタコレ!」
 うるさい鷹の眼と旧型と鷲の眼にうんざりしながらオレは堪能していた赤司の唇から口を離した。
「お前らうるせえよ」
「黛さん、いつからここにいたんすか?」
「……最初からだよ」
「えー!!」
 洛山の時もそうだったが、赤司の周りは自然に人が集まるのでうるさくてしょうがない。
 だがそれも悪くないって思えるのだから、オレは相当赤司を好きなんだろう。
 赤司が無性別者で、無性別者は20歳まで生きられないと聞いた時からオレは赤司をずっとオレの女にしたいと思っていた。

 WC観戦に行って再会した赤司がちっぱいながら胸も出てきてすっかり女体化していてオレが驚くことも、
「もっとマメに会いに来なさいよ!アンタ征ちゃんの彼氏でしょうが!」 
 と実渕に気合い入れられるのもあと数か月先に起こる現実だが、この時点のオレが知る術はない。


【終わり】

 性別モナリザには有名な台詞がありまして。
 無性別者の主人公に男友達が「俺がお前を女にする」というのがあって、うわあこれ黛さんが赤司くんに言うところが見たい!となって書いた話。
 本当はエロで書きたいネタだったけどここ何ヵ月かエロもカプものもスランプでどうしても思うように書けませんでした。
 その代わりに赤司くんを影で支える黛さんを書いてみました。
 誠凛のみんなは試合するつもりでは来てないので、バッシュとかどうしたのかなぁやっぱり買ったのかなとか誰がユニフォーム取りに行ったんだ?
 やっぱり意味ありげに登場したくせにフェードアウトした黛さんかなとかリアタイ時脳内補完しながら見てたのでそのへんを一度書いておこうと思ったんです。
 桃井ちゃんの歌が伏線みたいになってますけど、桃井ちゃんの情報収集能力すごいですね。
 書きたい場面だけ切り取ったような短い話ですが気に入っていただけた方がいらっしゃれば嬉しいです。

 実渕くんの出身、風見中学は何県だと思いますか?アンケート
(前作[[jumpuri:逆行した黛さんが誠凛に転校してバスケする話 > https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14768551]]で実施中)にお答え下さった方ありがとうございます、この場でお礼申し上げます。
 栃木県と群馬県が同点なのでお時間ある方でまだ回答されてない方いらっしゃいましたらぜひご回答お願いします。
 ここまでお読み下さりありがとうございました。

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あきゅろす。
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