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バスケ漫画小説(年齢制限なし)
【黛赤】黛さんが天才になって逆行してバスケする話

 主人公が平均値がいいと言ったら神様が一番強いものと弱いものの平均値を取ったので人類の6000倍以上の力を手にしてしまった…!
 というあらすじの漫画を読んだのがきっかけで思いついたクロスオーバー。
 このネタは三年前に赤黛として書き始めて途中まで書いたところを、一ヶ月間期間限定公開していたものです。
 その後、続きを書けないまま三年経過したのでこの際黛赤に変更して書き直しました。黛赤の日十周年なのに逆カプのクロスオーバーのリメイクをお出しするとか誠に申し訳ありません。
 完成した経緯が経緯なので嫌な方は回れ右して下さい。
 クロスオーバー元が死に戻りからのチート化なので一瞬だけ死ネタがあります。
 死に戻り、逆行、黛さんチート化、年齢操作ありの原作改変ifものです。
 以上すべて問題ない方だけどうぞ。
  





オレは平均値がいいって言ったのに……

 洛山高校二年、黛千尋。
 オレは今、人生をやり直している。
 なぜかというと、赤司の死亡フラグを叩き折り、赤司の命を救って死んだからだ。
 赤司の命は全人類の命より重いくらい大切な宝なので、その宝を守って命を落としたオレは天国じゃ英雄扱いで。
 天国へ入る門が全開のVIP扱いで天使達にお出迎えされた時点でなんか変だなとは思ったけど。
 蘇らせるにあたってなんでも願いを叶えようと神様に言われたから、
「身長体格や考え方は元のままで他も普通でいいです。ただ周りの人間はオレのこと見下したりムカつくことしない可愛げのある奴がいいです」
 と答えたんだが。
 どうもオレと神様の間に認識の相違があったようで。

 オレの考えていた平均。
 年齢はザオリクで蘇るとして元の年齢。
 他の点は一般的な男子高校生の平均。
 もしくは洛山高校男子の平均。

 神様の考えた平均。
 黛千尋は高三。黛千尋が助けた赤司征十郎は高一。チームメイト達は高二。だから、間をとって高二で蘇らせよう。
 黛千尋の能力は……彼が生前一緒にバスケをしていた連中を基準として平均値にしておこう。

 ここで参考データ…… 
 赤司征十郎 身体能力9 技術10 スタミナ9 特殊能力10 精神力10
 実渕玲央 身体能力8 技術10 スタミナ8 特殊能力9 精神力8
 葉山小太郎 身体能力9 技術9 スタミナ9 特殊能力8 精神力8
 根武谷永吉 身体能力10 技術8 スタミナ10 特殊能力5 精神力9


 ちょっと待て、キセキの世代と無冠三人で平均なんか取ったら絶対一般的な平均値じゃない。
 ちなみに死んだオレは計算には入ってないけど、元のスペックは特殊能力10を除けば6ばっかりだからな?

 ともかくこいつらの合計を人数で割った平均値はこちら。(端数は四捨五入)
身体能力36÷4=9
技術37÷4=9.25→9
スタミナ36÷4=9
特殊能力32÷4=8
精神力35÷4=8.75→9

 50点満点中44点。
 これはひどい。
 こんなんただの天才じゃねえか!
「ステータスの振り直しを要求する。こんなの全然平均じゃねえ!もう一回やり直せ」
 オレの要求は一度だけ認められた。
「やり直しか、それなら善行をしたほうびに得意分野を強化してつかわそう。もう一回と言ったのはお前自身なのだから、これ以上の変更は認めんぞ」
 あれ?
 オレの言いたいことが伝わってなくね?
 神の意思によりオレのステータスは結局こうなった。
黛千尋 身体能力9 技術9 スタミナ9 特殊能力10(カンスト) 精神力9

 なんだこれ、やり直す前よりひでえ……。
 しかも10がただの10でなくカンストってなんだ、カンストって。
 しかももうやり直しできねえとかふざけんなよ。誰がどう見ても立派な天才の出来上がりじゃねえか。
 しかも高二に戻ったオレは無冠と同じ学年になっていた。
「あとちょっとで卒業だったはずなのに高二の春からやり直せってなんでだよ」
???「お前が死ぬと赤司征十郎が不幸になる。次こそは誰も死なない方法で赤司征十郎を救うのだ。よいな」
 えっそういうことは天国にいる間に言えよ。
 しばらく悪態をついてみたがもう通信が切れたらしく神様とはもう会話出来ない。
 やれやれ。
 オレはただバカにされたくないというささやかな望みを言っただけなのに、ひとこと平均値がいいと言っただけで天才にされてしまう惨状なのだからこの先何があるかわかったもんじゃない。
「そうだ、退部しよう」
 赤司と関わらなければ未来なんて簡単に変わるはずだ。
 しかし白金監督に退部届の用紙をもらいに行くと無冠三人と職員室前の廊下でさっそくエンカウントした。
「ちーちゃんやめちゃうの?どうして?やめたら寂しいよ、やめないで」
「そうよ、千尋がいなきゃ四天王が一人足りなくなっちゃうじゃない」
「そうだぞ、無冠の幻の六人目がいなきゃ始まらねえだろ」
 葉山、実渕、根武谷が口々に言った。
 オレへの呼び方がなんだか変なことになっているのは今のオレがこいつらとタメだからだろう。
 ちなみに実渕は呼び捨てすんなと言ったら「あら、ちーちゃんか千尋ちゃんの方がよかった?」とか抜かしたからちゃん付けは断固拒否した。
 そう言えば、葉山や根武谷のようなタメは呼び捨てだったが、赤司のことを征ちゃん呼ばわりしたり敵チームの主将つかまえて順平ちゃん呼ばわりしてたから平気でちゃん付けもする奴なんだよな。オレは断固遠慮したい。
 葉山もタメ年の根武谷のことをえーちゃんとか呼んでたからオレの名前の一文字を取ってちゃん付けは想定の範囲内だ。そんなのもちろん許さねえけどな。
「……無冠って全員植物つながりだよな。花、木、実、葉、根。オレだけ明らかに仲間外れじゃね?」
 なんでこいつらオレに仲間意識持ってるんだろう。
 解せない。
 四天王とかいう謎ワードも出てきてるし。
「今更何言ってんの。黛って色の名前でもあるけど青々とした山や樹木って意味もあるじゃない。樹木ならどう見てもアタシ達の仲間でしょ、仲間外れとかさびしいこと言わないでよ」
 あの神様の奴、オレに断りもなく後付けで余計な設定盛りやがった。
 オレは無冠の幻の六人目で、洛山四天王の一人なんだそうだ。もう意味分からん。
 そりゃ黛の漢字の意味は確かにそうだけど、黒の代わりと書くってことを忘れてねえか?
 そもそもなんでこんなにこいつらと親密度が高いんだ。
 まさかと思うけどこれもオレ抜きの洛山の平均値で決まったんじゃねえだろうな。
 無冠とひとくくりにされてきたこいつらは仲いいから、こいつらの平均値って相当高いんだが。
 見下される代わりに仲良くなってるとかそれはそれで絵面がキモイな。

 オレがフラフラといつもの屋上へラノベを読みに行くとそこに赤司がやって来た。
「黛さん、ですよね」
 屋上でのファーストコンタクトをもう一度やるつもりか。このラノベヒロインが!
 オレが欲しくもねえ天才能力押し付けられたのは全部こいつのせいだ。
 いや、待てよ。
 オレが助けたのは両目が赤い、自分のことをオレと呼ぶ赤司だが、ここにいるのはオッドアイの僕っ子赤司だ。
 もしかして、僕っ子赤司をオレっ子赤司と交代させずにいれば赤司に死亡フラグは立たないし、オレも対外的には平凡な一般人のままですむのか?
 問題はどうやって交代を防げばいいんだということだ。
「黛千尋、あなたに新型の幻の六人目になってほしい。視線誘導とパス専門の選手になるための指導は僕に任せてくれ」
「……それオレに今までのプレイスタイル捨てろってことだよな。ちょっと即答出来ないからラノベでも読んで待ってろ」
 オレは手に持っていた時計仕掛けの林檎と蜂蜜と妹。を差し出した。
 赤司は暇つぶしにとけいも読んで、林檎たんのファンになった。
 こいつ、こんなにチョロかったのか。
「かわいいな……。スペックもラノベヒロインみたいだし……」
 うわ、声に出して言うつもりなんてなかったのになぜか声に出して言っちまった。
 もしかして、言いたいこと言う度合いも平均値か。あいつらも赤司もみんな言いたい放題だから、こんなのが平均値になった日にはオレまで言いたい放題のキャラになっちまうわ。
 勘弁してくれよ。
「か、かわいい?僕が?」
 言われ慣れていないことを言われたせいからしくなくきょときょとして頬を染めてオレを見上げる赤司はめちゃくちゃかわいかった。
 普段はあまり表情を崩さず無表情か品のいい微笑や人を見下ろす威圧感たっぷりな表情のイメージがあったが周囲の人間から赤司様と様付きで呼ばれる完全無欠の赤司が実は照れるとかわいいとか、不覚にもギャップに萌えた。
「ああ、すげえかわいい。頭撫でさせてくれ」
 赤司の頭を撫でて髪梳いてやっていたら、赤司は気持ちよさげにされるがままにしばらく頭を撫でられていたが、ハッとなってオレを見上げ言った。
「ず、頭が高いぞ。……僕に従わないならこれ以上頭撫でさせてやらないぞっ」
 噛んだ。
 赤司が噛んだ。
 どんだけ動揺してんだよ。
「なんだこのかわいい生き物。撫でるに決まってるだろ。頭が高いっていうなら座ろうか。座ればそれほど変わんねえだろ?」
 オレはアンクルブレイクされる前に赤司を抱きかかえて座り込んだ。
 うりうり、と頭を撫でくり回すと赤司は真っ赤になった。
 葉山はくっつき虫、根武谷は背中強烈にぶったたいたり割と接触が多い方だから、平均値だとオレもベタベタするタイプになってしまう訳か。
 前は人と距離を置くタイプだったんだが。
 赤司は困惑した様子で首をひねっている。
「やめろ……。お前は初対面の人間になれなれしくするのを嫌いそうなタイプだと思ったのに、なんでこんなことするんだ」
「かわいいから。それにお前とは初めて会った気がしないからお前は特別?いいぜ、新型の六人目になってやるよ。よろしく頼むな、おぼっちゃん?」
 一周目で屋上で会ってるオレ目線だと今日初めて会った訳じゃねえけど一応初対面らしく挨拶すると赤司は顔を自分の髪色みたいに真っ赤にして「か、かわいい…?」とつぶやいた。
 赤司がこんなにかわいいなんて知らなかった。
 親密度が上がらないと見られないスチルみたいなもんか。
 そうだよな、赤司のゾーン初披露の時も無冠三人の前でだけ見せたぐらいだから元々スタメンの中ではオレだけ親密度が低かったのだ。
 親密度が上がればかわいいスチルやエロいスチル見られるのはギャルゲーの基本だから、これからはオレが見たこともないかわいい赤司をいっぱい見られるってことか。
 すげえテンション上がる。
「ああ、すげえかわいい。赤司」
 オレがかわいいかわいい言いすぎたので照れた赤司にキレられるまであと少し。


★★★

 
 オレの新型の幻の六人目としての初仕事はインターハイ決勝、洛山対桐皇戦だった。
 一周目のIH決勝は赤司が青峰を説得して試合に出場させなかったらしいが、一周目と同じことをやっていたらオレが自分の命と引き換えにしない限り赤司の死亡フラグを折れない。
 また死ぬのはごめんだから今回は一周目と同じ行動はしない。エースを出させないとかそういう八百長を疑われそうなことは阻止だ、阻止。
 その結果、一周目の高校時代は実現しなかった赤司対青峰という夢の対決が実現。

黛千尋 身長182センチ、体重69キロ
 身体能力9 技術9 スタミナ9 特殊能力10(カンスト) 精神力9
 これが今のオレのスペックだ。
 一方桐皇同ポジションの青峰のスペックは
青峰大輝 身長192センチ、体重85キロ
 身体能力10 技術10 スタミナ8 特殊能力10 精神力9
 オレが天才になったと言っても、それでもまだ埋められない実力差がある。強くなっちゃったらつまんねえとか言って練習サボってると聞いたがそれでもこれなんだからほんとに恐ろしい奴だよな……。
 まあオレ一人で青峰に勝とうと思うほどバカじゃねーよ。
 チームで勝てりゃそれでいい。
 
 点を取られては取り返す殴り合いのような壮絶なシーソーゲームが始まった。
 青峰がオレ達をスペックで上回ると言っても奴のスタミナは8だから終盤戦になればオレらより先にスタミナが切れるだろう。青峰以外の桐皇の選手に洛山レギュラーが負けるとは思えないからチームの地力の差で最終的には勝てるはずだが、オレには一つ試したいことがある。

 WC決勝の時、オレは赤司のパスを中継することで根武谷をゾーンに入れたことがあった。
 言い換えれば、オレのパスでも味方をゾーンに入れるサポートは出来るってことだ。
 赤司のゾーン入れサポートの原理は、ボールの縫い目まで計算に入れた精密なパスにより味方の動きをよくするというものだがそれの上位互換は火神が誠凛の連中とやっていたアイコンタクトによる味方のゾーン入れサポート、ダイレクトドライブゾーンだろう。
 あの原理を解明して真似出来たらパスを回す時間もいらないってことだから最強だよな。
 火神もオレと同じPFだし……。
 
「最強は青峰や」
 桐皇キャプテンの今吉が食えない笑みを浮かべて言う。平均身長が182センチの洛山には青峰に高さで勝る選手はいないが、仮にこのコート上で一番強いのが青峰だとしても洛山には四点プレー可能な実渕もいるし、点を取る力が桐皇に負けてる訳ではない。
 桃井の予測で虚空の仕掛けを見切られたとはいえ、実渕の方が桜井より身長が高いので分かってたとしてもそうそう止められやしない。
「いや、最強は洛山だ」
 赤司が三年の今吉に一歩も譲らず堂々と言い切った。
 帝光中の時、個人技で頭抜けてた青峰が練習をサボりだした時、サボりを容認するしかなかった赤司とは違う。キャプテンとして開闢の帝王洛山をごく自然に率いる今の赤司ならエースに練習をサボらせるなど許容しないだろう。
 最低限の連携しかしない個人技重視の桐皇とオレを軸にした連携で戦う洛山ではチームのコンセプトがそもそも真逆だ。

 洛山レギュラー全員とオレの親密度が高いからか連携は一周目のWCの時と比べてはるかにスムーズだ。
 そしてもう一つ。
 オレには奥の手、自分への視線誘導もある。
 青峰のサーカスシュートのタイミングに合わせて視線誘導してやれば、シュートの精度はかなり落ちる。
 何故外したのか、理解出来ない様子の青峰を尻目に逆転した洛山。
 目から灰色のビームを放ち、五人全員ゾーンに入っている洛山に対抗出来るのは桐皇には青峰しかいない。
 だがその青峰には体力の限界が着実に近づいている。
 赤司のアンクルブレイクに膝を屈した青峰の姿は洛山対桐皇の結果をそのまま映し出しているかのようだった。


「切り札をこんなに次々に見せてしまって、WCはどうするつもりだい?」
 洛山のIH優勝が決まると、赤司がオレをとがめるように言った。
 もう次のWCのことを考えているのが赤司らしい。
「今回はオレがゾーン入りを誘導したけど、次はお前らが自力でゾーンに入って一段上に行けるようにしたい。今回には間に合わなかったが実渕に新技身につけさせたいしな」
 天、地、虚空だけでなく新しい技を習得させるつもりだ。案はある。
「僕は?」
 赤司が妙に期待しているような目でオレを見ている。
「お前?天帝の眼の射程を伸ばすとか、自由自在にゾーン入り出来るようにするとかかな。お前の能力は今でも十分チートだけどな」
 ともあれ、この日、青峰は敗北を味わった。
 青峰が真面目に練習するようになって新鋭の暴君が劇的に変化し、東京の勢力図がこれを機に大きく変わることになり、未来が大きく変わることをオレも赤司もまだ知るよしもなかったのだった。




 火神に怯んだ赤司くんをヘルプに行った原作WC決勝の黛さんが好きです。
 赤司くんのピンチを救いに現れる黛さん、後方彼氏面で赤司くんを優しく見守る黛さんに萌えるし尊いと思います。
 黒子くんのチートはよくみかけるけど黛さんのチートは見かけた記憶があまりないので今回、黛さんに思う存分チート化してもらいました。
 黛赤の日おめでとうございました。

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