バスケ漫画小説(年齢制限なし) 【腐向け】新型の幻の六人目と魔術師が初めてバスケをする話【黛ナシュ2】 [[jumpuri:『新型の幻の六人目と魔術師が出会って距離を縮める話』>https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8616485]]の続編です。 一ページ目(このページ)が前書き、前作のあらすじと地雷回避用注意書き 二ページ目が本文 三ページ目が後書きです 前作のあらすじは、 ジャバウォック対ヴォーパルソーズの試合直後、選手控え室前で赤司くんと黛さんが話してたところをナッシュが偶然目撃。 ナッシュは黛さんに話しかけて秋葉原を案内させ、一緒にメイド喫茶に行ったりした後、景虎さんに電話し、火神くんがアメリカへ行くことになったと知る。翌日、ロサンゼルス行きの飛行機の搭乗口にて黛さんと早くも再会。 しかも二人が九月から通う大学はバスケの強豪としても有名な名門カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)だった。 今回もナッシュ視点。 原作に出てくる人々の他にモブも出ます。 それなりに重要な立場のモブには色名か色に関係する名前を割り振ってます(ヘッドコーチはブライトさんにしました) 洛山無冠を便宜上英語苦手キャラにしました。 洛山のモデル校のレベルからして本来もっと出来るはずですが、気合い英語でなんとか通じるレベルであまりうまくはないってことにしてます。 黛さんが無冠に対して塩対応です。 無冠の扱いがあまりよくないので和気藹々とした仲良し洛山のファンの方は自己責任で閲覧お願いします。 他カプ要素について注意書き。 実渕くんが赤司くんをたぶん好き。ナッシュと黛さんの想像なので詳細は不明だし、攻め受けも判明しませんが、赤司くんをネコかなとか言う場面があるので嫌な方はご注意下さい。 ナッシュのファーストキスは昔アレックスさんに奪われていた模様です。 何かタグの注意書きも必要だと思う方は追加していただいてかまいません。 こんなんでOKな方のみどうぞお進み下さい。 [newpage] 黛をUCLAバスケ部コーチのところへ引っ張って行って挨拶させ、半ばというよりは100パーセント強引に黛がバスケ部の入部テストを受けられるようブライトヘッドコーチに認めさせたオレだったが、この段階ではまだ黛のプレーを直接ちゃんと見ていない。 普通、名門チームへ入部を希望する場合、自分はどんなプレーを出来るのか過去のベストなプレーを選りすぐった自己PR動画を編集して提出し、アピールするのが一般的だ。 オレは有名人だからそのへん省略されて電話一本ですんなり了承されたが、並のプレーヤーが正規の方法で強豪チームへ入部を目指す場合は動画の提出を求められることが多いと聞いている。 動画の内容がよくても入部テストで結果を残せなければもちろん意味がないが、UCLAくらいの超強豪だとそもそも入部テストを受けさせてもらうだけでも大変なことなのだ、普通なら。 「お前がどのくらい動けるのか見てみたいな。入部前に大学の体育館は借りられねえし、まずは公園で軽くやってみるか」 黛の過去のプレーは、インターハイとウィンターカップの決勝に出ているらしいから探せば見られるだろう。 現状、どの程度動けてどこを改善するか課題を把握しておかなくては。 オレにしては最大限に気を使って提案してやったってのに黛の反応は嫌そうなジト目だった。 「オレ、ブランクがある上に飛行機の中じゃお前に手握られてたせいでおちおち寝れなかったし、時差ボケで眠いんだけど」 手ぐらい振りほどけばよかっただろ。 こっちが目覚めてからどんだけ驚いたと思ってるんだクソが。 「時差ボケなんざ現地時間に身体を合わせりゃ自然と直るさ。オレだって眠いがそんなことよりバスケの方が大事だ、ゴタゴタ言わずにyesと言え」 オレが黛のノーを封殺して公園に引きずっていこうとすると、「魔王だの天帝だのオレの周りには自己中しかいねえのか」とかぶつぶつ言いながら黛は仏頂面をしていた。 天帝ってアカシか? 同じ眼を持っているとはいえ比べられるのは正直不愉快だ。なにせ負けたばかりの相手だ。 だが、黛が一緒にプレーした中で一番実力が高いのは間違いなくアカシのはずだからオレがあいつより優れていることを証明しない限り、恐らくずっと比較され続けるだろう。 「おい、誰が自己中だ。お前のために考えてやってるのに自己中とはなんだこの野郎」 オレが蹴飛ばしたくなるのを我慢して(敵であるクロコのことは容赦なく蹴飛ばしたオレだったが、さすがに同じ大学の仲間になるこいつを蹴らない程度の自制心はある)黛の胸ぐらをつかむと黛は冷めた目でオレを見上げて言った。 「お前が必要なのは旧型君なんだろ?青峰や火神や緑間辺りならこっちでもきっと通用する。日本人を見下してるお前が自尊心を押さえつけてでもあいつらとなら一緒にプレーしたいと思ってもおかしくない。だが、オレは間違ってもお前の興味をひくような選手じゃない。日本の高校バスケですら旧型君と同じミスディレクションを使える以外はごく普通のプレイヤーにすぎなかったオレに日本人嫌いのお前がわざわざ声かけたのは、旧型君の代わりとして利用できそうだからだろ。黒子はまだ高校生で日本にいるから無理だがあいつの二番煎じのオレはたまたまこっちの大学に来ていた、だからあいつの代わりにしようと思った、そんなとこだろ」 黛に指摘されて初めてオレは気づいた。日本人を見下していたはずなのにその日本人の黛と同じチームでプレーしようと自分から提案していたのは普通じゃないってことに。 黛の言う通り、アオミネやカガミやミドリマ、あとシルバーとやり合ったムラサキバラならこっちでもじゅうぶん通用するだろう。 奴らの速さ、ジャンプ力、シュートの正確性などが日本人離れしていることは認める。 だが、奴らが同じ大学に来たとしてチームメイトとして受け入れはするだろうが、積極的に関わろうとまでは思わない。 何故だ。 何故黛だけ例外だったんだ? 「違う。お前がアカシと話してるのを見なかったら声をかけてなかったのは間違いないし一見クロコに似てると思ったのも確かだが、あいつはもうちょっと丁寧な物腰だし、同じ幻の六人目といってもまるで別物だ。オレはお前にクロコの真似をしろなんて下らねえことは言わねえし、最初からそんなこと望んでもいない。バスケがなければ関わることもないあいつらとお前は違う」 一度やめたバスケ部に黛を復帰させたアカシが新しい幻の六人目になって欲しいとか言っておきながら結局は奴を公開処刑したせいか、黛の警戒心は思ったより強かった。 そもそも黛がバスケの選手だったことすらオレは最初は知らなかったってのに。 黛がアカシの高校の先輩ということには早い段階で気づいたがクロコと同じ技を使えることなど偶然飛行機で隣り合わせにならなければ知るよしもなかった。 ただなんとなく黛が隣にいるのはオレにとっては自然で、まるで昔から友達だったみたいな安心感があって、心地よかったからオレは・・・。 「・・・オレの言葉使いが綺麗じゃないことぐらい知ってる、だから語学学校で矯正するんだろうが。まあいい、チーム始動は10月だろ?それまでにどうにかしておく」 黛の英語は矯正が必要なほどひどいとは思わないが名門UCLAの授業に外国人留学生がついていこうとすれば相当の努力をしなければならないのはたしかだ。 それに学業成績が悪いと試合にも出られないから語学という不安要素をつぶしておきたいのは当然ではあるのだが。 「待てよ、まだお前のプレーを見てもいないんだぞ、こっちは」 「お前のPCに動画送るから見ておいてくれ。なまってた身体を鍛え直して最低限高校時代並みにはどうにか動けるようにしておく」 どうにかって、どうやるつもりだ? オレが聞き返そうとした時、やっとバスが来た。ショルダーバッグから封筒を出した黛は空港で両替した時に入れてそのままっぽい封筒からじゃらじゃら小銭を出した挙げ句に道路にいくつか落としてしまった。 「・・・何やってんだ、お前。クソだせえな」 オレは案外鈍くさい黛にいらっとしながら小銭拾いを手伝ってやり、バスが発車してしまったのでてめえのせいで乗り遅れたと苦情を言おうとすると、黛の姿は忽然と消えていた。 黛がいない・・・? 次の瞬間、オレは状況を把握した。 あの野郎、小銭を囮にしてオレから注意を逸らして逃げやがった。 「は・・・?何考えてんだあの野郎・・・!」 小銭をまいて注意をひいてバッグをひったくるとかアイスを服につけて謝るふりしながら財布をスルなんていうのは犯罪の初歩も初歩でよく聞く手口ではある。 しかし、平和な日本から来た日本人の黛がまさかオレにやるとは思わねえから完全に油断していた。 相手は(本人は二番煎じと謙遜していたが)あのクロコと同じ技が使える元幻の六人目でしかもクロコより身長が高く、身体能力は恐らくクロコより上で、アカシの推薦込みとはいえ日本のバスケの強豪校レギュラーだった男だ。 油断なんかしていい相手じゃなかったことくらい分かっていたはずなのに黛の視線誘導に簡単に引っかかったオレは我ながら間抜けだった。 しょうがねえ、今日のところは大人しく引き下がっといてやるさ。 視線誘導のコツをもっと覚えてアカシより上手く黛を使いこなしてみせる。 そのためにはあいつの動きが分からねえとどうしようもない訳だが。 約束通り送られてきた動画には普通にコート上でプレーする黛が映っていた。 strkyの連中と大差ない速さで普通に点を取るPFとしての黛がそこにいた。 これじゃアカシの推薦がなければ一軍に上がれなかったのも納得だ。フォームは安定していてフリーなら外さない安心感はある。日本で優勝経験があるだけあってレベルはそれなりに高い。決して下手ではないんだが、なんつうか地味すぎて印象に残らない。視線誘導がなければ並の選手だという黛の自己評価は正しい。 得意なプレーはミドルシュートか。 ミドルシュートは試合中最も多く放たれる間合いのシュートであり、インサイド主体のポジションであるPFもCも、アウトサイド主体のGも撃つ機会が多い。だからシュートだけ見る限りは印象に残らないが、元々はPFではなかったのをコンバートされた名残なのか動きがあまりPFらしくない。 PFにしては身長も身体能力も全然物足りないので基本的にリバウンドはCの8番が飛ぶ。チームで二番目に背が高い6番のSGがフリースローの時は一応リバウンド要員に加わってはいるがリバウンドは場所取りも上手くないしフィジカルも足りてないから正直いてもいなくても変わらない。それにしては下手すぎて浮くこともなく普通に溶け込んでいるのは影が薄いからなのかなんなのか。 「不思議な奴だよな・・・」 黛は目立たないのに明らかに何かを持ってる奴だと思う。 その何かを感じたからこそアカシだって退部した黛をわざわざ呼び戻してまで幻の六人目に育成した訳だし、オレもわざわざ視線誘導の勉強始めたり、黛のプレー動画を見て研究している訳だ。 UCLAには実力のある部員は恐らく掃いて捨てるほどいる。オレが一度は挫折して諦めかけたバスケエリート街道をひた走ってきた奴らも大勢いるだろう。そういう大学だから当たり前だし、そいつらを使った方が多分、というより間違いなく楽に勝てるだろう。 なのになんでわざわざ黛のバスケ動画なんか何回も見直してんだ、オレは。 視線誘導を試合で本格的に使ったのはWC決勝の一度きりだと聞いていたが、黛から送られた動画には肝心の決勝のものはなく、催促しても一向に返事がこなかった。 結局電話番号も教えずにバックレていやがるし、よっぽどあいつのメイド姿をインターネットに晒してやろうかと何度も思ったが、チームの始動に間に合わせると言い切ったからには何か考えがあるんだろう。 こっちもジャバウォック脱退、実家からの引っ越し、慣れない一人暮らしとやることは山積みで目が回るほど忙しく正直、黛のことだけ考えてる訳にはいかないためついそれ以上催促せずにそのままにしていた。 そんなある日、UCLAバスケ部から着信とメールが来た。 「君が入部テストを受けさせるよう推薦したチヒロ・マユズミが日本の洛山高校バスケ部に在籍していたというのは事実なのか?洛山高校に何度か問い合わせたが、そんな選手はいないと言われたんだがね」 ・・・幻の六人目だからっていくらなんでも幻すぎんだろ、マジかよ。 黛が送ってきた動画に洛山高校のアカシをはじめ、日本の高校バスケではキセキに次いで有名な存在らしい6番、7番、8番と一緒にプレーする姿が映ってることや、試合後にアカシが見せた黛へのなつきっぷりから考えても黛が洛山バスケ部にいたことを否定する材料はないはずだが、まさか画面でも影の薄さ発動していて見つけられないんだろうか。 「・・・今からそっちへ行きます」 黛のPCメールにお前、洛山高校にいなかったことにされてるみたいだぞと書いて送ってから自分のノートパソコンとUSB、それから練習着にバッシュ等の荷物を持ってコーチのところへ向かうことにした。いかに黛が視認しにくいと言ってもオレがこれだと指さして見せれば見えない訳がない。 途中、体育館の入り口付近で東洋人が数人何やら騒いでいた。 「マユズミを知ってるか?日本人で灰色の髪の男だ」 「マユズミさん知らない?オレら彼に会いに日本から来たんだけど」 「さあ?聞いたことないな」 新入生はまだ練習への参加を許可されていない。入部テストに指定された時間にはまだ早いため、今来ているのは一足先に練習を始めることを認められている上級生だけだ。その上級生の一人がすげなく答えた。 入部が内定しているオレでさえ参加を許されていないのに入部テストすら受けられるかどうかの黛を上級生が知ってるはずもない。 「サンキュー」 東洋人はガックリした様子で礼を言うと内輪話を始めた。 『ダメだな、なんで誰もあの人知らねえんだ?』 『でもオレらだってアカシに紹介されるまで一年間同じ部活にいたの知らなかったじゃん?たった何日かでマユズミさん認識すんの無理じゃね?』 一年間同じ部活で知らないとか洛山高校ってのはどんだけ大所帯なんだよ。 『あら、アタシはいい男チェックしてたから顔だけは知ってたわよ?ああいう薄い顔はタイプじゃないからいつの間にか忘れてたけど』 こいつホモか・・・。 黛はタイプじゃないなら一応害はないんだろうが。 『お前だって結局覚えてなかったんじゃねえか!』 日本人にしては肌の浅黒い坊主頭の男がツッコミを入れている。 こいつはまあまあ常識人枠か。 それにしてもなんでこんなところに黛を探してる奴がいるんだ? 「お前らなんか用か」 面倒臭いが、黛を知ってる奴がわざわざ訪ねて来た以上知らん顔は出来ない。 これがアカシなら余裕で追い返して心も痛まない自信があるがこいつらに恨みはねえし、とりあえず話を聞くくらいはしてやってもいいと思い、問いかけると黛と大差ない身長の茶髪の男が叫んだ。 『ジャバウォックのゴールド!なんでここにいんの』 こいつかってのオレのチームが日本でやった試合のことを知ってたようだ。 オレはジャバウォックから既に脱退したんだが、さすがにそこまでは情報が伝わってないらしい。 「オレはこの大学の学生だ」 英会話が下手な日本人にも分かるように簡単な単語でゆっくり言ってやると、茶髪のやけにうるさい男は写真を差し出した。 「あのさ、マユズミさん分かる?この人!」 茶髪のこいつ、黒髪のホモ、浅黒い肌の坊主頭、赤毛のアカシが映っている端っこに黛らしき灰色髪の横顔が映っている。 「フッ、これで探せるとでも?」 いくら特徴的な髪色とはいえ、こんな横顔の写真一枚でひとを探せると思ってんのか。 『バカね、顔が見えなきゃ分かる訳ないじゃない。私の秘蔵写真が火を吹くわよ』 ホモが自信満々に取り出したのはスキー場らしきゲレンデでスキーウェアに身を包み、ゴーグルをつけている集団の写真だった。 「この人知らない?」 『ねえレオネエ、これいつの?』 『一年のスキー教室の時のクラス写真をヒグチさんに頼んで焼き増しさせてもらったの。ちょっとちっちゃいけど正面顔が映ってるのこれ一枚しかないっていうから』 こんな写真しかないくらい影が薄いんだな。 オレは黛に同情した。 「あまりにも小さすぎて見えねえな」 そもそもスキーの写真って時点でスキーウェアにばかり目がいくから顔識別しづらいだろ。 最後列で目立たずに立っている黛は元々小顔なせいもあり余計に顔が小さく見えた。 『これはどうだ?珍しくよく撮れてるんだが』 坊主頭の奴が出したのは異常に長い前髪がモサッと顔にかぶさっていて目が隠れて全然見えない灰色髪の男の写真だった。 誰だ、こいつ。 オレが呆れ顔をしてると茶髪が坊主頭に言った。 『エーちゃん、前髪切る前の黛さんじゃ雰囲気違いすぎて分かんないよ!もっと別のないの?』 『ねえな』 『あっ、これは髪切った直後の黛さんよ』 『超ブレてる!』 『これならブレてないわ!』 『見切れて半分しか映ってないし!黛さん、三年生唯一のスタメンだったのに引退式に欠席したから一人だけ部の記念写真もないんだよね。ひぐっさんに聞いたけど卒アルの黛さんの写真のとこは空白だったって。赤司も写真持ってないって言うし。ひぐっさんと赤司が持ってないなら誰も持ってる訳ないか〜』 オレは黙ってスマホを操作し、黛と秋葉原に行った時見た『時計仕掛けの林檎と蜂蜜と妹。』を通販のページから探し出して見せた。 黛の写真を見せれば一発で分かることだが、黛の写真はメイド姿のものしかないのでこいつらに見せたくない。 「お前らが探しているのはこういう感じのヤングアダルト小説が好きな男か?」 『そうそれ!カバーかけずにいっつも持ってる、絶対黛さん!』 「こいつなら、幻すぎて洛山に居なかった扱いされてるぞ。大学からの問合せに答えるのは職員だろうからお前らに言ってもしょうがねえが」 『なんて言ってるの?長いし速いし聞き取れないよお』 『アタシだって英語は得意じゃないわよ!得意教科は古文と漢文なんだから!』 「黛は居なかったってどういうことだ?まああの人本当は居なかったって言う奴もいるけどよ」 いるのかよ! どんだけ幻なんだ。 本家のクロコは中学生の時から全国大会に出場しているので影が薄いと言いながらも調べればそれなりに出てくるが、高校三年生の数ヶ月しか活躍してない黛は映像資料が極端に乏しい。 「・・・あいつが一度入部テストを受けるところまでこぎ着けたのは確かだが、洛山高校バスケ部で実績を上げたと証明出来なかった結果、入部テストも受けられるか微妙だ。大学側が母校に問い合わせた時そんな奴はいないと言われて電話を切られたそうだ」 『なんて言ってるんだ?』 『proveって証明?出来なかった?』 『そんな奴いないとかなんとか?』 『あの人一回退部したから書類上はやめたままになってて直ってなかったとかか?』 『シロガネ監督ならいないなんて言う訳ないと思うけど学校の事務課の人とかだと書類だけ見て機械的に答えたりしちゃうのかしら?』 『女子の名簿だけ見て、いないって言われちゃったのかなあ。あの人、名前だけ聞くと女の子かと思うような名前じゃん?実際はあれだけど』 『今の誰か英語で言える?』 『そうだ、グーグ○翻訳なら・・・!』 こんな三バカとチームメイトだったとは。 相当苦労したはずだし、日本の奴らに情報漏洩するなと念を押されたのも道理だ。 「こっち来い」 『え?』 『来いだって。あっちに黛さんいるのかな?』 そんなことは言ってねえのに勝手に勘違いすんな。 三バカがついて来たのを確認してオレはコーチのオフィスを訪れた。 「ナッシュ・ゴールド・Jr.です。チヒロ・マユズミの件でブライトヘッドコーチとアポイントメント取っていて来ました」 アシスタントコーチの取り次ぎで中に入れてもらうと三バカは部屋の中をキョロキョロした。 「黛さんどう見てもここにはいないよね?ここ監督の部屋だよね」 『でもチヒロ・マユズミって言ったよな』 『黛さんと知り合いみたいだけど、そもそもどうやって知り合ったのかしら』 三バカがこそこそ話している間にブライトヘッドコーチがやって来た。 「ナッシュ、ようこそ。来てくれてありがとう。そこの少年たちは?」 「チヒロ・マユズミの知人だそうです。おい、自己紹介しろ。名前、高校、年齢、ポジションを言え」 オレが自己紹介を促すと三バカはキョロキョロして誰が先頭を切るか押し付けあってから順番に答えた。 「洛山高校バスケ部三年、ハヤマ・コタロウ。ポジションSF」 「洛山高校バスケ部三年、エイキチ・ネブヤ。ポジションC」 「洛山高校バスケ部三年、レオ・ミブチ。ポジションSG。あの、私達、チヒロ・マユズミに会いに来ました」 彼らの下手すぎる英語日本語まじりの説明によると彼らは今修学旅行という日本の高校三年が集団で旅行をする行事でロスに来ているとのこと。 こいつら三人だけ来てアカシがいないのはアカシは高校二年なので行事の対象学年ではないためだ。 ロスと言ってもアナハイムにある有名なネズミの国観光が本来の目的地だそうだから勝手に別のとこに行っていいのか謎だが、海外なんてティーンエイジャーにとってそうそう来られる場所じゃねえし、こんな時でもなきゃ来れないんだろう。 高校側には自己責任で後でせいぜい説教されればいい、そこまでオレは知らん。 「チヒロ・マユズミは洛山高校ではどんな選手だった?」 「・・・影?彼は洛山の影と呼ばれてた」 「彼はミラクルパスを出せます」 『影が薄いんだけど周りをよく見てて、口数少ないけど大事な時は必要なことを言える人、WC決勝でアカシに気合入れた時みたいに!』 『コタロウ、あんたそれ全部英語で言うのよ?』 『うわー、英語わかんねえー』 三バカは三人とも英語が達者ではなく、拙い英語でつかえたり間違えたりしながらも口々にブライトヘッドコーチに黛のいいところをアピールした。 洛山高校のHPを見ても日本一に何度も輝いたバスケ部のページにアカシとこの三バカは載っているからこいつらが洛山バスケ部なのは間違いないし、こいつらが黛と一緒にプレーしてきたと主張し証人になるなら黛がバスケ部にいたことを疑う余地はないはずだ。 元々卒業証明書等で洛山高校の卒業生であること自体は確認が取れていて、バスケのPR映像くれと母校に催促したらいないと言われて混乱させられただけだから目撃証人がいれば今更疑われはしないだろう。 「実はここに彼の自己PR動画があるんだが、本人が映っていないので困惑しているところだ。一緒に見てもらえないかな?」 ブライトヘッドコーチはPCから一つのフォルダを選んで開いた。 ヘッドコーチが開いたのはオレが見たことがない動画だった。 『あっ、黛さん!なつかしー』 コタロウとかいううるさい奴が見切れている黛を指差すと、次の瞬間アカシがパスミスしたかのようにボールが転がり、誰かの手で角度が変わった後、ボールは6番の手に渡った。 状況から考えれば黛の仕事だろう。 『今のパス、黛さんからもらったのよ。これ黛さんが初めてスタメンで起用された時じゃない?』 『レオネエ、それ英語で言うんだよ?』 『もう!分かってるわよ』 レオネエと呼ばれたゲイの奴がだいぶ怪しい英語で「今のボールは黛のパスです」と言った。 黛が本領を発揮している時は一瞬で何が起きてるか分かりづらいため予備知識なしだと何もしてないように見えるらしい。 黛にとって影として活躍した瞬間を切り取ると、常人には認識されなくなるようだ。 「君達は何故ここに来たのかな?」 ヘッドコーチの当然な質問に三バカは言った。 「マユズミさんに会いたくて来ました。修学旅行前に偶然学生課に行った時、マユズミさんのことでUCLAのバスケ部から何か問い合わせがあったって聞いたから。彼がバスケを続けているなら嬉しいと思って」 実際はこんなにまとまってない、間違いだらけのグダグダなひどい英語だったが、満足に英語をしゃべれもしないくせに黛に会いたい一心でこいつらがわざわざ来たと聞いてヘッドコーチは思うところがあったのか、オレに言った。 「ナッシュ、君は時間は大丈夫かな?」 「・・・とっくに入部テストが始まってる時間ですよ」 嫌な予感に思わず嫌な顔してしまったが、ヘッドコーチは涼しい顔で言った。 「君の入部は既に決定しているからせっかく遠いところから来た彼らを案内してやってくれ。ところで君達、バッシュは持って来ているか」 三バカが大喜びして言った。 「はい、持ってます。私達にバスケさせてくれるんですか?」 「いいとも。準備が終わったら体育館に来なさい。ナッシュ、君もだ。後はまかせたよ」 高校生にバスケさせる? マジかよ。 オレにも準備しろってことは三バカ対大学生の3on3ではなさそうだ。 日本じゃキセキに次いで有名な奴らだとは言っても全米大会優勝回数No.1のUCLAバスケ部の連中と張り合うのは普通に考えて無理だからだ。 高さからして違うし、オレが入っても相当キツいことに変わりはない。 ということはオレの力を誇示してみせろってことなのか? 点取ればいいのか、それとも能力で劣るこいつらを使いこなせってことか? 「・・・オレについて来い」 更衣室に三バカを連れて行く間、三バカはオレに黛さんとどうやって知り合ったのとか下手くそな英語で盛んに話しかけて来た。 「日本訪問した時、試合会場で偶然会った」 と簡潔に事実を告げると、 『えー、黛さん来てたんだ?一緒に試合見に行こうよってメールしたら無理って二文字で返信よこしたくせに。来れたんなら教えてくれりゃいいのに〜』 コタロウとかいう奴が日本語で不満を漏らした。 黛はそういうベタベタした付き合いを嫌いそうなイメージがある。 返事を二文字ですまされたと言っても返事が来るだけ上等だ。オレのメールには返事が来たためしがねえってのに。 「っていうか、なんでアンタまで着替えてんの?もしかしてアタシ達とアンタで3on1なの?」 ゲイの奴が使ってる日本語を参考にカマっぽく訳してみた。ゲイとカマは違うのかもしれないがまあこんなもんだろ。 「それはない。お前らのようなザコを何人倒そうが無意味だからな」 「なんだとてめえ!」 『やめなよ、黛さん探しに来て騒ぎ起こしたら後で監督と赤司に怒られるよ』 怒られるからやらないってこいつ小学生か。 険悪な空気のままアップをすませて体育館に行くと新入生達は試合形式でテストされていたらしく、ほとんどの者が汗だくになっている。 オレは三バカを連れて戻って来たことを報告しようとして息を飲んだ。 汗をかいた様子のない黛がアシスタントコーチに、 「オレだけテストまだなんですが」 と話しかけて、 「まだ一人いたのか?」 だの 「マネージャー志望じゃなかったのか?」 と驚かれている。 「選手希望です。オレにチャンスを下さい」 物静かな黛が食い下がる姿に三バカが反応した。 『黛さん、やっぱりいたのね』 『誰にも気づかれないでぼっちとかあの人らしいな。変わってなくて安心したぜ』 それ安心していいのか? アメリカじゃ存在を認識されない奴が生きていくのは日本以上にキツいはずだぞ。 「君にはこのメンバーと一緒にテストを受けてもらう。キャプテンはナッシュ・ゴールド・jr. 」 ヘッドコーチは近くにいたオレと三バカを指して言った。 黛が驚いたように目を見開いた。 まさか日本の後輩が来ると思ってないだろうからそりゃ驚くよな。 だが人選自体は極めて妥当だ。 オレは一年のアカシが洛山のキャプテンだったと黛から聞いている。一度も一軍に上がれずに二軍で埋もれていた影の薄い黛にキャプテンの経験がある訳ねえし、高校生の三バカにキャプテンやらせる訳がない以上、オレがキャプテンになるのは予定調和と言っていい。 「ナッシュ・ゴールド・jr. ってストバスのプロだろ?なんでここにいるんだ?」 「たしかストバスチームは脱退したって聞いたが、うちの学生だったのか」 「あいつも入部希望なのか?ホントかよ」 ざわめく新入部員達をよそに、日本人どもはなんの緊張もなく日本語で通常運転で会話していた。 『何?withって一緒にだよね?黛さんと同じチームでやらせてくれんの?』 『セイちゃんの代わりにゴールドがキャプテンなのは気に入らないけど、アタシ達の力を見せてあげるわ』 『黛、よろしくな!いいパスくれよ』 『お前らなんでここにいんだよ・・・』 日本語なのに会話が成り立ってすらいない四人にオレは頭痛を覚えた。 一年間同じチームだった割にちっとも仲良さそうに見えないんだが。 「久しぶりだな。少しはマシになったか?」 黛の調子に探りを入れると、黛は無表情なくせに心なしか誇らしげに言った。 「まあな」 こうして一度も一緒に練習したことのない奴らと組んでいきなり名門UCLAバスケ部と対戦することになった。 他の新入部員達はみな即席チームなのに対し、黛が(洛山三バカがアポなし訪問してくるという予想外の事態にも助けられ)知った顔と同じチームなのは奴の影の薄さを考えれば恵まれてはいる。 黛のプレースタイルは知らない奴ばかりのところで機能できる性質ではないから黛を認識できる眼を持ったオレや影の薄さに慣れている三バカと一緒にプレーできるこの機会にアピール出来なければ黛が合格するすべはないだろう。 「てめーら足引っ張るなよ」 名門UCLA入りを目指しているだけあって相手チームの新入部員候補はこっちの高校バスケで有名だった奴ばかりだ。 C、PF、SFは6.6フィート(2メートル)超えてるし、PGやSGもオレやゲイの奴と大差ないから全体的にデカイ。 『この身長差はヨーセンみたいな感じね』 「ヨーセン?」 三バカに日本語が分かると知られると面倒だ。 黛に小声で聞くと奴は答えた。 「キセキのムラサキバラがいる高校だ。2メートル越えが三人いて高さが売りの高校。ムラサキバラとWエースと呼ばれてるヒムロは技巧派のシューターで、帰国子女だって聞いた」 帰国子女というのは外国から帰って来た奴のことだろ。ロスに住んでた日本人のヒムロというシューターに一人心当たりがあるんだが、あいつこっちで最近見ねえと思ったら日本の高校にいたのか。 「そいつは多分知ってる奴だ。バスケの邪魔になりそうなくらい前髪伸ばしてて片目が隠れてる。いかにも女にモテそうな黒髪の奴だろ」 教わった時期は違うものの金髪の女師匠にバスケを教えられた兄弟弟子なのは、そこまで言わなくていいか。 「ああきっとそいつだ、世の中狭いな」 『ねえ、それより作戦とかどうするの?』 「ジャンパーはネブヤ、リバウンドが劣るチームの勝率は30パーセント以下と言われてるからいかにそいつが踏ん張るか、あとイージーショットをどれだけ確実に決められるかが重要だ』 イージーショットってのは言葉通り簡単なシュートのことだ。 どフリーでシュート外す奴がいると誰だってテンションが下がるしチームの士気もがた落ちする。イージーショット決めてこうぜという掛け声はバスケの世界じゃ聞きあきるぐらい聞く言葉だ。 『オレが重要だって?』 ネブヤが結論はだいたい合ってるが細かいことは分かっていない様子で言った。 日本では中学校から英語を学ぶそうだから5年以上やってるはずなのになんでそんなに身についてないんだ? 数週間日本語のレッスンを受けた程度のオレの日本語力とこいつらの英語力が大差ない気がするのはどう考えてもおかしいだろ。 『そうだ。それから昔、アカシが言ったことがあるだろ、千尋のことはいないものと思えって。オレはいないものとしてプレーしろ』 「は?待て、こいつらだけ使えってのか」 お前の入部テストなのにお前使わなきゃ意味ねえだろ。 高校生の三バカがプレーを許されたのは黛の高校の後輩がわざわざ訪ねて来たから大学バスケの雰囲気を味わわせてやろうというヘッドコーチの親切というか気まぐれの結果であり、三バカをテストする訳じゃないのであり得ない発言に信じられない思いで聞き返すと黛はあっさりと肯定した。 「少なくとも第一クウォーターはな。WC決勝でもオレの影の薄さが機能し始めたのは第二クウォーターからだから。さっき注目集めたばかりだし、しばらくはなりをひそめないと影の薄さがすぐなくなっちまう」 なんだそれ、影の薄さって減るもんなのか。 黛の特性に使用制限があるなんて、そんなの聞いてねえぞ。 問い詰めようとしたが時既に遅く、試合前の作戦会議として与えられた時間は終了してしまった。 そういえば日本で対戦したクロコだって長時間は試合に出てねえ。 黛は洛山で事実上のレギュラーだったはずだが、一試合ミスディレクションをぶっ続けで使ってはいないってことか。 計算外というか、それだとかなり予定が狂うな。 ビブスを思い思いに取る。 オレはキャプテンだから当然四番として、五番が黛、六番ミブチ、七番ハヤマ、八番ネブヤ。 普通、番号でポジションはだいたい決まってる。 四番がキャプテン、五番は大抵PGかC、六番はSG、七番はSF、八番はPFみたいに。 「黛とネブヤ、普通逆じゃねえのか」 五番は副キャプテンのことも多い。 黛の影の薄さからあり得ない気もするが、実は黛は副キャプテンだったのか。 軽く疑問に思ったオレにネブヤが答える。 「オレが元々PFだったけどCに変わった時、背番号変わるの嫌だって言ったんだよ。ミブチが副主将だからミブチが五番でもよかったけど、ミブチも番号変わるの嫌がって結局黛が五番になったんだよな」 「幻の六人目なら当然二桁だと思ってたから五番を押しつけられた時は驚いたな・・・」 PGでもCでも副キャプテンでもない五番って珍しいなと思ったらそんな理由か。 何もかもイレギュラーな男だ。 「日本人に負けてジャバウォックを首になった奴に日本人とプレーさせるとかヘッドコーチはドSだな。ご愁傷さま」 敵チームのセンターでキャプテンのホワイティが声をかけてきた。 心理作戦と分かってはいても蹴り飛ばしたくなるほどムカつくが、言い返さずに睨み付ける。 「・・・なんであいつオレが日本人って分かったんだ?」 そこまで認識されてないはずなのに解せぬという顔をしている黛には、三バカが誰彼構わず日本から来たとか言いまくったせいだと後で教えてやることにしよう。 「お前じゃなくて三バカが日本人だと知られてるだけだろ」 こうしてゲームは始まった。 オレがいたジャバウォックはメンバーが全体的にデカいって訳ではなかったが、シルバーという絶対的なセンターがいたおかげで制空権を握った状態で戦えていたのは大きかった。 だが、今のゲームでは制空権は敵チームの手にある。 ジャンプボールの時の高さは段違いすぎていっそ笑えてくるレベルだった。 その上、黛は自分のことはいないものと思えと宣言し、数に入れるなとか無茶ぶりしやがるし。 オレが個人技で点取るのは簡単だが、それじゃあ黛の特性を生かせないし、黛の力をアピール出来ない。 「・・・」 黛の特性は影の薄さを生かした機動力と敵チームの意表をつくパスだろ。 洛山の影、か。 光があって影がある。 ならまずオレが派手に点取って目立てばいいってことか。 日本にヒムロがいると聞かされて、芋蔓式で久しぶりに金髪巨乳の女師匠のことを思い出した。 子どもの頃は点取るのが面白くて楽しくて夢中でバスケしてたっけな。 向こうの守備はオレに常に一人つき、残りは箱型に2-2のゾーンを作るボックスワン。 突出して力のあるPGやSGを警戒する時、使われることがある陣形だが、やや特殊な守備だ。 アウトサイドのシュートに対するチェックが遅くなるという弱点、四人のゾーンの真ん中にパスを入れられると守りにくいという欠点があるのでそこをつかない手はない。 マンツーマンでついてる奴を振り切って3pを撃つ。アウトサイドからある程度撃たれるのはしょうがねえっていう陣形だからか向こうも動揺した様子はない。 クソ、もっと慌てろよ。 問題はこっちの守備だ。 高さで勝ち目がなく、ほとんどプレッシャーをかけることが出来ていない。 点は取れるが、向こうにも取られるシーソーゲームが続き、ストレスのたまる試合展開。 一番ストレスがたまるのは常に張りつかれっ放しで都度都度間合いを調整したり振り切らなきゃいけないオレなんだが、最初にブチ切れたのは意外にも7番のSFだった。 『外、外、外ってさっきから攻撃が外ばっかじゃん!真ん中切り込めばよくね?お前ビビってんの?』 こいつ、もっとバカだと思ってたが、バスケの知恵は少しはあるようだ。 外一辺倒だったのは向こうの守備を崩壊させる布石だったんだがオレはネタバレはしない主義だ。 「誰がビビるかよ。・・・黛、もういいだろ、そろそろ働いてもらうぞ」 「ふう」 黛は大きく息を吐いた。 『お前ら、パスがほしけりゃあちゃんといいところにいろ。でないとあいつ一人で点取って試合終わっちまうぜ』 あいつってオレのことかよ。 別にオレは自分のことだけ考えてワンマンプレーしてた訳じゃないんだが。 黛の皮肉っぽい激励に三バカは奮起したようだった。 『ゴールドにばっかいいカッコさせてたまるか!』 『まかせて、今日はアタシがセイちゃんの分まで黛さんの光になるわ!』 『ってか、黛さんが指示すんの初めて見た!明日は雪降るんじゃね?』 『ロスの市街地で雪なんか降ったら異常気象だ。降らねえよ』 そこから本領を発揮した黛の活躍は期待以上だった。 一瞬のスキをついてのスティールからの変幻自在なパス。 存在感の薄さを利用してフリーになり、オレのパスからの平凡すぎて印象に残らないが外しはしないミドルシュート。 すぐ姿を見失う新型の幻の六人目の脅威に敵チームの守備があっという間に崩壊する。 素早い7番が走り回り、マッスルマッスルと叫ぶ8番がゴール下で身体を張り、三種類の3pを撃ち分ける6番がミドリマほどではないがじゅうぶん高いシュート率で点を稼ぎまくる。 オレ以外敵チームよりスペックで劣ってるこいつらが戦えるよう魔王の眼で試合の動きを先読みして幻の六人目を使ってパスを出したり、自分でも点取りに行ったりするのは力でごり押しするのとは別の面白さがあってPGとしてもやりがいがある。 バスケってこんなに楽しいスポーツだったんだな。 バスケのエリートの道から脱落してストバスに転向していた頃のくすぶっていた気持ちが嘘のようにバスケが楽しい。 キセキの世代が目の前で何人も入って行った、オレがまだ入ったことのないゾーンの入り口が見えてきた気がする。 終わってみれば大差の勝利だった。 敵だと憎たらしい幻の六人目が味方だと、こんな面白いことになるのか。 いや、水色のチビと一緒にしたら黛に失礼だ。 こいつは名門UCLAですら下手くそすぎて目立つことがないよう、影の薄さ込みならさほど目立たない程度まで自分のスペックを引き上げてきたのだ。 黛と同じチームでやるバスケは序盤のストレスが嘘のように楽しかった。 しかし、ブライトヘッドコーチはホワイティが言うとおり、本当にドSだった。 「次、メンバーを入れ替えてもう一ゲーム見せてもらおう。白のキャプテンは・・・」 バスケエリートどもが次々に名前を呼ばれていき、その中に今戦った両チームからは黛一人だけが呼ばれて連戦でまたやることになった。 『あれ?今度は黛さんだけ?オレらは?』 「・・・いろんなメンバー入れ替えて試すんだろ。同じハイスクール出身のお前らとの連携では結果出して見せたから、他の奴と一緒でもやれるか見極めるんだろう」 「アンタってセイちゃん・・・、VORPAL SWORDSのアカシ・セイジューローと同じ、黛さんを見つける特殊な眼を持っているわよね?」 洛山の副キャプテンだというミブチはアカシを変なあだ名で呼びつつ話しかけてきた。 「ああ、魔王の眼と呼んでる。それが?」 「アンタはセイちゃんと同じように黛さんの能力を活かしてみせたけど、他の外人にはそんなこと出来ないんじゃないの?」 ここじゃお前らが外人なんだがな。 「多分な」 「それじゃ黛、ヤバくねえか?」 それは三バカに言われなくてもオレにはとっくに分かっていたことだ。 結論を先に言うと、メンバーを入れ替えてのミニゲームでは黛のいいところはたいして見られなかった。 最大の理由はポジションの入れ替えで黛がPGをやらされたためだ。 特殊な眼を持つオレやアカシがいない状態で黛を使った場合どうなるか。 身長、身体能力的にC、PF、SFはどうにもならない。日本でならまだしもアメリカじゃ通用しない。 SGとしても3pを撃てない(成功率が低い)と起用しづらい。しかも黛を認識出来ない人間にはパスを出せないため使いこなせない。 そうなると他に適性がありそうなポジションはPGしかない。 周囲への目配りができ、パスも上手いといった点ではPGに向いていると思われてのテストだったのだろう。 日本一になったチームのレギュラー、しかもミブチいわくセイちゃん=アカシの相棒としてアカシとアイコンタクトだけで意志疎通していただけあって黛は不慣れなポジションの割には案外無難にゲームメイクをしていた。 こいつ何やらせてもそこそこには出来るイメージがある。 が、PGとしてボールに長く触れると彼の最大の武器である影の薄さがなくなるので、身体能力がNCAA(全米大学体育協会)バスケ界でよくて平均、恐らく下位に位置する黛にはデメリットしかない。 注目が集まれば消えていく影の薄さ。 影の薄さがなければバスケの本場アメリカでやっていくには足りなすぎる身長、身体能力。 カットを切ろうとするたびに体力を削られていった黛は、高校時代の動画よりは成長が見られるが、スタミナ不足という弱点も露呈し、当然入部テストに落ちた。 *** 三バカから洛山高校の現地引率者の携帯の番号を聞いたアシスタントコーチが、三バカが大学に来ていることを連絡すると引率の教員が大学まで迎えに来るという話になったらしい。 日本の高校の教員ってのはそんなこともしなきゃならないのか、大変だなと傍観していると、コーチが黛に、三バカと一緒にいてくれと頼んでいた。 入部テストに落としておいてこき使うのかひでえなと思いながら見ていたら意外に面倒見のいい黛が了承したので、みんなで飲んでいいよとコーチはイオン飲料水を何本か置いていった。 たぶん協賛の会社から提供されたものだろう。 大学バスケはアマチュアだがすげえ金が動いてるし、このくらいは訳もないはずだ。 教員の到着を待っている間、イオン飲料水をグイグイ飲みながら出るのはやはり黛の入部テストの話だ。 『黛さん惜しかったね、最初勝った時はいけるかと思ったのに』 『一回勝っただけで合格させてくれる訳ねえだろ。希望者は大勢いるんだから』 『黛さんPGって珍しいもの見せてもらったけど、宝の持ち腐れっていうか影の薄さを実質封印させるだけよね。それでも出来るだけ空気になってスティールしたりもしたけど』 『あの監督バカなのか?』 『・・・オレのことはいいからお前ら反省文の文章でも考えてろよ』 『やめてー、それ言わないで〜』 『オレは楽しかったけどな!あんた引退式は欠席だったし、卒業式の日は見つからねえし、ずっと会えなかったから一緒にバスケ出来てよかったよ』 見つからねえってすげえな。 『オレも!黛さん、WCの後校内でも全然見つからないから実は幻だったんじゃないかって半分本気で思ってたけどやっぱりいたって分かってよかったよ。楽しかった!』 同じチームだった奴にまで幻だったと思われるってどんだけだよ。 『幻な訳ねえだろ。とりあえずアポなしでいきなり来るのはやめろ』 『そんなの黛さんが黙って連絡先を変えちゃうからじゃない!黛さんの携帯に電話したら現在使われておりませんになってたってセイちゃんしょげてたわよ、かわいそうに』 『部活の緊急連絡網に実家の住所と電話番号が載ってただろ。実家は変わってないから実家に電話して親に伝言頼めばいい』 『直接話したいよ〜。今時伝言なんて誰もやらないよ〜』 『伝言が嫌なら手紙でも書いて実家へ送れよ。そうすれば日本の食い物の差し入れと一緒に転送してくれるだろ』 『文通とかもっと時間かかるじゃん!せめてこっちの住所教えてよ』 『嫌だ』 よっぽど個人情報を教えたくない事情があるんだな。それか、こいつらがよほど嫌いか。 普通ここまで拒否られれば食い下がらずに大抵の奴はとっくに諦める塩対応ぶりだが、三人の面の皮は相当頑丈なようだ。 『面倒くせえな。じゃあこれで』 黛が手帳に数字を書いたページをちぎって渡した。 オレは視野の広い魔王の眼で数字を読んでしまい、黛に小声で耳打ちした。 「大学の代表電話教えてどうするんだ?高校でさえそんな奴いないって言われたくせに、学生数3万のUCLAでお前への伝言なんか頼んだって100パーセント伝わらねえだろ」 洛山高校がどんだけの規模か知らないが、高校の学生数なんてせいぜい数千人だろう。 数千人で出来ないことを学生が3万人もいるUCLAで期待する方が無茶だ。 『なに、これ呼び出しなの?黛さんを呼び出せる人間なんている訳ないじゃない、誰も見つけられっこないわよ』 黛は舌打ちした。 「ナッシュ、ちょっと来てくれ」 こいつらのやり取りを聞いてるのは面白かったが、コーチに呼ばれたらしょうがねえ。 いろいろあってやっと戻ると三バカを引率教諭が身柄引き取りに来たところだった。 っていうか早いな。 教員は気の毒にアホな生徒のせいで大学側に平謝りだ。 まあ、私学と違って部外者も気軽に入れるのが公立大学の伝統だし、警察呼ぶような事態でなければそこまで問題視はしないだろう。 三バカが教員に連行されて渋々帰って行くとオレ達は示し合わせたように苦笑した。 「三バカのお守りご苦労さん。大変だったな」 「まったくだ。あいつらがあんまりうるさいから確実に伝言してもらえる現地の人の番号で手を打てと説得してお前の番号教えといた。知らない番号から電話かかったら着拒するなりなんなり好きにしてくれ」 いちいち着拒する手間を他人に押しつけるんじゃねえよ。 まああいつらがオレに伝言頼むとも思えんが。 「・・・人の個人情報漏洩するなよ、つかどんだけあいつら嫌いなんだ」 「大嫌いってほどではないが、自分の貴重な時間をあいつらに使うのはもったいないと思うくらいには好きじゃないな」 結局嫌いなんじゃねえか。 なんかあったな。 黛の死んだ魚のような目は付き合いの浅いオレでも分かるほど平常より光がなかった。 黛があいつらとうまくいってなかったことは容易に想像がつく。 WCの後、チームメイトに幻だったのかとまで思わせるほど完全に姿を消し(アカシには見つかって会話したようだが)、黙って連絡先を変え、三バカの顔を見た瞬間嫌な顔を隠そうともしなかった黛はどう見てもあいつらを嫌ってる。 それでも試合ではきっちりパスを合わせていたってことは相当練習も観察もしたんだろうが。 「ゲームに負けて入部テストも落ちてゴキゲンって訳にいかないのは分かる。オレだって日本から帰国してしばらく赤と水色見ただけでムカついてしょうがなかったしな。けど、高校時代のトラウマはさっさと捨てて大学に持ち込むな」 「トラウマって、そんなんじゃねえよ。ただ、いい時は持ち上げる、失敗するとボロクソにこき下ろす手の平を返すような現金なところがあいつらにはあって、そこがオレとは合わないっていうか仲良くはなれないと思うだけだ」 分かりやすい性格だと思うが、そういう事情なら心を許せる相手にはなりづらいか。 黛が否定しようと、WC決勝の最中の公開処刑とやらが禍根を残したとオレは想像した。 「あと、ミブチがつまんねえこと言うから絶対オレの連絡先は教えたくないと思っただけだ」 「どんなこと言われたんだ?」 一見おとなしそうな黛をここまで不快にさせるって相当だろ。 「自分が相棒のくせにオレをアカシの相棒呼ばわりしたんだよ。とっくに高校も卒業して日本から出て行ったオレがアカシの相棒な訳ねえだろ、アホかよと。オレが一軍に上がる前からずっと副キャプテンとして隣にいたミブチ以上のアカシの相棒はいねえよ、アカシのためにどうこうって言うなら自分や他のチームメイトが支えてやればいいのに。海外在住のオレに外注しようとか頭おかしい。オレはこっちでやりたいことが山ほどあるのに時差考えて日本の奴らと付き合えるほど器用じゃねえしそんな時間は作れねえよ」 愛校心とか帰属意識って言葉は黛の辞書にはないらしい。 そして黛がミブチをアカシの相棒とみなしてることに何故か安心した。 自分を二軍から見出だして好きなバスケを高三の冬までやらせてくれたアカシに感謝してはいるだろうし、完全に連絡手段を断つ訳ではなく実家に電話をかけることは認めてやってることから察するに、洛山の連中を憎悪しているとか二度と会いたくないレベルで大嫌いって訳じゃない。 だがこっちの連絡先は決して教えないことできっちり線を引く程度には積極的に連絡を取り合いたいと思う関係ではないし、そこまでの興味がないってことだ。 ざまあ。 「ミブチって奴はアカシのことが好きなのか?」 黛みたいな薄いのはタイプじゃないと言いながらいい男チェックしてるってことは黛と反対のタイプが好きってことだろ。 「多分な。ちゃんと聞いた訳じゃねえが、下品な人が嫌いで、気のきくコが好きで、部内に気になる奴がいるって話だからそうだと思う。どっちがタチかネコかはあまり追及したくないが」 「タチ?ネコってなんだ?赤司はcatっぽいが」 黛は真顔で考えこみ始めた。 日本語独特の言葉は英語に置き換えづらいのか、該当する英訳のふさわしい言葉が思いつかないのか。 英語が上手い黛にしては珍しい。 「英語でなんて言うのか分かんねーんだけどタチは性的な嗜好がアクティブ、積極的に相手を抱こうと動く側。ネコはパッシブ、消極的に相手を受容する側ってとこだ」 黛の口から性的嗜好なんて言葉が出て来たことにオレは内心慌てた。 ネコがそういう意味だとするとアカシをcat呼ばわりは女役と言ったことになっちまうのか。目とか雰囲気がcatだと思っただけで性的嗜好を想像して言った訳じゃないんだが。 こういう俗語は語学学校じゃやらねえから分かんねえよな。 「男役女役的なやつか。それならアクティブ、パッシブという言い方もするな」 男を好きになったことなんかねえからその界隈の実態を知るよしもないが、そういう言い回しが存在することくらいは知っている。 他人の性的嗜好なんか自分に関係なきゃどうでもいいが、黛はどっちなんだ・・・? 美少女が出てくるヤングアダルト小説読んでるくらいだから女が好きなんだろうが、オレのメイド姿を見てクオリティー高いとかえらく褒めちぎってたし、男もいけるんだろうか。 「他人のことはどうでもよさそうな顔して結構知ってんのな、お前」 話をそらすと黛はムッとしたようだった。 表情が乏しいのに意外に感情がだだ漏れだよなあ、こいつ。 「オレがいないと思って噂話する奴が多いから勝手に聞こえるだけだ。別に積極的に聞いて回ってる訳じゃない」 だろうな。 黛なら、そんなことする暇があったらラノベでも読むか勉強でもしていそうだ。 「さてと、そろそろ帰るか」 「ああ。・・・悪いな、せっかく入部テスト受けさせてもらったのに結果出せなくて」 大学バスケは決まったシーズンしか出来ない短期決戦だ。だからどうしても短期決戦に向いてる資質の奴が選ばれやすい。初見殺しの黛みたいなタイプこそ短期決戦向きだとオレは思うが、黛をSGとして起用すると3p要員がいなくなるので使いづらいと言われれば反論出来ない。 黛がもう少しシュートレンジが広くてスタミナがあればと言いたくなるが欲を言えばきりがない。 「結果なら出ただろ。お前はお前を認識してる奴と組めば本領発揮出来るが、お前を認識出来ない奴と一緒だとただの並以下の選手ってことだ。・・・高校時代よりは成長したようだが、こっちでやるにはまだまだ力不足だな」 「言ってくれるが、まあ、事実だな。反論する余地はねえし、否定する気はねえよ」 黛の自己評価はシビアで時として自虐的だ。 「だが、本領を発揮したお前とのバスケは楽しかったぜ。言っとくが、オレはお前がクロコと同じスタイルの選手だなんて飛行機の中で聞くまで知らなかったし、クロコの代わりにしようと思ったことなんか一度もないからな」 「嘘だ、普通スカウティングで過去の試合くらい見るだろ。マッチアップ相手のスカウティングもしねえとか舐めた真似する訳がない」 「むろんアカシの試合は見たが、今年のIHのぶんだけだ、去年の試合の情報まではカバーしてない。だからお前の試合はお前に興味持って画像や動画を漁るまで見てなかった。今年は時間が足りなすぎてダメだったが、来年は絶対に合格してオレと同じコートに立て。オレにはお前が必要だ」 オレにはまだ入れないゾーン。 だが黛と一緒にプレーしていて入り口がたしかに見えた気がした。 「無茶ぶりだな。アカシに幻の六人目になってほしいって言われた時を思い出すぜ」 アカシアカシと言われると、他意はないのが分かっていても気分悪いな。 黛の特性を見抜き、新型の幻の六人目に育成したアカシはチームメイトから見て相棒と認識されるほど、アイコンタクトで意思疏通できるほど通じあってたというからオレの方が黛との付き合いに関してはだいぶ遅れを取っている。 「返事は?」 「来年まで待ってられねえからヘッドコーチのとこもう一度行ってくるわ。オレもお前とやるのは気持ちがいいからな」 黛は踵を返して行ってしまった。 目的語が抜けてるぞ、お前・・・。 気持ちいいって、さっき性的嗜好の話した直後だけに性的な意味に聞こえてしまうんだが。 黛の声、ちょっとかすれててセクシーなんだよなと思いかけてオレは赤面した。 いつからオレはホモになったんだ? 昔、キス魔の女師匠にファーストキスを奪われて以来、女性不信気味だが、男が好きって訳ではなく誰にも興味がなかったのに黛とならたぶんキスできる。 黛ならありだと気づいてしまった。 体格的にはオレがアクティブなのか? でも黛を抱きたいとは思えないから大丈夫だ、オレはホモじゃない、正常だ。 オレがパッシブの側で黛を好きだと分かったのはこれからもうしばらく先のことだった。 【終わり】 [newpage] 後書きです。 バスケ漫画の二次創作なのでたまにはバスケしてるところも妄想してみました。 ジャバウォックがキセキレベルってことは全米大学バスケで何度も優勝したUCLAはジャバウォックより上かなと考えるとキセキの下の無冠ではナッシュが入ってもまだ劣勢だと思います。 もちろんナッシュがゾーンに入れれば鬼強いだろうけど、エクストラゲームでもラストゲームでも彼はゾーンに入ってないのでまだゾーンに入る資格がないのかなと思ったり。 赤司くんの味方をゾーンに入れる究極のパスをナッシュが使えるようになれば黛さんにもワンチャンあるかな・・・とも思いましたがやっぱり夏休みにナッシュと出会って勉強もして10月始動のチームに黛さんが一年生からベンチ入りは無理ありすぎるよねと現実的なラインに着地してしまいました。 一緒に練習して癖を把握したりもうちょっと好感度が上がったり気心が知れないときっと究極のパスは無理でしょう。 うちのナッシュはラストゲーム世界観に基づき、六本木のクラブまで行っても仲間とワイワイしてて(?)女性に接待されてない=チームメイトに付き合いで連れて行かれただけ?女遊びとかわざわざしない子です。 服装が派手だったりタトゥー入れてる(名前が金なせいかお金持ちのご子息なイメージがあるので実は消えるインクとかシールの可能性あり?)けど見た目に反して性的嗜好はパッシブ(受け、消極的)です。 黛さんが見た目に反して大人しくなく案外攻撃的なのでバランス取れてるんじゃないでしょうか。 エクストラゲームは黛さんが一切出てこないので二人が出会わなかった別の時空として捉えてます。 捏造の上に捏造を重ねたお話でしたが、一話がピクシブで予想外にたくさん感想をいただけたこともあって書いていてとっても楽しかったです。 一話はオレ達の付き合いはこれからだ!エンドで、たまたま一緒に面白いところへ行って飛行機で隣の席に座っただけの他人でしたが、二話でやっと一緒にプレーしたり伝言を頼める間柄まで進展し、恋愛感情に気づき始めました。 二万字でこれしか進まないってどういうことなの、いつイチャイチャするんだよって感じですが、あまりに二人の息がピッタリなので付き合ってると周囲に思われるとかそういう未来があってもいいですよね。 ここまで読んでいただきありがとうございました。 [*前へ][次へ#] |