バスケ漫画小説(年齢制限なし) 超能力者黛千尋の災難3後半+後書き 「えー、じゃあ幽霊?マジで・・・?」 葉山は怯え、今度は実渕が何か考え込んでいる。 もうきりがないのでオレは最終手段としてぼくにセイシュンtip 〇ffのオレバージョンの音源を渡して試しに歌わせてみた。ぼくは異世界のオレなので、オレは多少耐性がある。マクロスデ〇タで言えば、風の歌を聞いたら多少ステータスは下がるものの耐性がない奴と違ってヴァール化はしないみたいなもん。効果は絶大だった。 ちょっと歌わせたら♪別に、誰かのためじゃない♪の辺りでどこからかお経が聞こえる、怖い、寒気がすると部屋を飛び出してくる奴らが続出する騒ぎになったのでそのどさくさに紛れてぼくは帰り、オレは面会者の退出時間を記入するとさっさと自分の部屋に戻った。 ΨΨΨ [今日はありがとうな。あの世界で立ち往生してる訳にいかないから助かった] 洛山の寮は四人部屋だが他の奴は外出か実家でも帰ってるか歌が怖くて飛び出したか、部屋には人っ子一人おらず、オレは鍵を開けて入るとベッドに倒れこんだ。 [濃い面子に囲まれて苦労してんだな。明らかに似合ってないあんな爽やかな歌まで歌わさせられて、バスケ部って大変なんだなと思ったよ] 似合ってないとか言うな。 あれは地声より明らかにキーが高いから、かなり頑張って歌ったのはたしかだが。 あの曲は洛山では赤司と実渕と何故かオレの三人だけが歌えと言われたのでバスケ部自体が大変な訳じゃないんだがぼくにそこまで説明する必要はないだろう。主将の赤司、副主将の実渕はともかく影のオレが目立つのはうまくないと思うんだが、何故か抜擢されてしまったので地声とだいぶ違う高い声を無理やり捻り出して歌う羽目になったのだった。 [実はもう一曲あって、そっちのがキーは低くて歌いやすかったんだが、聞く気があるなら今度用意しておこうか?] [二曲歌ったのか、ぼくがバスケ部だったらたぶんそんな公開処刑されたら退部するな。あ、・・・思ったんだが、今日会った千晴役のあいつ、防犯カメラに映ってないだろうな?犯人逮捕がなんとかってことは警察が絡むから近隣の防犯カメラ画像は高確率で解析されるだろ。万が一映ってたら早く手を打たないとお前が怪しまれるんじゃないか?] 頭から血の気が引いた。 やはり持つべきものは冷静な立場で物を見られる知り合いだよな。異世界のオレだけど。 [いつもなら気づくはずだけどいろいろありすぎてすっかり忘れてた。・・・言ってくれて助かった、ほんとありがとう] 計画段階では覚えてたのに連絡してなかった、ほんとにどうかしてやがる。 計画を立てたはいいが、 チェック:途中で成果を測定・評価する。 アクション:必要に応じて修正を加える。 この二つがグダグダだったのが敗因だ。 [そんなに礼言われると気持ち悪いな。・・・お前、今日は超能力使いすぎでほとんど残ってないよな?自力で帰れなかったくらいだし。異世界の自分の天才ハッカーに一人心当たりがあるんだが、そいつテレパシーが弱いから、お前の超能力残量が厳しいようなら要点をまとめてパソコンに入力してここを見てくれって頼む手もある。ぼくからそいつに伝えておこうか?] [とりあえず入力始めて、入力が出来てからテレパシー試してみてダメだったら頼むな] [了解。宿題やりながら待っててやるから必要なら連絡しろ。お前の世界には今日はもう行けないけど中継くらいならしてやれるから] ぼくがもう来られないというのは、この世界に厳然として存在する、別世界の自分の助けが借りられるのは一人につき一日一回三時間まで、元の世界に帰った自分は二十四時間経たないと再びこちらに来られないという掟というかルールのことを指している。 ウルト○マンで言えば、別の世界からこっちに来るのはウルト○戦士がこっちに来てるみたいなもの。ウルト○マンもエースもタロウも一日一回三時間までしかいられないし、力を使い果たせばワールドト○ガーのベイルアウトみたいに帰っちゃうし、帰ったら二十四時間後まで来られないって感じだ。 パラレルワールドの自分は能力の特性がバラバラなのでその時々に相応しい相手を選んで呼んで助けてもらっているのがウル○ラ戦士との相違点になる。 オレは起き上がってPCを立ち上げた。起動している間に書くべきことを頭に思い浮かべる。 うちの部員が犯罪に巻き込まれる予知夢回避のため洗脳チートの俺の力を借りたこと。 俺はたぶんこのルートを通って行ったはずであること。ルート上の防犯カメラに俺と実渕が映っていたら捜査の過程で存在を追及されないように手を打ってほしいこと。 ほんとうはちゃんと自分の言葉で説明すべきだが超能力の残量が底をついているため、こんな方法を取って悪いと思っていること。 もうちょっとうまい言い方はないか悩んだがとりあえずちゃちゃっと入力して保存した。地図に赤で想定ルートもつけて保存し直す。僕っ子にテレパシーを送ってみるが、テレパシー能力が弱い僕っ子に送るには出力が足りないようで届いた手応えがない。 ぼく経由で連絡を取るならもう一度読み直してから仲介を頼もう。そう思いながらファイルを開けたら何故か新しい文章が追加されていた。 (お前が今日自分のとこに自力で帰れないくらい力を使った話は音痴から聞いた。時間がもったいないからお前のスマホから携帯への通話履歴をもとに基地局と位置情報を割り出して周辺の防犯カメラの位置と映る範囲の精査を始めた。勝手にストーカーみたいなことして悪いが当局に渡ってからだとややこしくなるんで勘弁してくれ) この文章には署名はなかったが誰が書いたのかははっきりしている。僕っ子だ。 相変わらず仕事が早いな。 ストーカーみたいって、ここまでやるストーカーなんて聞いたことねえよと突っ込んだら負けなのか? それに目隠れ男子のぼくを音痴ってのもひどいあだ名だ。誰のことかすぐ分かるけど。 (もっと早く思い出してればよかったんだが忙しい思いさせて悪いな。お前が実渕の外出パターン絞り込んでくれたおかげで誰も怪我人出さずにすんだ。ありがとう) (やっぱりあの件だったか。犯人にスムーズに自白させるとかそういうのは洗脳者の方が向いてるし、あいつ使うのはいいんだけどカメラに映りすぎだ。洛山に着いてからのあいつの痕跡を全部消去して、ファミレスのドリンクバーはお前が来てから注文したように防犯カメラ映像と伝票とかは変えておいた。店員の記憶は一時間以上経ってるからいじらなかったけどお前もあいつも影薄いからそこは問題ないだろう。とりあえずこの世界にいない人間が映像に残ってる最悪の事態だけは回避した。問題は実渕だ、どうしようか決めかねてる) (何を?) 超絶情報処理の僕っ子相手にもたもた打ってたら待たせてしまうので短文入力しかない。 (実渕は図書館で本を借りてるから防犯カメラから消すと貸出記録と辻褄が合わない。図書館からまっすぐ帰ったことにしようかと思ったけど駅でプリペイド型電子マネー使って防犯カメラの多い京都駅方面に出てる。ファミレスでも電子マネー使ってるし。図書館に閉館寸前までいてトイレでも行った後ゆっくり歩いて帰ったことにすればギリギリ事件後に通ることになるからこれが一番矛盾が少ないか。京都駅とその周辺の防犯カメラに映った時間全部ずらして映像修正完了、電子マネーのデータもこれで・・・訂正終わった。捜査線上に上らないように手は打ったが、既に回収されてないかどうか一応京都府警のサーバーと所轄の電磁的記録媒体内の画像もチェックしておく。データなら最悪の場合後からでも訂正がきくけど実渕があいつの能力を知ってるんだって?そっちは大丈夫なのか) (本人はあいつに感謝してるし、あいつに頼まれたから約束守ろうとはしてる。今日二回うっかり言いそうになったし危なっかしいけどそこはオレがフォローする) (気をつけろよ。あと事後承諾で悪いが、お前のスマホとガラケーの通話記録や位置情報、携帯会社のサーバーのデータ含めて全部いじらせてもらった。事件の現場で通話記録があったらそこからバレるからな) (問題ない。お前が音痴と知り合いだったとは知らなかったが) (知り合いっていうか、現実世界で例えればネット上の同じスレッドに書き込みしてるコテハン同士みたいなもん?お互いどの平行世界にいるか知らないし会ったことも直接喋ったこともない。テレパシーがどっちも異世界に対しては受信専用だからネット上でしか接点ないしな。でもあいつがお前のことを心配して情報くれたからこっちも早く動けたんで、礼言った方がいいよ。消費が少ないはずのあいつにすらテレパシー送れないくらい消耗してるならメール打ってくれれば転送しておくけど) (試してみる。ダメだったら送ってほしい内容を書き込みに来る。遅い時間に手間かけてすまなかった、ありがとう) (いいよ。実渕の件も長引かなくてよかったな。結果も分かったし安心した。・・・なんか透明化が見える奴がいたらしいな、かえって混乱させたようで悪かった) (透明化が見える奴がいるとか予測出来ないから済んだことはしょうがない、それにその件はどうにか切り抜けたから大丈夫だ) ぼくと僕っ子はずいぶん細かいところまで情報交換していそうでどんなやり取りをしているのか気になるが、今はそんなことを言ってる場合じゃない。 [今、平気か?] [大丈夫だ、部屋に一人だし。どうだった?] [とりあえず天才ハッカーと連絡がついて全部片付いた。いろいろお前が伝えといてくれたおかげであっという間に終わった。助かった、ありがとう] [断片的に聞いたことを伝えただけだからもう終わったならあいつの能力がそれだけすごいんだろ。それより、葉山が見たっていうお前より何センチか背が低いそっくりさんってあいつのことだったんだな、本人に聞いてビックリした] [・・・それな。実は、洛山には七不思議ってのがあって、昨日はーーーー] オレは今朝の出来事を盛大に愚痴った。 オレはこの時、まだ知らなかった。 七不思議の一つ、“誰もいないのに聞こえるドリブルの音”が七不思議から外れ、その代わりに “どこからともなく聞こえるお経のような歌声” がランクインすることを。 [newpage] 後書き 初回から引っ張った話がやっと終わったので今度はまた日常パートをやってその次と次の次あたりで心霊現象を解決する話とか赤司くんの危機を回避する話をやりたいです(願望)。 目隠れ男子は洛山五番時代の目隠れ黛さんのイメージです。 あと洛山の所在地、学生数、寮生の人数とかは一から考えるのが面倒だったので洛山のモデル校の場所や人数を参考に安易に決めました。 もし黛さんが洛山に行かないとしたら。 黒子くんのライバルとして作られた黛さんが洛山に行かないのは設定上あり得ないんですが、あえて考えるなら。 黛さんはバスケ部を辞めてるのでスポーツ推薦でないのは確実、洛山のモデル校は京都トップの進学校、つまり学力が非常に高い。 洛山並みにレベルの高い学校に行く力がある人の進学先は、私立でなければ公立と考えると〇〇高校かなと勝手に妄想したので少しだけひねって堀河にしてみました。たいしてひねれずすいません。 黛さんが一人っ子じゃなかったら洛山に行けなかったかもという想像も決してあり得ない話じゃないと思います、二人も私立に行かせるのは家計が大変だろうし。 情報操作系の話の元ネタはほとんど海外ドラマのパーソンオブイン〇レストです。捜査の関係などはドラマの聞きかじりで適当に書いたので、おかしいところがあったらああこいつ何も知らないんだなあと生暖かく見ていただけたらと思います。 黛さんの歌もネタにしてしまいましたが嫌だった方がいたらすいません。 セイシュン〜の歌は歌声と台詞の声の高さが全然違うので、歌声は頑張って出した高い声かなとか、黛さん(役の声優さん)は歌が上手いから逆にジャイアンとか燃堂くん並みに音痴だったらこれも面白いと思ったのでif黛さんは音痴にしました。 今回登場のパラレルワールドの黛さん 通称俺 一人称が俺(♂) 千晴という偽名を使用。 洗脳によって精神だけでなく肉体も支配する(例→嘘をついたら息が吸えないようにするなど)洗脳特化型チート。 洗脳は声によるもの主体だが、声が聞こえなくても視界に入っていれば心の声でも洗脳できる。 洗脳対象は視界に入っている、または声が届く範囲にいる好感度中〜低の人間全て。 テレパシーは洗脳のおまけとして付随しているだけなのであまり遠距離には届かない。 洗脳とテレパシー以外の超能力はないと黛さんは思ってるが、実はエナジードレインの魔眼持ち。 地味すぎるので本人も気づいてない。 通称ぼく 一人称がぼく(♂) 千暁という偽名を使用。 もっさりした前髪で両目を見せない目隠れ男子。 黛さんと同じ声だがお経のような歌声の音痴。 歌はジャイアンか斉木楠雄のΨ難の燃堂くんのように聞いている人に大ダメージを与える毒音波。 他に、相手が限定されている不便なテレパシーとやや不安定なテレポート、自分以外の全員に有効な全体攻撃系の強力な毒攻撃を持つ。 魔眼は磁力操作。電子機器を簡単に破壊出来る。 京都では洛山と並ぶ進学校で公立の堀河高校三年生。男子バドミントン部に在籍。 通称おれっ子 一人称はおれ(♀) 修復、治癒、蘇生可能な回復系チート。テレパシー、洗脳、記憶操作、精密なテレポート、アポート、アスポート、空中浮遊、時間操作、変身能力なども持つ。 コンタクトで封印している魔眼は呪い。 今すぐ心臓止まれという呪いもかけられるので、攻撃力は低いが対人ではえげつないまでに無敵。 通称僕っ子 一人称は僕(♀) 超絶情報処理能力を持つ情報操作系チート。ハッキング、各種データの改変、消去、捏造が得意。 記憶混同系の記憶操作能力があり、弱いテレパシー、精密なテレポート、軽いものなら運べるアポート、アスポート、透明化、強力な発火能力、自分にだけ有効なタイムリープ能力を持つ(異常な速さでの情報処理可能な理由は時間操作能力のおかげという裏設定) 眼鏡で封印している魔眼はデバフ。対象の全ステータスを大きく下げる。 [*前へ][次へ#] |