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宝珠遊戯



――――


何処にそんな力があるのかと疑問を抱く程、怜斗の手足は細い。


小柄なのを最大限に生かしたスピードで蹴りや突きを自在に操りながら、生まれ付いたような武人体型のカインと攻防する様は、まるで―――



「――― 舞 ……」


「―――確かに」


「っ?!」



思わず漏れた呟きに返された予想外の声に、フェイは反射的にそちらを見る。



「レイヴン様……!?」


「しっ……大きな声は止めろ。…気が散る」



いつの間にかフェイの後ろ、戸口に寄り掛かるように立っていたレイヴンが、人差し指を唇に当てた。


「――いつからソコに?」


「先刻。……見惚れていた」



ふ、と笑うレイヴンの艶やかさに、フェイの頬に朱が差す。



「――解ります。アレは……間近で見てる隊長は大変そー」


怜斗の広く開いた襟元から覗く白い肌は、上気してほんのり紅い。


動きに合わせて散る明るい茶色の髪はサラサラで、合間から覗く顔―――


愉しそうに笑う其れは、レイヴンと質は違うにせよ、変わらない程艶やかで。


「―――可愛コちゃんどころか……舞姫っすね、ありゃ。俺ノーマルなんすけどー…間近で見る自信無いなー」




「――先代のカーディナルも美しかったが………怜斗はまた違う、美しさがあるな」



物憂げに細くなったレイヴンの漆黒の瞳は、語りながらも2人から離れない。


「……にしても、隊長にアソコまで技入れられるヒト初めて見ましたよ。何者っすかね」


「……さて、異世界の者だからな。………ところで、落ちているが?」



レイヴンの言葉に、惹き付けられているように2人から目を離さないフェイがようやく視線を動かした。


「ハイ…?…何か落ちました?」


レイヴンの長い指が、フェイの隣を真っ直ぐに指差す。


「砂。止めなければあれは恐らく終わらない」


「え…っ!…うわ、いつの間に!―――2人共ソコまで!」


慌てて2人を止めるフェイを眺めて、レイヴンは小さく肩を竦めた。





「……無理もない」






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あきゅろす。
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