宝珠遊戯 18 「――怜斗に任せますよ、僕は」 蒼哉はそう云って肩を竦めた。 俺の好きにすれば良いって事――でも、蒼哉は多分俺と同じだ。 「このままアゼルのトコに居たいかな。調べさせて貰いたい事もあるし……何より、アンタ達それどころじゃないだろ?」 「……ふぇ?…どぉゆぅ…」 パールの力の抜けた声。 多分俺がアゼルのトコを選んだのが意外か、ショックだったんだろうな。 でも、俺だって何も考えてない訳じゃない。 「世界に7人しか居ない守護者なんだろ?俺達は何も出来ないから6人か?……この世界に人間がどれだけいるか知らないけど……この街だってこんなに人が居る。至宝珠なんて守ってる暇があるなら、人間を守れよ」 「「「…………」」」 蒼哉を除く3人が同じ顔で固まった――― 蒼哉は予想通りだと云いたげな顔で隣に座ってるけど。 「……な、何だよ…」 「……どぉして……どぉしてどぉしてどぉして!!あの時と同じ事云うのよぉ…!?」 パールが急に叫んだと思ったら、勢い良く走って行ってしまった。 そのローブから覗いた横顔の頬に雫が伝ってて――― 嘘!?泣かした?! 「え?…ちょっと…待っ―――」 慌てて追い掛けようと立ち上がった俺を、レイヴンが手で制す。 「放っておけ――カーディナルがそうしたいなら、私は反対しない……唯、様子は見に行く。ベレッタ殿、パールが失礼したな……アゼル殿に宜しく伝えてくれ」 レイヴンが優雅に立ち上がってそう云い、パールの走り去った方に歩いていく。 ―――何だよアイツら…… 立ち上がったままの状態で見送るしかない状態の俺を一瞥して、蒼哉がベレッタを振り返る。 「――ベレッタさん…怜斗、何かおかしな事云いましたか?」 「――いいえ。…唯、50年前、先代のカーディナルも同じ言葉を。転生されているのは理解しておりますが、帰還が嬉しかったのではないかと」 「……はぁ……先代ねぇ……」 正直、先代と面識が有る訳もない俺としては複雑だ。 どんな人だったんだろ…… 「――そろそろ戻りましょう。午後のお茶の時間になりそうですから」 「……あ、うん。――そーいや腹減ったかも」 後でアゼルにでも聞いてみるかな。 うん、そうしよ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |