宝珠遊戯 6 「――なら、俺にしとけば?……相手してやる――よっ!!」 「――っ!!」 目の前に居た男の鳩尾に、思いっきり拳をぶち込んだ。 油断しきった躯に綺麗に入ったそれの衝撃で、男が後ろに吹き飛ぶ。 あー…一応手加減したんだけど…やっぱアイツひょろ過ぎたか? 「――っ?!テメェ…!」 吹っ飛んだ男にぶつかられてよろけたリーダーの顔が、怒りに赤くなった。 自己防衛って事で。 その後ろでは女の人がへたり込むように座ってて――うーん…どっちかっつーと逃げといて欲しかったな。 まぁ、仕方ない。 1人は今ので落ちたから、あと2人だ――俺はまた、息を吐き出して構えた。 俺は躯はそんなにでかくない……寧ろ華奢なのがコンプレックスなんだけど、空手やら柔道やら合気道やら、小さい時から色々やってたからそれなりに力はあるわけ。 勿論、こーゆーのとか、族に混じって喧嘩する時なんかは全力出す事なんてまずないけど。 やる気になったらしく、完全に顔を狙って殴り掛かってきた小柄なヤツの拳を避けて、重心を低くした所から背中に回し蹴りを放つ。 ―――気のせいか? ……躯が軽い… それに、何か技の入りは重い気がする――加減、してんのに。 「――2人目。……まだやる?――やるなら、今度は手加減しないけど」 蹴りで壁に突っ込んだ小柄なのを確認して、俺は残ったリーダー格のヤツに笑って見せる。 「――っ、くそ…っ!!」 倒れて気絶してる2人を見てか、リーダーは舌打ちして路地の奥に走って行く―――忘れ物ー。いや、まぁ目ぇ覚めれば帰るよな。 「――えーと……大丈夫?」 へたり込んでる女の人に近付いて声を掛けると、思ってたより落ち着いてるらしくて、すぐに立ち上がった。 「うん……ありがとぉ。助かったわ―― カーディナル」 柔らかい声と同時に、女の人がフードを取る。 フードの下から現れたのは、1本のみつ編みにされた長くて真っ白な髪と、病気一歩手前くらい白い肌――そして、限りなく白に近い銀色の瞳だった――。 [*前へ][次へ#] [戻る] |