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宝珠遊戯



「――なら、俺にしとけば?……相手してやる――よっ!!」


「――っ!!」



目の前に居た男の鳩尾に、思いっきり拳をぶち込んだ。

油断しきった躯に綺麗に入ったそれの衝撃で、男が後ろに吹き飛ぶ。


あー…一応手加減したんだけど…やっぱアイツひょろ過ぎたか?



「――っ?!テメェ…!」


吹っ飛んだ男にぶつかられてよろけたリーダーの顔が、怒りに赤くなった。

自己防衛って事で。



その後ろでは女の人がへたり込むように座ってて――うーん…どっちかっつーと逃げといて欲しかったな。


まぁ、仕方ない。


1人は今ので落ちたから、あと2人だ――俺はまた、息を吐き出して構えた。



俺は躯はそんなにでかくない……寧ろ華奢なのがコンプレックスなんだけど、空手やら柔道やら合気道やら、小さい時から色々やってたからそれなりに力はあるわけ。


勿論、こーゆーのとか、族に混じって喧嘩する時なんかは全力出す事なんてまずないけど。




やる気になったらしく、完全に顔を狙って殴り掛かってきた小柄なヤツの拳を避けて、重心を低くした所から背中に回し蹴りを放つ。



―――気のせいか?

……躯が軽い…


それに、何か技の入りは重い気がする――加減、してんのに。


「――2人目。……まだやる?――やるなら、今度は手加減しないけど」


蹴りで壁に突っ込んだ小柄なのを確認して、俺は残ったリーダー格のヤツに笑って見せる。


「――っ、くそ…っ!!」


倒れて気絶してる2人を見てか、リーダーは舌打ちして路地の奥に走って行く―――忘れ物ー。いや、まぁ目ぇ覚めれば帰るよな。



「――えーと……大丈夫?」


へたり込んでる女の人に近付いて声を掛けると、思ってたより落ち着いてるらしくて、すぐに立ち上がった。



「うん……ありがとぉ。助かったわ―― カーディナル」


柔らかい声と同時に、女の人がフードを取る。

フードの下から現れたのは、1本のみつ編みにされた長くて真っ白な髪と、病気一歩手前くらい白い肌――そして、限りなく白に近い銀色の瞳だった――。





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