宝珠遊戯 3 ベレッタの用意してくれたのは丈の短いフード付きのローブと帽子。 ローブとか返って怪しくないかと思ったんだけど、ザムルタートには術師ってのが一応人間にも居るからローブ姿は珍しくないらしい。 俺は深めに帽子を被って、蒼哉はフードの下に髪を隠す――ぶっちゃけると面倒なんだけど……ベレッタの配慮だし。 実際これだけで周りは気にならなくなるみたいだから不思議だな。 「ヴェローサは大きな街ではありませんが、主要な街への通り道沿いにあるので其れなりに栄えております。必要な物があれば此れを機に買い揃えますが」 見たことも無いような品物が店頭に陳列された大通りで、先を歩いていたベレッタが思い付いたように俺達を振り返った。 俺達は店先に並ぶ商品に向いていた視線をベレッタに移す――そんなに商品見てたかな? 「――僕は特には……強いて云うならノートとペンでしょうか…余っていれば後で貸して貰えますか?」 「――それは構いませんが。……怜斗様は?」 ベレッタに聞かれて俺は首を横に振る。 目は楽しんでるんだけど……俺も特に何も不自由してない。 逆に至れり尽くせり状態でいたたまれないっつーか… 「俺も別に何も…必要ないよ」 「――では、何かございましたらどうぞ」 [*前へ][次へ#] [戻る] |