宝珠遊戯 4 ――― 「――…はぁ……はぁ…」 どれだけやったかは解んねぇけど、ちょっと息が切れてきた。 まだイケそうでは…ある。 中段に来た蹴りを腕で受け止めて、ぐっと躯を回転させて後ろ回し蹴りを放つ。 ――…ぐにゃって、先刻までと違う感触。 「――……え……っ!?」 ニィッと、影にある筈の無い笑みが浮かんだ気がした瞬間。 影の両手から水が吹き上がった――!? 反射的に避けたけど、袖口の服がスッパリ切れてて……名残の飛沫で髪が濡れた。 ――――水の属性……? 「…ぅわ…っ…!」 続けざまに飛んできた鉄砲水に慌てて俺は飛び退く。 「何だよコレ…!」 影を囲むように風の壁を作って鉄砲水を防ぐ。 属性の持たせ方なんて知らない筈だぞ俺は! んな事気にしてる場合でもなくて、俺は水気を含んだ髪を後ろに掻き上げた。 風の壁が少しずつ水に押されて来る中、深く息を吸って両手に集中する。 室内ってのがちょっと面倒だけど土の塊をイメージして…… 風が消える一瞬が勝負――― 「……っし……行け!!」 ふっと風が霧散して現れた影を土の塊が包み込む。 内側からじわりと水は滲むけど、ものの1分もしない内に影ごと吸収し終えた土が床に落ちて消えた―――― 「はぁ……ったく…何だったん――!!」 ―――パンパン…… 軽い拍手にはっと気配も何も無い空中を見遣る。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |