宝珠遊戯 4 ―――俺の躯はイカレ始めてなかっただろうか… 味覚を放棄して、 光も闇も拒絶し始めて、 体力なんかほぼゼロに近い程… 取り敢えずあまり良い状態ではなかった筈だ。 ―――なら何故… コイツの舌は変わらず甘いんだろう… 「……っ、はぁ…っふ…」 思ってたよりずっと酸素が制限されてたらしい。 唇が離れたら急に入り込んで来た酸素のせいで視界が霞む。 「――…何を考えている」 至近距離から赤い瞳が真っ直ぐ俺を見据えて来る。 崩れそうになる躯にはいつの間にか力強い腕が回されていて――― 「……躯…が、おかしかったんだ……光も闇も痛いくらい―――なのに、今…変わらないな、と思って…」 多分、確実にアゼルのせいなんだけど。 そこまで云うのは何か憚られると云うか。 「余計な事など考えるな―――…御前の瞳に映ているのは…触れて居るのは誰だ?」 アゼルの長い指が俺の頬を撫でて、襟元に掛かる。 ―――ビッ、と鈍く布の破ける音がした。 「………アゼル…」 要するに自分の事以外考えるなと………自己中心な。 かなり強引に晒された首筋にアゼルの指が滑る。 薄い痣程度になってるであろう傷は、アゼルが付けたもので。 そこに一瞬強く爪が立てられて、俺の躯は無意識に強張った。 「―――ッ…ぃ……な、に…」 「…否……いつ見ても綺麗な肌だと思ってな……」 ―――綺麗だと爪立てるのかよお前は。 顔を顰めてアゼルを睨んだら、かなり人の悪い笑みが返って来た。 ………グラッと視界が揺れる。 アゼルの腕のお陰で衝撃も何も無いんだけど、背中にシーツの感触がした。 ―――あぁ、ベット…後ろだったっけ。 ある意味奇妙な感覚の中アゼルを見上げたら、首筋にアゼルの唇が落ちた………さっきので流血したのか、唾液なのか、ピチャリと濡れた音がして… 吸い上げられる感覚に躯が微かに震えた。 「――…っ…ふ……ぅあっ!!」 咄嗟過ぎて声が出るのさえ抑えられなかった。 服越しに、アゼルの手がしっかり俺のモノを掴んでるわけで。 ―――他人に掴まれるとか良い感覚じゃない。 「そう睨むな……傷付くのは嫌だろう?」 「――…あんたの趣味でヤられたら傷は必須な気がするんだけど…?」 寧ろ既に首に傷付けただろうが。 「ふん…?…なんだ……それを期待していたのか」 クッと低くアゼルが笑ったと同時に下肢が強く握り込まれて。 「――っ!?止め…ッ…そんな訳ないだろ…っ」 慌てて腕を掴んだらあっさりアゼルの手が離れて、代わりみたいに耳たぶを甘く噛まれた。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |