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宝珠遊戯



―――俺の躯はイカレ始めてなかっただろうか…


味覚を放棄して、


光も闇も拒絶し始めて、



体力なんかほぼゼロに近い程…



取り敢えずあまり良い状態ではなかった筈だ。




―――なら何故…



コイツの舌は変わらず甘いんだろう…



「……っ、はぁ…っふ…」


思ってたよりずっと酸素が制限されてたらしい。
唇が離れたら急に入り込んで来た酸素のせいで視界が霞む。



「――…何を考えている」


至近距離から赤い瞳が真っ直ぐ俺を見据えて来る。


崩れそうになる躯にはいつの間にか力強い腕が回されていて―――



「……躯…が、おかしかったんだ……光も闇も痛いくらい―――なのに、今…変わらないな、と思って…」


多分、確実にアゼルのせいなんだけど。

そこまで云うのは何か憚られると云うか。



「余計な事など考えるな―――…御前の瞳に映ているのは…触れて居るのは誰だ?」



アゼルの長い指が俺の頬を撫でて、襟元に掛かる。



―――ビッ、と鈍く布の破ける音がした。



「………アゼル…」



要するに自分の事以外考えるなと………自己中心な。


かなり強引に晒された首筋にアゼルの指が滑る。


薄い痣程度になってるであろう傷は、アゼルが付けたもので。

そこに一瞬強く爪が立てられて、俺の躯は無意識に強張った。



「―――ッ…ぃ……な、に…」



「…否……いつ見ても綺麗な肌だと思ってな……」




―――綺麗だと爪立てるのかよお前は。



顔を顰めてアゼルを睨んだら、かなり人の悪い笑みが返って来た。


………グラッと視界が揺れる。


アゼルの腕のお陰で衝撃も何も無いんだけど、背中にシーツの感触がした。



―――あぁ、ベット…後ろだったっけ。



ある意味奇妙な感覚の中アゼルを見上げたら、首筋にアゼルの唇が落ちた………さっきので流血したのか、唾液なのか、ピチャリと濡れた音がして…


吸い上げられる感覚に躯が微かに震えた。



「――…っ…ふ……ぅあっ!!」


咄嗟過ぎて声が出るのさえ抑えられなかった。


服越しに、アゼルの手がしっかり俺のモノを掴んでるわけで。



―――他人に掴まれるとか良い感覚じゃない。



「そう睨むな……傷付くのは嫌だろう?」


「――…あんたの趣味でヤられたら傷は必須な気がするんだけど…?」



寧ろ既に首に傷付けただろうが。



「ふん…?…なんだ……それを期待していたのか」



クッと低くアゼルが笑ったと同時に下肢が強く握り込まれて。



「――っ!?止め…ッ…そんな訳ないだろ…っ」



慌てて腕を掴んだらあっさりアゼルの手が離れて、代わりみたいに耳たぶを甘く噛まれた。






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