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宝珠遊戯
16


――蒼哉side――



怜斗は反射神経は良い筈なのに、基本的に隙が多い―――つまり結果的に駄目なんだけど。



おかしな銀髪に抱きつかれてんのも多分暫く気付いて無かったな……アレは。
俺が引き剥がして、ようやくって感じだったし。


全く。無防備にも程がある。



怜斗には欠片も自覚は無いんだけど、昔からよくモテる―――明るい性格とかも相まって、綺麗も可愛いも当て嵌まるから男女問わずに。



どう見たって下心ありで抱き付かれてもふざけてるとしか感じないとか。


興味なんか無いんだろうが、あれだけ押されて解らない辺り相手も可哀想だ。


自分の顔の良さに気付かないのはある意味罪だよな。



銀髪に俺らには解らない疑問をぶつけられたのは無視して、俺は奥の黒髪の方に向き直った。



「貴方がアゼルさんですか?僕らをあの場所から出してくれたって聞きましたけど…」


アゼルが口を開く前に、俺らの頭上(この銀髪かなり背が高い)から声が掛かった。



「あ、それはオレ。引き上げる途中で邪魔なのが居てさぁ……何処に出たか解らなくなっちまって、アゼルに頼んだんだよね」




……御前かよ。


助けてくれたのには一応感謝するけど結果的にかなり微妙だ。



何か、怜斗…いや、俺も含まれてそうだけど、カーディナルって存在に対して相当入れ込んでそうなのが見て取れるから。


まぁ、思いっきり感じた不快感を表に出すようなヘマはしないけど。

敵か味方かはっきりしないうちは、味方に付けた方が良いに決まってるし。


俺はゆっくりゼンの方を見て、首を傾けた。



「そうなんですか?とにかく助けて頂いて有難うございました――どうしようか困ってたんです」


「どー致しまして。ま、怪我とか無くて良かったな」



結構探り入れては見てるんだけど、裏も表も無さそうな満面の笑みで云われると俺としても調子が狂う。



――こいつ、読めないな…


人の感情や思惑を読むのは得意な筈なんだけど…

この銀髪にはまた別の、何かもっと深く隠してるものがある。






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あきゅろす。
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