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宝珠遊戯
14


ベレッタに連れられて着いたのは、鉄柵みたいなのに囲まれたやたらデカイ屋敷。


洋館っつーか……むしろ城?


庭にテーブルとか椅子とかあるんですけど。


良く見れば手入れの行き届いた花壇みたいなのの向こうに東屋も見える。

建物は3階建て……や、窓が屋根のとこにも一段見えるから4階って云うのか?


窓の数だけで気が遠くなりそうになる。


こんなトコに住んでるとかどんな人だよ…


俺の背の2倍はありそうな扉をくぐると、臙脂色の絨毯を敷いた玄関ホール。


いや、玄関っても教室とか余裕で入りそうな広さだけど。


値段を考えるのも恐ろしいようなシャンデリアがキラキラ光ってた。



「……スゲェな……」



呆然と呟いて蒼哉を見ると、ホールに飾られた絵画やら花瓶を眺めて腕を組んだ。



……物色してんのか?
犯罪だぞ、それは。



「――かなり高価そうだけど、これだけ飾ってて厭味じゃないのが不思議だな…」



完全に圧倒される俺達を振り返って、ベレッタが改めて深く頭を下げた。


型に嵌ったそれは彼女が本職のメイドである事を物語っている。



「ようこそアゼル様のお屋敷へ。歓迎致します、カーディナル。……さっきの邪魔のおかげで予定より少々遅くなってしまいました――こちらへ」





街の警備兵(多分)をスッパリ邪魔とか言い切るベレッタ。


何の躊躇いも無い辺りかなり大物だ…



屋敷内なんだけど、見失ったら確実に出られなさそうな同じ景色の廊下を進むベレッタの後をついて歩く。


……つーか家ン中だろ?

階段いくつ上がる訳?


どういった造りなのか、階段の位置は各階で違っていて、結構面倒臭い。


美術館にでも居るような錯覚に陥りながら、隣を歩く蒼哉の袖を軽く引いた――



「どうかした?」



「……何かさぁ、さっきの警備兵っぽいのよりスゴイとこに連れて来られた気がすんだけど」



声を落として云うと、蒼哉はくるりと周りを見回してから小さく頬を掻いた。



「まぁね……ま、来ちゃったものは仕方ないでしょ。諦めて」



うっわ、コイツ適当!



言い返そうとしたところで、ベレッタが立ち止まったから俺は慌てて口を閉じる。



「――アゼル様、お連れしました」




重そうな扉をベレッタがノックすると、中から少し置いて声が返ってきた。




「―――入れ」





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