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宝珠遊戯
43


「改めまして、ミーナと云います。カーディナルさまのお世話役になりましたので何なりとおっしゃって下さいね」


アゼルの屋敷も大概広いんだけど、スケールが桁違いな部屋に案内されて、ミーナが恭しく頭を下げる。


「宜しくお願いします―――僕らはベレッタさんが用意してくれた服しか持って無いんですけど……其れで構いませんか?」


「えぇ、先に湯あみを致しましょう。こちらへ」


「―――風呂?」


「はい。まだ晩餐までお時間ありますからごゆっくり」


ミーナは口調も行動もテキパキしてるんだけど、サイズがサイズだからかなり違和感がある。


「……うちに妹とか居たらあんな感じなのかな……」


「――まぁ…姉さんが小さくなったらあんな感じだろうね」




部屋に備え付いた湯殿は、ちょっとした銭湯くらいありそうだ。

世話しに入って来そうだったミーナを押し留めた俺らは、早々に躯を洗って湯舟に浸かる。


「……つーかさ、謁見ってそもそも何すりゃ良いんだ?」


猫みたいに躯を伸ばしてた怜斗が、思い出したように俺の方を見る。


本当に今更な質問だけど。
「……俺らをザムルタートに呼んだのが玻璃帝で、多分帰せるのもそうなのは解ってる?」


「……うん、で、具体的にどう頼みゃ良いのかなーって」


「どうやら向こうで至宝珠を宿したらしいから呼ばれたんだろ?しかも割れてるし、完全に覚醒もしてないみたいだし……取り敢えず、カーディナルを返して帰る方法があるのか聞く事からじゃないか?」


唯、玻璃帝自身にその気があるかどうかが一番問題だけどな…


「なーる……」


「―――スムーズに話が進めば、朔の前に帰れるだろうけど…」


俺の言葉に、ちょっと考え込み始めた怜斗の頬を手の甲で軽く叩く。


「難しいなら俺が話すから。心配するなよ」


「ん……蒼哉が一緒で良かった、マジで」


多分、怜斗は色んな事を抱えて悩んでるから。

俺も俺なりに緊張はしてるんだけど……怜斗が一緒に居るだけで、結局頑張れるんだろうな。




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