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宝珠遊戯
25


「えぇ。貴方は、シャルトルーズさんですよね?初めまして、で良いんでしょうか」


「―――そっか、記憶、無いんだっけ。パールから書簡が届いてたよ――初めまして。僕はシャルトルーズ…見ての通り黄の至宝珠の守護者――まぁ、2年前になったばかりで名前もまだ違和感があるんだけどね」


苦笑混じりにそう云って、シャルトルーズが片手を差し出して来る。


―――パールが動いてるのか……面倒にならなきゃ良いけど。


「俺達もソレは一緒だな……カーディナルなんて大層なナマエ、違和感しかねぇし。俺は怜斗。んで、こっちが蒼哉な。ヨロシク」


シャルトルーズの手を怜斗がしっかり握って上下に勢い良く振る。


「怜斗と蒼哉、ね。うん、不思議な響きだけど…良い名前。シャルマにはどんな用事で来たの?……確か、ヴェローサに居る筈だよね?」


「えぇ、ヴェローサから来ました。ちょっと混み入ってる事があって、玻璃帝に謁見する用が出来たんですよ」


「――玻璃の君……?」


シャルトルーズの大きな瞳が少し見開かれた。


――― 一応、凄い事なんだしな…



「パールから何処まで聞いてるか解りませんけど、僕らは異世界の人間で、ザムルタートに呼んだのは玻璃帝らしいんです」


「へぇ……うん、異世界の人なのは聞いてたけど、玻璃の君が絡んでたのは初耳。僕は東側からあまり動かないから……でも、異世界なんて……僕と何処も違わないように見えるのにね」


ふふ、と小さく笑ったシャルトルーズが、「あ」と思い出したように周りを確認してから声を落とす。


「――禍の一族に狙われてるんだったね。朔は乗りきれそうなの?……あ、場所、変えよっか――2人が平気なら」


――人通りが少ないとは云え、無い訳じゃない。

ローブ姿でこそこそ話すのも怪しいだろう。


「俺達は今日1日暇なんだ。夕方までには、宿に戻らなきゃだけど……な?蒼哉」


「そうだね。特に何の目的も無いから、問題ありませんよ」


俺らの返事に、ほっとしたようにシャルトルーズが微笑んだ。


「そ。じゃあ、すぐ近くに神殿があるから、そこへ」


「――その花は?何か用事あんじゃねぇの?」


綺麗に包装された、シンプルな花束を怜斗が指すと、シャルトルーズの瞳に一瞬だけ、哀しみが映った。


「これは、大丈夫。神殿にある墓地に、供える花だからさ―――じゃあ、案内するね?」





先に歩き出した、シャルトルーズの微妙に纏う空気が違う背中を見て、怜斗が頬を掻く。


「――…ちょっと、聞いちゃマズイ事だったかなぁ…」


「……悟れないでしょ、そんなの。ほら、行こ」


怜斗の背中を軽く叩いて、シャルトルーズの後を追う。


―――シャルトルーズは、基本的に神殿に駐屯してるって事か。


覚醒してるシャルトルーズなら、先代カーディナルの事も聞けるかな……





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あきゅろす。
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