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宝珠遊戯



――side 蒼哉――



――…また…

またこうやって怜斗は1人虜を作る。

本人にその気があろうがなかろうが。


舞姫の情報は俺がかなり消してる―――…まぁ、殆どCRIMSONの奴らだし、『話せば』解ってくれたけど。


………誰か『それは脅しじゃ…』とか云った?


『話』だけで終わらせてやってるんだから話だよ?



情報屋なんてやってると色んな、余計な情報も入るし……
俺に役に立つ情報なら京が割と流してくれる。


ホント、便利だよな?



まぁ……京もそれだけ怜斗の虜って事だけど。

俺の警戒対象の『虜』じゃないならどうでも良い。


さて……セイ、か。


怜斗を見付けて、大方一緒に組もうとか云うつもりなんだろ。


早々に手は打っておかなきゃな…


「ん〜……で、セイって何で俺を探してンの?」


きょとりと首を傾げる怜斗は、完全に想像もついてないんだろうな。

京は1度手を止めて、クスッと小さく笑った。



「怜斗だって、『強いヤツ』をずーっと探してるでしょ?そんな感じ」



「はぁ?意味解ンねぇし……」



「依頼主の個人情報は漏らせないからねぇ」



依頼断ったくせに?

ま、京が肩持ってたりしないなら俺が情報集めれば良い話だ。


――…どうせ、夜は限界が来るまで眠る気にならないし…


高校生にもなって、と笑ってしまいたくなるけど…


あの『夢』は、怖い。

暗闇が怖いわけではないのに、あの『空間』が怖い。

なにより、あんなに綺麗で優しい『声』が……とてつもなく、怖いんだ。



1週間って時間はやっぱり躯に負担を掛けてるらしく、随分躯は重い。


流石に、今日の午後は保健室にでも行こうかな…



「――…蒼哉?」


怜斗の声がしたと思ったら、割と目の前で怜斗の手が振られてた。

とゆか、京まで近くに来てる。



「あ…?……ぁ、うん……何?」


「そろそろ予鈴鳴るから……て云うか、顔色悪いよ?大丈夫なの?」


心配そうな京と、心配しながらも理由を知ってる怜斗。


云ってもどうしようもない、理由。

だから俺は自然に笑って見せる。


「考え事してただけ。まぁ…ちょっと寝不足気味だし、5限は保健室に行くよ」

「そう?なら…教諭には僕から云っておくよ。あんまり根、詰めないでね?色々」


情報収集と、首席キープの為の勉強。


俺は別に、天才な訳じゃないから…それなりの努力がいるわけ。


本当は……京が本気出せば首席なんだろうけど。


『面倒くさい』って一言でわざとテストの点を落としてるのを俺は知ってる。

常に20番前後で、出席はギリギリ…目立たないように隅っこに居たりするし。
で、俺がわざわざ努力してまで優等生になるのを心配してくれてるらしい。


「大丈夫だよ、限界になったら流石にソレ以上の事なんか出来ないから」


呆れたような顔をされたけど、京は軽く肩を竦めるだけで屋上から出ていった。





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あきゅろす。
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