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宝珠遊戯



――side 怜斗――



昼休みの柔らかい陽射しが余計に眠気を誘う。


・・・・人の気配はしても屋上なんて来るのは極一部の人間だから、静かってのもあるんだけど。




「・・・ふぁぁ・・眠・・・」





「―――・・・居ると思った」




呆れたような声がしたと思ったら蒼哉が入ってきてた。


「あのね、怜斗。此処は一応・・・立ち入り禁止なんだからね?」



――俺や、仲の良いダチの前以外だと蒼哉は物凄く模範的な優等生だ。


物腰も穏やかだし、人当たりの良さそうな笑顔をよく浮かべてる。



・・・結構二重人格の域だと思うぞ、俺は。



「此処が一番落ち着くってか寝やすいし・・・つーか、もう1週間だぞ?いい加減しんどいっつーの」


そう。


あの夜から1週間。


俺達は毎晩、同じ『あの夢』を見てる。
あんな変な夢を、蒼哉まで見てるって知ったのは3日目だった。


真っ暗な空間。


目印みたいな自分。



優しいのに、気持ち悪い声―――



捕まる寸前まで追い詰められる、恐怖・・・



夜、ベッドに入ってから朝起きるまで、一体どれだけ眠ってるのか解らない。


流石に異常なのくらい解るけど・・・


だからってどうも出来ないじゃん?




――・・・夢なんだから。




「蒼哉よく平気だよなぁ・・・」




だって、そりゃ蒼哉も寝不足って顔してるけど・・・

蒼哉が授業サボったり居眠りしたりなんかしないのを知ってるから。



俺みたいにちょこちょこサボって寝てない分躯はキツい筈なのに、どう見たってケロッとしてる。



――・・・あ、ちょっと不機嫌そうに眉根が寄った。




うん、俺しかいないから。


優等生止めるらしい。





「――――これでも結構キツいんだけど。

・・・二人とも同じ夢ってのも、意味深に夜だけってのも妙で精神的にもクるしさ」




そう。

昼寝やら居眠りやらであの夢は見ない。




必ず夜だ。




だからって訳じゃないけど俺は最近屋上でサボる率が急上昇中なわけで。

真面目に授業を受けてる蒼哉は、なら俺よりずっと辛い状況だよな・・・



「――――優等生サマは大変だな・・」



しみじみ呟くと、蒼哉は一瞬キョトリとしてから小さく吹き出した。




「――ぷっ・・・まぁ、ね」







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あきゅろす。
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